■ 久しぶりのEテレ「日曜美術館」。昨日(25日)の夜8時からの再放送で「マティス・幸せの色彩」を見た。東京都美術館で8月20日までの会期で開催されている「マティス展」の展示作品が何点か取り上げられた。
ぼくはマティスの作品が好きだ。中でも描画対象の人でもものでも、その輪郭を決定的な1本の線で描き、色もいくつも使わないで、ひとつの色で代表させて描いているやや抽象的な印象を受ける作品は特に好きだ。晩年の切り紙絵も同じ理由で好き。
番組で最初に取り上げられた「赤の大きな室内」。この作品はテーブルの脚の曲線を黒い1本の線で描き、作品名の通り、室内の床も壁も赤一色で描いている。単純化した線と色による構成が好い。空間も奥行きを表現しないで平面的に単純化している。
マティスの色と言うと晩年の切り絵でも多用された青が浮かぶが、番組で紹介される作品を観ていて、きれいな緑色が使われていることに気が付いた。「マティスの緑」。上の作品には赤い壁に掲げられた2枚の絵が描かれているが、右側の絵に使われている緑、ミントグリーンがきれいだ。薄い青との組み合わせも好い。
このところ風景スケッチをしていて、背景の山や木々の緑をどうしたものか、あれこれ試しているから、マティスの緑に目が行ったのかもしれない。マティスの作品にはいろんな緑が使われているけれど、どれもきれいな緑だ。そう、ぼくも好きな緑、きれいな緑を使いたい。風景の緑を出来るだけリアルに再現しよう、などと考えないことだ。
本稿の最後に番組で紹介されたマティスの印象的なことばを載せておきたい。
**芸術家の役目は見たものをそのまま描きとることではなく 対象がもたらした衝撃を最初の新鮮な感動と共に表現することなのだ**