古事記あらすじ10
第五章 大国主命(おおくにぬしのみこと)
㈠稲羽(いなば)の白うさぎ
須佐乃之男命の孫のまた孫にあたる方に、大穴牟遅命(おおなむじのみこと)いう方がおいでになりました。この方はのちに大国主命と呼ばれ、今も人々に親しまれている偉い神様です。今からその大穴牟遅命のお話をいたしましょう。
出雲の国の北の海の沖に浮かぶ隠岐の島に、一匹の白いうさぎが住んでいました。島は小さくて友達もいません。白うさぎは海の向こうに見える出雲の国に行ってみたいものだと、いつも思っていました。
もし向こうの国に行けたなら、友達作って鬼ごっこをして遊ぶんだ。赤耳くん見つけた。黒耳君見つけた……。白うさぎは夢中になって独り言を言っていました。
すると突然「やかましい!」と怒鳴ったものがおりました。うさぎは驚いて岩の上に飛び乗りました。
㈡仲間比べ
怒鳴ったのは、一匹の大きなわにざめでした。こぎりのような歯を出して、そこで何をしていると言うわにざめに、友達とかくれんぼをしていたと白うさぎが答えました。するとわにざめは、うさぎなんかお前しかいないないじゃないかといいます。白うさぎは悔しまぎれに、おじさんの顔が恐いからみんな隠れているんです。本当はおじさんの仲間よりもっと多くいるんですと、言ってしまいました。
これを聞いたわにざめはますます怒り出し、どっちの仲間が多いか、これから仲間比べをしようじゃないかと言い出しました。
ぼくの仲間は臆病だから、なかなか出てこないよ。でもおじさんが仲間を集めて見せたら、仲間比べは本当だと思って出て来るかもしれない。おじさんは偉いんだから、仲間を集めて見せておくれと白うさぎは言いました。
うさぎに偉いと言われてわにざめは少し得意になって、仲間を集めに海の中に沈んでいきました。さあ困った。白うさぎは海の上に橋がかかったらといいと思いました。その時白うさぎはうまい考えが浮かびました。
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