今月中に終わらせると言っていた、特殊溶液の回収装置。
1月に立会いがあって、その時に騒音対策が新たに仕様に盛り込まれ
大幅な設計変更を施して、何とか元のフレームの中に押し込んだ。
元々、溶液の完全回収などできないから、外部に出さないという事で受けた仕事。
当初は音の問題なんて、まったく問題にしていなくて
『溶液のミストが外部に流出なければ良い』という要求だった。
それが1月に完成し、エンドユーザーが立会いで来て性能には満足していた。
ただ、75dbという騒音が部屋に漂うのを嫌がって、60db以下にして欲しいという
新たな要求をしてきて、そのための騒音対策を施す追加工事をやる事になった。
参考ですが、一般的な騒音の大きさ(dB)に対する数値は以下の通りです。
☆生活音、家庭用設備
エアコン :約41~59dB
温風ヒーター :約44~56dB
換気扇 :約42~58dB
風呂又は給排水音:約57~75dB
洗濯機 :約64~72dB
掃除機 :約60~76dB
目覚まし時計 :約64~75dB
電話のベル音 :約64~70dB
ピアノ :約80~90dB
電車の車内 :約70~80dB
エレクトーン :約77~86dB
ステレオ :約70~86dB
テレビ :約57~72dB
犬の鳴き声 :約90~100dB
車のアイドリング:約63~75dB
人の話し声(日常)ささやき声 :約50~61dB
人の話し声(大声)普通の会話 :約88~99dB
これで分かる通り、最初は電車の中や掃除機をかけているような
そんなが音が一日中、部屋の中に漂ってしまうようなものでした。
それを方式変更して今日の測定で最大58dbまで抑えることが出来た。
これならエアコンの音とさほど変わらない。
吸引する空気の量も、前の仕様では固定流量で48㎥/Hだったのが、
設計変更後は30~55㎥/Hを連続可変出来るように変更した。
ただ問題は1か月毎に定期的なフィルター交換が必要になった事。
実験をしながら紆余曲折を繰り返して、作り上げた装置の写真です。
上の穴は、ミスト状の溶液が入ってくるダクト。
装置を経由して正面の操作パネルの下の大きな排気口から、
ミストを除去した空気が出てきて、客先のダクトに連結するものです。
左上はこの装置が故障したときに、上から入ったミストをバイパスして
客先のダクトへつなぐための穴です。中には特殊な弁が組み込まれています。
全てのアイデアと設計は僕のオリジナル。
出来栄えはこんなものですが、出来上がってみると、やっぱり感慨深いですね。
ただ、この装置はエンドユーザーが待ち望んでいるにも拘らず、
値段の折り合いがつかず、今の所は出荷の目途が立っていない。
電気設計だった僕が、見よう見まねで筐体設計をやって作った代物。
色んな制約がある中、機械図面を描いて業者に作ってもらった。
寸法が合わなくて手直しした部分も多々あった。
機械図面、とりわけ筐体の設計は思っていた以上に奥が深かった。
その他にも、流体や熱交換の物理計算をしたりと、
色々と勉強することが多かったので、凄く新鮮な感じでしたね。
これで仕事も一区切り。
心置きなく連休を迎えることが出来そうです。