メタモルフォーゼの縁側
ある夏の暑い日だった。市野井雪は夫の三回忌の法要の帰りに立ち寄った本屋で一冊の漫画本を買った。表紙がとても綺麗だったからだ。ところがレジ係の佐山うららは、雪が差し出した本を見て目を丸くしました。
その夜布団の中で本を開いた雪。この漫画なんだか変だなと思うのだが、読まずにはいられないし続が気になる。翌日は次巻を買いにまた本屋を訪れた。初めてBL漫画を読んで虜になったようだ。
そこで出会ったのが本屋でアルバイトをしている高校生のうららだった。うららは雪のことをよく覚えていた。続きが早く読みたくてという雪に、多少の戸惑いを覚えていたのだ。本は二巻はあったものの三巻は在庫切れ。そこでうららが取り寄せることになった。
「こういうのって流行っているのかしら?私初めて読んだんだけど。応援したくなっちゃう」やっと届いた三巻を抱きしめながら雪はうららに言った。「分かります」一歩踏み出してうららが答えた。
実はうららもBL漫画の愛好家なのだが、今まで誰にもそんな話をしたことがなかったのだ。隠れてもこっそり読むタイプだった。それとも人に知られるのが恥ずかしいからだろうか。
75歳の雪と17歳の高校生のうらら。二人はすぐに仲良しになった。雪の家の縁側でBL話に花を咲かせるのだった。そんなある日雪の元に海外で暮らす娘がやってきた。雪はBLにはまったことを隠そうとしなどころか「あんた読んでみれば」なんて娘に奨めるのだ。
そんな雪をうららは羨ましいと思うのだが、雪の方はうららが羨ましと言う。そして「こんなにたくさんの本を読んでいるのですもの、わたしだったら今度は自分で書いてみるわ」と言った。「自分で書く」うららの中で何かが変わった。縁側でノートに書かれた自分の絵を見ている冬服のうらら。
それからも二人の友情は続き、ある日うららは雪をコミケに誘った。だが腰の悪い雪を人混みの中に連れ出すのも気が引ける。泣く泣く諦めたのだが、どうしても雪とコミケに行きたい。
そこで今度は自分で漫画を書いて雪と二人でコミケで売ろうと決心した。ジャンルはBL。果たして二人はコミケに行くことができるのだろうか?
映画「メタモルフォーゼの縁側」は2022年制作の日本映画です。
原作鶴谷香央理「メタモルフォーゼの縁側」監督狩山俊輔 脚本岡田恵和 芦田愛菜(佐山うらら)宮本信子(市野井雪)
好きな本の話ができる友達って良いですね。私もほしいです。雪とうららが羨ましくなりました。
劇中うららの書いたBLに癒やされました。心がほんわかしました。
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