透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「半鐘を鳴らしたのは、最後のあがきなの?」

2016-03-23 | A 読書日記



■ 今朝(23日)も朝カフェ読書。朝7時半から小一時間、髪結い伊三次捕物余話 「心に吹く風」を読んだ。2編目の「雁が渡る」に火の見櫓が主要な舞台として出てきてびっくり!

親を殺し、更に「夜鷹」のひもを殺したおしょうという名の娘が、火の見櫓にたてこもり半鐘をたたき出した。龍之進と一緒になって間もないきいはおしょうに一度だけ会ったことがあり、その時買って来た焼き芋をせがまれて与えていた。

野次馬に混じり様子を見ていたきいは火の見櫓に上っておしょうを説得したいと言いだす。

**「火の見をたったと上るなんざ、ご新造さんは大したもんだ」
おしょうは感心した声を上げた。
「一度、ここに上ってみたかったの。あたしの実のてて親は火消しの御用もしていたから」
「上がりな」
おしょうはようやく傍に促した。櫓の上は半畳ほどの板敷きとなっていた。きいが焼き芋を渡すと、おしょうは以前と同じように息もつかずにむさぼった。
きいはその間、火の見の上から外を眺めた。**(96頁)

この後、火の見櫓の上でおしょうはなぜ義父を殺すことになったのか、きいに打ち明け話を始める。

**おしょうの才が間違った方向に発揮されてしまったことが、きいは何より悲しかった。
もっと、おしょうが倖せになる道もあったはずである。**(101頁)

この後、物語は泣かせる展開に・・・。


 

 


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