二人の孫娘のピアノ発表会に、祖父母夫婦が招待されました。
近所の花屋さんで、花束を2つ作って頂きました。
日頃のピアノ教室での練習成果を、みんなの前でお披露目です。
会場内の座席は、ほぼ満員。
主役発表児童の両親、祖父母、両親の従妹、それに兄弟が集まっております。
プログラムは、2時間ほどのピアノ演奏会です。
孫の発表は、17番と27番。妹が先で、姉が後です。
演奏会のプログラムに添って、最初から最後まで拝聴しました。
内容は、素晴らしい一言です。
曲の演奏の上手、下手ではありません。
沢山の観衆を前にして、堂々とした姿勢。
恐らく、幼い児童の心境は、緊張している事でしょう。
それを、どの児童も何処にも匂わすことなく、堂々と演奏を終える。
これって、すごく勇気のいることです。
ピアノ発表会ですが、私の視点は、ちょこっと違ってました。
その素晴らしさに、感動の連続です。
子供たちのピアノ演奏を聞きながら、遠い昔のことを蘇らせていました。
今は、古希半ばですから、かれこれ60数年前のことになります。
私が入学した小学校は、田舎の分校場。そして複式学級。一年生は2年生と一緒の授業です。
夫々、前の黒板と後ろの黒板に向かっての授業です。先生は一人二役です。
一年生は2階級,特進です。頭の良い子が多いです。
そして翌年、学校が分校場から独立校になります。
小学校1年から中学3年生まで、一貫教育の場となりました。
校舎が新築され、音楽室には見た事もないグランドピアノが設置されてます。
若い女性の音楽担当の先生も赴任してきました。
山村の田園にピアノの音色が響き渡ります。
田舎の農夫たちには、聞いた事のない音色です。
この若い先生から音楽の宿題が課せられました。
「次の音楽の時間で、独唱してもらいますので、何でもいいから練習してくるように」
人前で歌ったことなどない児童です。
クラスは学校で最も少ない14名。男子児童8名、女子児童6名。
誰もは、人前で歌うことが嫌で嫌で、不安が募ります。
口には出しませんが、児童みんなの気持ちは一緒です。
クラスのガキ大将が、何を思ったのか?
音楽室の内から入口のドアに桟をして、音楽担当の先生を中に入れないようにしたのです。
これで、課題の独唱をしなくて済んだと思ったのです。
それほど、嫌で嫌でたまらなかったのです。
その結果、どうなったと思います?
その音楽担当の若い先生は、騒ぐことなく入口のドアを外して、教室に入ってきました。
「無理な宿題出して、ごめんね!」
先生が、謝ったんです。
これには、ガキ大将はじめ、皆びっくり。不安も解消し、素直ね笑顔が並びます。
それだけではありません。
その若い先生が、独唱してくれたのです。
何の唄なのか判りません。聞いた事もない歌です。
先生の声が、何処からでているのか、不思議な歌いまわしの唄です。
この集落で聞く民謡ではありません。
今思うと、オペラ歌手だったのかなぁ?
素敵な歌声でした。
そして、この若い音楽担当の先生が、赴任して1年後のことです。
この学校の生徒を引き連れて、NHKの音楽合唱コンクール地区予選大会に
出場を果たしたのです。
参加申込をすれば、地区予選大会に出場できたかもしれませんが
この集落の学校では、画期的な出来事です。
クラスのあのガキ大将も、コーラス出場メンバーに加わっていました。
懐かしい思い出です。
その合唱コンクールで歌い終わったと、審査委員の先生方の好評がありました。
褒められた事だけは、記憶の隅にしっかりと残ってます。
合唱コーラス、決して上手だったとは思いません。
参加児童、皆普段着のまんま。ステージ衣装など整えるほど豊かではありません。
「なぜ、あの時、褒められたのだろう?」
未だに解読出来てない謎ですが、
齢を重ねた今思うと、何となく推測できるような気がします。
後日談ですが、この集落から、ある年の民謡日本一が誕生しました。
集落の娯楽は、学校行事の運動会と学芸会。
それに、旧盆の民謡盆踊り大会です。
そんな中から、郷里の誇れる民謡スターの誕生です。
孫娘のピアノ発表会から、とんでもない方向に反れたブログになってしまいました。
音楽の魅力って、ちょっと違った観点からの感想です。
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