■ 久しぶりにTSUTAYA北松本店のDVDコーナーを覗いた。まだ観ていなかった寅さんシリーズの第45作「寅次郎の青春」があったので借りて昨日(7日)観た。
第42作「ぼくの伯父さん」以降の作品の主役は寅さんの甥・満男君で、高校の後輩の泉ちゃんとの恋物語の感があるが、「寅次郎の青春」は寅さんとマドンナの恋、それもマドンナが寅さんを好きになるという恋の行方も気になる展開だった。
寅さんは宮崎の港町・油津の食堂で本作のマドンナ・蝶子さん(風吹ジュン)と出会う。蝶子さんは食堂の近くで理髪店を営んでいる。蝶子さんに勧められて理髪してもらい、店を出ようとするも俄かに降りだした雨で足止め。本降りになり、寅さんは蝶子さんの家にそのまま泊めてもらうことになる。理髪代を払って寅さんの財布が空っぽになったことを蝶子さんは知っていたのだ。この日、貨物線の船乗りの弟・竜介が帰ってきていて、寅さんは竜介と一緒に寝ることに。
泉ちゃんも親友の結婚式に出席するために宮崎へ。寅さん映画によくある偶然、日南の飫肥(おび)城址で寅さんと泉ちゃんが再会する。泉ちゃんが石段を駆けあがって寅さんに抱きつく、とそこへ蝶子さんが通りがかり・・・。ちょっと怒った蝶子さん「寅さん どうぞそのお嬢さんと 私は家に帰っているから」。ふたりのマドンナの鉢合せに焦った寅さん、石段でこけて、足の骨が折れたかもと大袈裟に振る舞う。で、入院。
泉ちゃんから寅さんがけがをして入院したという連絡を受けた満男君も空路宮崎へ。目的は伯父さんの見舞いではなく、泉ちゃんに会うため。
その後の展開は省略して、印象に残るシーンを挙げたい。
寅さんと蝶子さん。ふたりが浜辺に座り、「港が見える丘」をデュエットするシーン。寅さんがマドンナとデュエットするなんて、他の作品にあったかな。リリーとしたのかもしれないが覚えていない。蝶子さんが日傘をさし、その隣で寅さんが古びた椅子に座っている。なんだか寅さん映画じゃないみたい。「寅次郎の青春」というサブタイトルに納得。蝶子さんの爽やかな笑顔がとても魅力的だった。
満男君と泉ちゃん。原宿のレコード店で働いていた泉ちゃんが仕事を辞めて名古屋に帰ることに。心臓を患って入院したお母さんを看護をするためだった。さくらは大学に電話して満男君にこのことを知らせる。満男君は授業をすっぽかしてバスと電車を乗り継いで東京駅へ。ホームでの悲しい別れ。満男君を見つめる泉ちゃんの悲しく寂しそうな表情・・・。そっと満男君にキスして、「さよなら」。新幹線のドアが閉まって、泉ちゃんが何か言うが聞こえない。想像するしかない。ふたりの恋が終わりではない、ということが分かる言葉であって欲しい。新幹線がホームを離れていく。見送る満男君の背中。切ないシーンに涙が出た。
他に、この作品では印象的なロングショットがあった。飫肥城址の石段で寅さんがこけた時の俯瞰的なロングショット。早朝の霧、川岸で蝶子さんと弟の竜介が話をしている場面のロングショット。寅さんがその様子を開けた窓から見ている。「姉ちゃん」「なんね」「いっそ一緒になったらどうね、あの寅さんと。男は顔じゃねえっちゃかいな」
寅さんは窓をそっと閉めて、沈思。満男君たちが東京に帰り、竜介が出発したら・・・。寅さんはかがりさん(いしだあゆみ)の時も逃げちゃったもんな~。
満男君に主役を譲った後の作品の中で好きな1作。
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まだ観てない作品は第4作、9作、24作、49作。TSUTAYA北松本店で欠品なら、他の店で借りて観るかな。