愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

遠野市立博物館「文化財を救え!」展

2011年08月25日 | 災害の歴史・伝承

現在、開催されている岩手県の遠野市立博物館での展示の紹介です。


「文化財を救え!~東日本大震災と文化財レスキュー~」
会期 平成23年7月22日(金)~9月29日(木)<8月31日は休館>
会場 遠野市立博物館企画展示室内

http://www.city.tono.iwate.jp/index.cfm/35,13270,166,html


平成23年(2011)3月11日の東日本大震災のために、岩手県三陸沿岸では、多くの貴重な人命や、家・職場などの暮らしの場が奪われ、長い歴史の中で大切に育み、守り、伝えてきた地域の宝である文化財や、文化財の保護保存に中心的な役割を担ってきた博物館や図書館が壊滅的な被害を受けました。

そして被災した人々が、ガレキと土砂の下から必死に探し求めたのは、生きるための家財であると同時に、大切な家族の思い出の品や写真、地域のきずなのシンボルである郷土芸能の道具などの文化財でもありました。

岩手県遠野市は、北上高地の中央に位置し、古くから三陸沿岸と内陸を結ぶ交易の中継地として栄え、特に今回の津波で大きな被害を受けた三陸沿岸とは、車で約1時間の距離にあって、歴史的・文化的に深いつながりをもってきました。

そのため遠野市立博物館と遠野文化研究センターでは、三陸沿岸の被災した文化財を回収し、応急処置を施す「文化財レスキュー」に組んでいます。このテーマ展では、これまでの遠野市での取り組みを中心に紹介します。

救い出された文化財は、東日本大震災を乗り越えたという新たな歴史的価値を与えられ、三陸沿岸に生きる人々の誇りとなって、未来を生きる大きな力となるものです。その被災地の文化の復興支援に携わることこそ、被災地に寄り添って生きる遠野の人々にとっての「誇り」であり、新たに刻む「歴史」なることを願って開催するものです。


<主な展示資料>
3月11日で止まった時計(釜石市) 館蔵
3月11日で止まった時計(山田町) 館蔵
昭和8年「昭和三陸津波関係書類綴」 大槌町立図書館蔵
釜石の虎舞頭 所有者捜索中
岩手県沿岸溺死集(山奈文書) 館蔵
陸前高田市からレスキューされた土器片 陸前高田市教育委員会
世界最大級のオオジャコガイ(右殻) 陸前高田市立海と貝のミュージアム

協力 陸前高田市立海と貝のミュージアム、陸前高田市立博物館、大槌町教育委員会、岩手県立博物館、岩手県教育委員会、岩手歴史民俗ネットワーク

なお、主な展示資料のうち、釜石市の虎舞の頭は、釜石市役所近くで見つかったもの。展示開始段階では所蔵者不明で「所有者捜索中」したが、その後、同市内の「只越虎舞」のものと判明しています。










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