△表表紙 錦絵「松本中学校開校式繁栄之図」左半分
△裏表紙 享保十三年秋改 松本城城下絵図 部分(戸田氏時代)
■ 『松本城・城下町絵図集』が発行されたことを数日前の新聞記事で知り、さっそく松本市立博物館の売店で買い求めた(上の写真は表裏両表紙)。
松本市教育長のあいさつ文が巻頭に掲載されているが、その中に**松本市教育委員会では、平成二十二年度から松本城歴史資料保存事業として、主に絵図史料の修復・複製製作・デジタル化を進めてきました。この事業や従来からの研究活動によって、松本市が所蔵する絵図史料に加え、県内外の施設が保存する松本城及び松本城下町に関する史料も、一部収集することができました。本書は、それらの成果をまとめたものです。**と、この絵図集の説明がある。
収録されているのは、信濃国松本藩領大絵図、城下図、屋敷割図、城図、御殿図、城址・天守図面、筑摩県博覧会他の錦絵で計37枚。
巻末にそれぞれの絵図の所蔵先、寸法、伝来、解説文が収録されている。解説文をきちんと読めばそれぞれの絵図について理解が深まると思う。
松本城下絵図と都市計画図の重ね図も載っている(22、23頁)。享保13年の絵図と平成27年度の都市計画図を重ねたもので、絵図はかなり正確な測量をもとに描かれているとのこと。
この重ね図の絵図には本丸を囲む内堀、その外側の外堀、さらにその外側の総堀が描かれている。総堀の南側は女鳥羽川のすぐ北側の縄手通り辺りと重なっていること、その先は日銀や市役所のすぐ東側に続き、さらに北側は裁判所辺りを通り、西側は丸の内消防署辺りを通っていることが分かる。総堀の内側の渕に土塁を築いてあったことなども表現されている。総堀の内側に入るところは5か所に限定されていて(北側2か所、西側、南側、東側各1か所)、そこは今も5か所とも道路になっている。何かそこに江戸の痕跡が残っていないかな(って、ブラタモリ的になってきた)。
少し残念に思うのは、かなり大きな絵図を見開きA3サイズに縮小しているので細かな文字が読み取りにくいこと。だが、本であるからこれは仕方がない。絵図そのものを複製して販売する方法もあるだろうが、広く一般の人たちに入手してもらうのであれば、やはり本にするのが最良の方法だと思う。
絵図を読み解く能力があればいろんなことが分かるだろう。残念ながらその能力、私は皆無に近い。地図は好きだけど・・・。
A4判 128ページ 1620円(税込み)
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