がしっ
何かをぶっ叩く音がして、レムが視線を二人に戻す。と、ちょうどカルが杖を弾き飛ばされたところであった。
ずっと見ていて分かったが、はっきり言って彼とカルの腕が違いすぎるのだ。
あぁ、これじゃぁ、素人同然だわ。しっかり遊ばれてるし・・・・。
あ~ぁ、もっと、きっちり、剣か杖の扱い方教えておけばよかった。帰ったら、マリーヌからラウルに言ってみよう。それとも、帰りの道々で勉強するか・・・。
と、レムが一人で考えをめぐらせて、ふと 視線をカルに戻すと、猫のようにカルが手の傷を舐めていた。多分、剣先が触れたのだろう。
そう言えば、カルは、治癒の術がまだ出来ないのだ(はじめて関わった術なのに・・・・)。
カルの笑いが変化した。さっきまでのもう笑うしかない、という笑いではなく本当に楽しそうに笑っているのだ。一方、彼も薄っすらと笑みを浮かべている。
舐めた手をズボンにすり付け、彼に向き直る。それが合図であるように、彼が頷いて左手でぶら下げていた剣を右手に持ち直した。
どうやら二人には、レムの知らない流儀があるようだった。
また、お互いに頭をを下げあってから、それは、再開された。
今回、攻撃の火蓋を切ったのは、カルの方。一切、前置無しの火炎球。それが彼に届くかどうかといううちに、次の呪文を唱えだしていた。
彼は、飛んできた火炎球を土砂で消しとめ、お返しとばかりに複数のつぶてと土砂をカルに向けて飛ばしてくる。
『翔風結界』
術の完成と共に宙に浮き上がったカルの周りを風が包み込み、四方八方から飛んできたつぶてを吹き飛ばす。そして、風の結界をまとったまま彼のすぐ前まで進み、術を解除するのと同時に彼の胸元に飛び込む。
さすがの彼も、このパターンは予想していなかったらしく、とっさの反応が遅れてしまった。
その隙を突き、手刀を彼の右肘の内側に当てる。そして、バランスを崩した彼に足払いをかけ手首をつかんで引き倒す。そして、倒れた彼をぴょこん と飛び越し、そのまま真っ直ぐに走り出した。
走るカルの後を、地面を伝って衝撃波が追いかける。その出所は、彼である。
カルの走る先には、さっき弾かれた杖が転がっていた。その杖を拾った後、カルは更に走り地面の上の何かを掴もうとして・・・・。
衝撃波が、カルに迫る。
そのままの勢いで、カルが何かに飛びついた。そして、持っていた杖を自分と衝撃波の間に突き立てる。
ぱっしーんっ
乾いた音を立てて、杖が砕ける。
杖の残骸の向こうに、胸の前で両手を握り締めたカルが立っていた。
両手の間から青い紐が揺れている。その手の中にあるのは、香珠だ。
ごうっ と、音を立てて空気ごと、地面が揺れる。
何かをぶっ叩く音がして、レムが視線を二人に戻す。と、ちょうどカルが杖を弾き飛ばされたところであった。
ずっと見ていて分かったが、はっきり言って彼とカルの腕が違いすぎるのだ。
あぁ、これじゃぁ、素人同然だわ。しっかり遊ばれてるし・・・・。
あ~ぁ、もっと、きっちり、剣か杖の扱い方教えておけばよかった。帰ったら、マリーヌからラウルに言ってみよう。それとも、帰りの道々で勉強するか・・・。
と、レムが一人で考えをめぐらせて、ふと 視線をカルに戻すと、猫のようにカルが手の傷を舐めていた。多分、剣先が触れたのだろう。
そう言えば、カルは、治癒の術がまだ出来ないのだ(はじめて関わった術なのに・・・・)。
カルの笑いが変化した。さっきまでのもう笑うしかない、という笑いではなく本当に楽しそうに笑っているのだ。一方、彼も薄っすらと笑みを浮かべている。
舐めた手をズボンにすり付け、彼に向き直る。それが合図であるように、彼が頷いて左手でぶら下げていた剣を右手に持ち直した。
どうやら二人には、レムの知らない流儀があるようだった。
また、お互いに頭をを下げあってから、それは、再開された。
今回、攻撃の火蓋を切ったのは、カルの方。一切、前置無しの火炎球。それが彼に届くかどうかといううちに、次の呪文を唱えだしていた。
彼は、飛んできた火炎球を土砂で消しとめ、お返しとばかりに複数のつぶてと土砂をカルに向けて飛ばしてくる。
『翔風結界』
術の完成と共に宙に浮き上がったカルの周りを風が包み込み、四方八方から飛んできたつぶてを吹き飛ばす。そして、風の結界をまとったまま彼のすぐ前まで進み、術を解除するのと同時に彼の胸元に飛び込む。
さすがの彼も、このパターンは予想していなかったらしく、とっさの反応が遅れてしまった。
その隙を突き、手刀を彼の右肘の内側に当てる。そして、バランスを崩した彼に足払いをかけ手首をつかんで引き倒す。そして、倒れた彼をぴょこん と飛び越し、そのまま真っ直ぐに走り出した。
走るカルの後を、地面を伝って衝撃波が追いかける。その出所は、彼である。
カルの走る先には、さっき弾かれた杖が転がっていた。その杖を拾った後、カルは更に走り地面の上の何かを掴もうとして・・・・。
衝撃波が、カルに迫る。
そのままの勢いで、カルが何かに飛びついた。そして、持っていた杖を自分と衝撃波の間に突き立てる。
ぱっしーんっ
乾いた音を立てて、杖が砕ける。
杖の残骸の向こうに、胸の前で両手を握り締めたカルが立っていた。
両手の間から青い紐が揺れている。その手の中にあるのは、香珠だ。
ごうっ と、音を立てて空気ごと、地面が揺れる。