エッセイ 光と影 課題 【光と影】 2020.7.31
(A)~
珍しく電話が鳴った。毎月会っているサークルの友人からだ。
お互いに閉じこもりの生活をしていたから電話も掛けなかったが、久々の明るい声は嬉しい。
「最近買った本なんだけど、読んだら良かったから、どう」と言う。
読みたいと言うと、これから届ける、家には上がらないですぐ帰る、何ならポストに入れて置くと気を遣う。
自転車に乗って、マスク姿の友人が来た。
私も慌てて、マスクを取りに家に入る。
自宅でマスクをするのは変な感じだ。
「つつじが真っ盛りよ、見て」と、濡れ縁に並んで座る。
密を避けるから、一メートル空けて前を向いて話すことにする。
ここ三カ月余り会っていないが、話題は毎日伝えられるコロナ禍のニュースばかりだ。
気が付くと、顔を見合わせて段々距離が近くなっている。
次の機会は背中合わせに座らないといけない。
彼女は二月の里山歩きの時、近くても電車やバスに乗る。
他の人の迷惑になるからと欠席を言ってきた。
未だそれ程深刻な時期ではなかったが、それを聞いて会を中止した。
真っすぐで、しっかりしたヨガの先生だ。
(B)~
第ニ波なのか、新規の感染者が増えた。
夜の町で働く人の感染が多い。
都会は部屋代も高い、貯えもなく、ローンを抱えている人もいるだろう。
お酒の席は接触も多いが、危ないと分かっていても、働かないと生活が成り立たない。
歌舞伎町に勤める女性が、テレビのインタビューを受けていた。
お金がないから働かなければならない。
もう貯金も無い。
請求書が何枚も溜まっていると、かざして見せる。
「水道代でしょう、スマホ、税金や年金なんか大分溜まっている、だから歌舞伎町」
そうか、そうなのだ。
私が毎月貰っている年金は、若い人が払ってくれているお蔭なのだ。
そして、もし、コロナに感染した時には、若い人にお世話になる、支えられているのだ。
心を引き締めなければと再び思う。
先生の講評・・・・・影の存在(B)が光の存在を浮き立たせる。
社会の底辺に思いが至る瞬間だ。
光の中に映りこむ影は共振する。
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