エッセイ ふくれっ面 課題 【泣く・笑う・いつもの顔】2016年10月28日
朝、寝起きが悪い。小さなことが気になる。
夫は仕事がらみの案内状を、行く気がないのにとって置く。
開けていない封書がテーブルや、座ろうとした椅子に置いてあるとイライラする。
「これ、もう捨ててもいい?」
「まだいいじゃないか、どこに置いても」。
テレビで日課の経済ニュースを見る。
私も前は一緒に見ていたが、最近つまらなくなった。
新聞を読み始めたから、「他にチャンネルを回していい」と聞くと、「まだ見ている」と言う。
この辺で我慢のおが切れそうになる。
多分頬がプーと膨れている筈だ。
これから会社に行って働いてくれる人だから、きちんと送り出そうと心掛けている、だから言いたいことを我慢する。
ごみを整理するふりをして離れた。
乗っていく自転車を通りに出し、靴を揃える。
この後は「行ってらっしゃい」と送り出せば朝の役目は終わる。
今朝はもう顔を合わせたくない、外の掃除を始める。
植木に絡んだ落ち葉をゆっくりとったり、草を抜いたりしていると此方に寄ってきて「行ってきます」と言う。
顔を見ないで、小さく「行ってらっしゃい」と言った。
出かけた後を見ると、食器は流しに、椅子もきちんと戻している。多少私の不機嫌に気付いたようだ。
昼、電話があった。
「これから名古屋に行ってくる、少し遅くなる」と言う。
予定では明日の筈だ。お金は持っているのだろうか。
聞くと「少しあるけど泊まりになったらきつい」と言う。思わず「届けようか」と言った。
「そうしてくれるとありがたい」。
駅の改札口で待ち合わせをする。
急いで身支度をしてバスに乗った。
改札口で待っていた夫はにやりとした。負けの笑いだ。
私はすっかり、今朝のふくれっ面のけりがついた。
先生の講評・・・ 朝の出勤前の夫婦の一瞬、目に見えるようだ。
事物だけではなく心理も微細に描いている。
つつじのつぶやき・・・ 2年前の作品です。
相変わらずこんな朝を過ごしています。