エッセイ 梅ヶ丘 【夏・自由課題】 2012・7・13
独身時代に勤めていた会社の同僚たちと、小田急線の梅ヶ丘駅で待ち合わせた。
由木さんとは毎年会っているが、他の二人とは五年振りだった。
時々の電話の声では分らなかったが、会った途端、あっ、何だか違うと思った。
笑顔も声も、そんなには変わってはいなかったが、全体にこぢんまりんまりしている。
髪の毛の変化などは予想していたが、背が小さくなっている。
生まれた年、背の高さも殆ど同じ筈だったように記憶している。
お昼はお寿司と決めていた。
駅前のみどり寿司の行列の後ろにつく。
ここは安くておいしいと評判の店で、いつも沢山の人が並んでいる。
普段は、女性のグループや、年配の人が多いのに、今日は若い男性が多い。
「サービスディで、とっても安いようですよ」と前列の人が教えてくれた。
カウンター席で良ければ早く座れることもあるが、今日は四人で座れるテーブル席がいい、小一時間並んだ。
久し振りなので、お互いの近況を話し合う。
夫のことや子供達のこと、孫の話にと広がるころは、相手の話も聞かずにしゃべり始めるので、誰のことか分らなくなる。
順番が来て、威勢のいい声に迎えられ、テーブルにつく。
女性に喜ばれるような、カニみそのサラダやデザートが付くランチメニューが人気のようだ。
新鮮なネタと味は、待った甲斐があった。
お寿司に満足した後は、並びの喫茶店に入る。
ここも昔からおいしいコーヒーを出す。又、おしゃべりがはじまる。
骨粗鬆症の話、物忘れはしょっちゅうと私、久しぶりの再会だが、最後は老いの話が多い。
お互いの話から、自分の老いを感じとってるのかも知れない。