今度の公演は芝居のテーマが『今を楽しく生きる』だったのですが
僕自身、これまでとはちょっと違う個人的な思いを持って本番に臨みました。
主役ジュリアと、僕が演じたジョージはともに病気を持っていて
ジュリアは白血病、ジョージは重度の糖尿病という設定。
どちらも、いつ人生の終わりが来てもおかしくない。
それでも、全く希望が無いわけでもない。
いつまで生きられるか判らないからこそ、前を向いて生きよう。
そして前を向いたら楽しく生きようって。
僕の役どころは、そういう気持ちをジュリアに伝え続ける役でした。
中学校の同級生と会っても、命に関わる病気に罹った人間が何人もいる。
女性では乳癌の手術を受けた人が居たり、病気を抱えて居る不安を
ずっと持ち続けて生きている人が沢山います。
僕はお陰さまで、健康的な問題は全くなく生活出来ていますが、
それだって『明日』の保証がある訳じゃない。
僕のような還暦を過ぎた人間は少しずつ感じているんじゃないでしょうか?
公演の1か月前に、僕の公演を数年に渡って観に来てくれていた知人が
突然『メラノーマ』の診断を受けた。
ご存知の方が多いかも知れませんが、メラノーマとは
悪性黒色腫とも呼ばれる皮膚がんの一種です。
その診断を受けて、その方は頭の中が真っ白になっただろうと思います。
僕が父親の癌宣告を医師から受けた時に、貧血を起こしたくらいですからね。
お袋の時は、そんな経験もあったので比較的落ち着いて聴けましたが、
自分の事だったら、どうなってしまうだろう?
冷静に居られる自信なんか全くないです。
それだけに、知人を何とか励ましたいなって・・・・
その知り合いが入院する前日、日曜日の最終公演を観に来てくれた。。
もしかして、来て貰えないかな?なんて思いましたが
友人を通じて『ぜひ来てください』とお伝えしておいた。
色々と悩んだようですが、芝居に来てくれる事になりました。
僕はその知人に、渾身を込めた芝居と唄で
『頑張って、諦めず元気に生きましょう』
というメッセージを伝えたかった。
中学校の同級生たちや、同じように何かを抱えて居る人達にも
前を向いて、今を楽しく生きて欲しいなって・・・・
そんな思いを込めて、全ての公演に全力を注ぎました。
芝居の後にロビーでお客様に挨拶する場へ、その知人が来てくれて
『頑張って生きるね』と話してくれました。
その他にも、色々な人から『ありがとう』って・・・・
僕のような下手糞の芝居でも、気持ちを込めてやれば伝わるって、
そう信じて公演に臨んだから、そういった言葉を貰って、
逆に僕が励まされて、胸にこみ上げるものがありました。
今を楽しんで、一生懸命生きましょう。
そんな脚本家のメッセージが、僕自身にも響いてきた公演でした。