[総括:2014年:短歌を巡って]
今年は、転機となりそうなことが、いくつかあった。箇条書きにしてみよう。
1、長年、病気療養をしてきた。10年になろうとしている。ここへきて、非常に明るい道が開けた。
病気は幾つかあったが、大きいものは、胃がんと鬱病だった。胃がんで胃を全摘したのは、2005年だった。ガンは10年延命すると、再発はほとんどないと聞いた。年が明ければ、2015年。手術から10年経つ。再発はないだろう。
次に鬱病。これは自分でも不思議なのだが、症状が消えてしまった。「詩人の聲」への参加は、自分の公演が15回、他の詩人の聲を聴いたのが、88回。合わせて103回になる。このため都内の画廊を、一日おきぐらいの頻度で駆け巡った。この活動的な生活がよかったのだろう。歌集、評論集の「略歴」に「病気療養中」と書く必要はもはやない。
2、「詩人の聲」へ精力的に参加したこと。10月には北海道まで行った。(第一回北ノ聲)これを通して、幾つか発見した。聲に載せることで旧作をすべて見直した。『夜の林檎』『オリオンの剣』『剣の滴』と三冊の歌集を出版したが、作品の完成度は、残念ながら低いと言わざるを得ない。特に『夜の林檎』は残せる作品は、三分の一ほどしかない。厳しいがこれが現実なのだ。
旧作を見直す中で新しい発見もあった。フェイスブックにはすでに投稿したが、旧作の未発表の作品群に、表現は未熟だが、着眼点が新鮮なものがたくさんあった。それを大幅に改作して、一気に新作を、600首ほど詠んだ。これを「詩人の聲」で聲に載せて完成品としたい。
3、「運河」「星座」「星座α」を合わせて、数十回の歌会(批評会)に参加。これに「霧が丘短歌会」の11回を加えると、正に短歌漬けの一年だった。「運河」の山内照夫は、若い頃月に4回ずつの歌会に出ていたそうだ。歌会は批評会だ。自分の作品が容赦なく批評される。ここで表現を練ることが出来る。歌会のあとの懇談会では、「星座」の尾崎左永子主筆から、さまざまな話を聞いた。これは大きな財産となるだろう。
4、「詩人の聲」を通して現代詩を読みはじめた。短歌を始めたとき詩集を買い込んだ。しかし、詩集、評論をよんでも実感がなかった。「詩人の聲」で、現代詩をノーマイクで聞きこんでくると、現代詩を読んで、抒情を受け取る回路が、僕の体内に備わったようだ。短歌と現代詩では、どうも抒情を受け取る回路が異なっているようだ。
そして『田村隆一全集』『吉田一穂全集』『辻井喬全詩集』を買った。我が家にある詩集もかなり読んだ。このブログの書評で、詩集、詩論の批評が増えたのでも、お分かり頂けるだろう。
5、幾つかの商業誌の原稿依頼に応えたこと。実作の発表、エッセイの執筆など様々だったが、何かを掴んだ感じがする。
短歌を始めて、15年になるが、これほど稔りの多い一年はなかった。来年を期したい。
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