エッセイ ルリ 課題【有縁・無縁】 2011・6・24
ルリが死んで、3年経った。
シーズーという小型の犬種で、15年生きた。
私は最初、犬を飼うのは乗り気ではなかったが、二人の男の子が時々大声で怒鳴りあい、殺伐とした空気になるのが気になっていた。
犬でも飼ったら少しは違うかも知れないと思い、近くの獣医さんに聞いてみた。
最近シーズー犬が人気だ、関節が割と丈夫で男の子が抱っこしても痛めない。
騒がしくないし、おりこうですよと教えてくれた。
シーズ犬というのが分からなかったので、図書館に行き、小型犬の本を何冊か見た。
もこもこの毛に覆われた、黒い目の可愛い写真を見て、心は決まった。
子供達に話すと喜んだ。
特に小学生の二男は、「直ぐに迎えに行きたい」とニコニコ顔で催促をした。
ルリが来てから、私達の生活は変わった。
話題の始まりは、大体、「ルリがね」だった。
朝、「ルリ、行ってきます」と誰かが言う。
又「ただいま」の声がすると、こんな嬉しい事は無いという姿で出迎えて、家族を喜ばせた。
死ぬ前の年、こたつの端から歩き始めて、突然、ドタンと倒れた。
始めて見る姿にびっくりして抱き上げたが、しばらく固まった後に、フッと目を開けた。
その頃から、確実に老いてきた。
耳は大分前から遠くなってはいたが、よく襖にぶつかった。
「どう~したの」と、ドジをした仕草をからかっていたが、本当は目が見えなくなっていたのだ。
そして、我が儘になった。
あんなに楽しみにしていた散歩はイヤッ、嫌いなものは食べない、抱き上げると迷惑そう、ころころ転がっていた、気のいいルリでは無くなった。
体がきつかったのだろう。
だけど、その世話をする事はちっとも嫌ではなかった。
縁あって家族になった私達に、最後の我が儘をして困らせ、未練を残さないようにとも、今は思えてくる。
ルリが死んで、12年経った。
あの時、あまりに涙を流していたら、
埋葬をしてくれた人が
「お母さん(私)が死んだら、
三途の橋のたもとでルリちゃんは待っていてくれるそうですよ」
と慰めてくれました。
「ルリ、こっちはコロナと言う病気で大変なのよ」
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