「フィレモンへの手紙」の執筆目的、それはずばりオネシモを奴隷から解放することです。オネシモが盗みを働いた逃亡奴隷だとしていると、フィレモンに対する赦しの願いとなってしまうのですが、オネシモ逃亡奴隷説は陰謀論です。ありえません。
オネシモは有能な奴隷だったのです。パウロはオネシモをテモテやテトスのような宣教者にしたかった。そのためにはオネシモを奴隷から解放する必要があった。奴隷の解放をできるのは主人だけです。つまりフィレモンしかいないのです。
フィレモンへの手紙の15節を読んでみましょう。「恐らく彼がしばらくあなたのもとから引き離されていたのは、あなたが彼をいつまでも自分のもとに置くためであったかもしれません。その場合、もはや奴隷としてではなく、奴隷以上の者、つまり愛する兄弟としてです。」
「あなたが彼をいつまでも自分のもとに置くため」の「いつまで」は「終身」ということです。「終身奴隷」に使われる言葉です。しかし、「その場合、もはや奴隷としてではなく、奴隷以上の者、つまり愛する兄弟としてです。」終身奴隷から解放して、兄弟としてくださいということです。
コロサイの信徒への手紙4章9節を読んでみましょう。「また、あなたがたの一人、忠実な愛する兄弟オネシモを一緒に行かせます。彼らは、こちらの事情をすべて知らせるでしょう。」とあります。オネシモはその後実際解放されてパウロの周辺にいるのです。
パウロとフィレモンとオネシモ(13)「パウロの元からフィレモンの元へ」―パウロがフィレモンに願っていたことは何か― もお読み下さい。
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