ダンジリと呼ばれる山車は瀬戸内海沿岸を中心として西日本各地に広く分布し、祭りの中で最も人目を惹く存在である。小型で素朴なものから大型で豪華なものまで形態は様々である。ダンジリは台尻が転訛したものと言われるが、愛媛県内でダンジリというと、三分類できるかと思われる。一つは、屋台形式で、二,三層にわたり精緻な彫刻を施したもの。つまり西条市や越智郡などに見られるものである。第二に布団屋根の太鼓台である。これは新居浜太鼓台をはじめ、越智郡の「布団ダンジリ」、南予地方の四ツ太鼓もこれに含まれる。第三には北条ダンジリのように木枠に笹竹を飾る単純な構造のものである。これらは、一八世紀に西条地方に屋台が見られ、その一世紀後に太鼓台が見られ、明治時代初期以前には北条ダンジリが登場するというが、どのだんじりが古くて源流であるとの系統立ては困難である。形態から判断すると、もともとは北条ダンジリのように木枠のみの単純な構造であったものに、西条ダンジリのように高欄を巡らし彫刻を施して飾り付けて派手とするか、布団を屋根に乗せ、さらに周囲を刺繍で飾って派手にするかで発達の様式が決定したものと言えるだろう。
現在、愛媛でダンジリといえば西条ダンジリを思い浮かべるが、「ダンジリ」の呼称を持つ山車は、西条以外の県内各地に種々あり、それらを系統立てて考えることはできないかと考えている。
2000年05月29日
現在、愛媛でダンジリといえば西条ダンジリを思い浮かべるが、「ダンジリ」の呼称を持つ山車は、西条以外の県内各地に種々あり、それらを系統立てて考えることはできないかと考えている。
2000年05月29日