透明タペストリー

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「涙小説」

2006-05-27 | A 読書日記

『鉄道員(ぽっぽや)』浅田次郎/集英社文庫

 確か「鉄道員」というイタリア映画があったと思う。 本のタイトルには「ぽっぽや」とルビが振られている。ルビ付きのタイトルはめずらしいのではないかな。作家のこだわりだろう。

もし「涙小説」という分類項目をつくるとすれば、この本は間違いなくそこに収められるだろう。映画化された表題作はじめ「涙小説」が8篇収められている。篇?、編? どっちかな・・・新潮文庫は編を、文春文庫は篇を使っているようだ。編は篇の代用字と国語辞典に出ていた。

本題。「ラブ・レター」の主人公高野吾郎は裏ビデオ屋の雇われ店長。偽装結婚していた中国人女性が亡くなったと知り合いの刑事に告げられる。

**「白蘭。いい名前だな。その、高野白蘭っていう女が病気で死んだから、仏さんを引き取りにこいってよ。まったく、なんでこんなことまで警察がやらにゃならねえんだ。以上、ちゃんと伝えたからな、すぐ行ってやれ」**

千葉の港町。総合病院の霊安室で吾郎は「はじめて」妻と対面する。

**美しい女だった。これが自分の妻だと思ったとき、吾郎はたまらず冷えきった頬を抱いて慟哭した。**

女性の持ち物を入れた紙袋の中身を検めると封筒がでてくる。女性が亡くなる直前に吾郎に宛てて書いた手紙、ラブ・レター。 私きっと死にます。から始まる手紙。

私が死んだら、吾郎さん会いにきてくれますか。もし会えたなら、お願いはひとつだけ。私を吾郎さんのお墓に入れてくれますか。吾郎さんのお嫁さんのまま死んでもいいですか。 

書いていて、また涙が・・・。 ベストセラーになった短編集。未読の方は、この手紙だけでも読んで欲しい、と思う。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
U1 (さっそくチェックです)
2006-05-27 11:42:21
この文庫、6年前に出ていますが、読んだのは

数日前です。朝のラジオ番組で知りました。

また、来月酔族会でたのしく飲みましょう。
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おっ!!2 (建築少年Y)
2006-05-27 10:38:54
目頭が熱い、胸になにかがこみ上げてきました。

さっそくチェックです。
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