岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「星座α」28号より・相聞5首

2022年04月13日 23時36分02秒 | 岩田亨の作品紹介
・出窓より街を見ながら微笑める美緒を見たりき路上のわれは

・アラブ馬に頭(ず)を垂れ居たる汝(なれ)のことわれは見守る厩舎にありて

・冬空を見あぐる美緒の横に立ち心あたたかしこの夜もまた

・ゆらめきて色ゆたかなる羽根のごとフラメンコダンサーのドレスの裾は

・冬となり毛皮の帽子を手放さずロシア生まれの若き女(おみな)は


 難解歌はないと思う。読んだまま受け取っていただければよい。「アラブ馬」に関して「何でアラブ馬でなければならないのか」という問いが歌会であった。アラブ馬は美しい。それが美緒の面差しとかさなるのだ。

 これは親しい人への「愛おしみの歌」だ。

 ところで、これを出詠したあとウクライナ戦争が始まった。それ以来「相聞歌」が一首も詠めない。戦争は心を枯らし、とげとげしくするということだろう。



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