つつじの書・・

霧島つつじが好きです。
のんびりと過ごしています。
日々の暮らしを、少しずつ書いています。

エッセイ 年末

2019-02-11 13:55:23 | エッセイ

,エッセイ 年末 【冬・自由課題】2011・1・14   

「宝くじを買おうよ」と夫が言う。
「やだ、当たらないから買わない」
「買わなきゃ当たらないよ」と食い下がる。

何日かして、「買うけど本当に買わない?」と念を押す。
「買わない」、「3億円当たったらいいな、少しお姉ちゃんに上げるんだ」と言う。
お姉ちゃんとは夫の姉の事だ。
夫は営業の成績に行き詰ると姉に頼む。
姉もそんなにゆとりがあるとは言いがたいが、多少とも、弟の頼みに形をつけてくれる。
だが長年の不況でかなりの損をさせてしまっていることが堪らないらしい。

私も以前は夫に頼んで買ってきて貰ったが、買うといっても少ない額だから全然当たらない。
当たらないことの言い訳を考える。
スーパーマーケットの駐車場に並んだ車のナンバー、4桁さえも、近い番号は殆んどないし、ましてや、組番号と6桁の番号を当てるなんてまず無理なことだと諦めたのだ。

クリスマスイブの日、駅前のバス停前に長い行列が出来ていた。
その日が年末ジャンボ宝くじの締切日なのだと、係りの人があおっている。
もうすぐ締め切りの時間ですと言われれば、確かに並びたくなる。

中々来ないバスを待ちながら、その光景を眺めていたが、相当のお金がはずれ券と言う紙切れになり、引き出しの奥にしまわれるのだろう。
人は年末になると、日頃我慢している夢を当選金で叶えてみたいと、宝くじを買うのかもしれない。
年末のハウスクリーニングや、料亭のお節は私の見る夢だが、夢では年を越せない。

何日かお天気が続くので、つい余計な家事にまで手をつけて忙しがっている。
窓ガラスを拭きながらカーテンを見ると洗いたくなるし、植木に挟まった枯れ葉も気にかかる。
昼間の暖かさに油断をしていると、夜の寒さにふるえる。
寒がりの夫に炬燵を出し、火鉢の灰もきれいにして、今日中に炭を注文をしなくてはと思う。

  つつじのつぶやき・・・古い作品です。何年たっても同じ風景が見られます。
                

 

 

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