宇宙時間 ソラノトキ

風樹晶・かざきしょう

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月影の門 44

2009-08-28 20:34:59 | 小説 月影の門
 荷物と言っても、大した物がある訳ではない。
 ミイコも今度持って行く荷物は、ボストンバックと手提げバックが1つだけだ。
「あれ、あの大荷物は?」
 アパートから持ち出したはずの大荷物がない。
「あ、あれね、厨房の人に渡してきたの」
 ????
 男性陣の頭の周りに?が飛び交う。
 それを見たミイコが説明する。
「あれね、部屋の冷蔵庫の中身。持てるだけ持ってきたの。しばらく帰れそうもないし、帰っても冷蔵庫の中身がとんでもない事になっていたらいやだし・・・・。で、タッパウェアとかに入れて持ってきて、厨房の人に食べて下さいって渡してきた」
 あははは・・・・
 と、笑うミイコを唖然とした顔で二人の男が見つめた。
 さすがだ・・・・。
 それなら、自分も持ってくれば良かった。と思ったのもすでに遅し。
「なんだったら、マドカちゃん。行ってくる?」
 こそっ と、マドカの耳元でささやくミイコにマドカは首を振った。
「いまさら、無理だろう」
 急に荷物が増えたりしたら、何と言って説明すればよいのか・・・。
「それもそうね・・・・」
 ミイコもそれに頷いた。
「帰って、部屋がとんでもなくなってたら、片すの手伝ってくれ」
「そ、そうね・・・・」
 力なく笑うミイコの隣でトシが小さくため息をついた。


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