宇宙時間 ソラノトキ

風樹晶・かざきしょう

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リーフ 50  最終章

2008-10-29 08:27:26 | 小説 リーフ
「え・・・・と。どうも、お久しぶりです」
 そう言って、その人物が ぺこり と、頭を下げる。そして、胸元に下げてある五芒星のメダルを外し、レムの手に握らせた。
 銀色のメダルは、レムがはじめて手にした時と同じように、ずっしりと重い。
「カル?」
「これ、欲しいって言ってたでしょ」
 そう言って、カルは黙り込んだ。胸元に揺れているのは大騒ぎの元であった緑色の小さな玉・香珠。
「本当は、先生ともちゃんと会って挨拶しなきゃいけないんだろうけど、人を待たせてるから」
 ちらり と、カルが振り返った視線の先にいるのは、カルがライキと呼んだあの彼だった。
「それじゃ、こんな慌しくて本当、悪いんだけど。レムちゃんにもラウルさんにも色々お世話になって、色んなの教えてもらって・・・・」
「いいわよ、いちいちそんな事気にしなくても。そのかわり、出世払いって事にしておいてあげるから」
 まだ続きそうなカルの台詞を一方的に切り上げた。レムとしては、湿っぽいことやぐじぐじするのは、苦手なのだ。
「待ってるんでしょ。マリーヌには、ラウルに伝えてもらうから。だから、玉の力なんか借りなくても平気なように、今度会うときまでにしっかり勉強しておきなさいね。基本的な事は、きっちり教えたつもりだから、分かった?」
 レムの言い放った言葉に、カルは驚いたように目を見開いた。
「マリーヌが言ってたのよ。カルは、風の玉・香珠の主、香樹だろうって。・・・・そう?」
 その台詞に、こっくりと頷くカル。
「本当に、ありがとう。ラウルさんも・・・・」
「うん」
 ラウルシャインが言葉すくなに頷く。
「さぁて、と」
 言いながら、カルの肩に手をかけ体の向きを半回転させる。
「それじゃ、あたしも行くわね。マリーヌによろしく」
 そう言って、レムは、カルの肩を押すように玄関を出た。
 カルは、一度振り向いて大きく頭を下げると、待っていたライキに走り寄った。
「カルっ」
 手にしていたメダルを、カルに向かって投げる。
 驚いた顔でレムが投げたメダルを受け取るカル。次の瞬間、それが笑みに変わり、そして、大きく手を振ると、何かを投げ返してきた。
 こつん こん 
 受け取り損ねたそれは、レムの頭に当たって地面に転がる。慌てて拾い上げて顔を上げると、カルは、風に溶け入るように姿を消してしまっていた。
 あ、結局、カルって、何者だったのだろう?  あんまりびっくりして、聞くの忘れた。だけど・・・。
 レムは、手の中にある小さな水晶玉を見ながら、思った。
 多分、また、どこかで会うこともあるかもしれない。と。



 風樹です。
 ようやく、たどり着きました。最終回です。
 それほど、長い話ではない筈でした。それが、50章まで続いてしまうとは。
 書いた本人も驚きです。
 でも、第一作目、完成バンザイ。
 地味ですが、自分に花を贈ります、・・・・と言っても自宅のコスモスですが。
 また、いつか新たな話に挑戦していきたいと思います。
 今まで読んでくださった方、本当にありがとございます。

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1 コメント

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お疲れ様でした (東雲)
2008-10-31 00:36:18
初めてコメントさせて頂きます。
いつも楽しく拝読しておりました。
好きなジャンルのお話でしたので、楽しかったです。
最終回との事、お疲れ様でした。
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