・眩しかる舞台の上のダンサーは憂い漂わせ裾るがえす
知人のフラメンコの舞台を幾たびも見た。フラメンコは流浪の民の楽曲。そのせいだろうか憂いに満ちた表情をして舞台で踊るのを見た。場所と時刻は「捨象」した。
・会いたしと汝(なれ)よりメールが届きたり紫陽花の咲く6月の夜に
「相聞歌」。知り人から「会いたい」とメールが届いた。男女の別、時刻は「捨象」した。
・報道に心の曇る一日(いちじつ)は清楚なるはな夏椿を恋う
「社会詠」。報道に心穏やかならぬ。昨今。そうしたときは美しきものに癒される。どの様な報道か、媒体は何かは「捨象」した。
・汝(なれ)の顔を思い出すときあわあわしムクゲの花の白き輝き
「相聞歌」。知り人の顔を思い出してあわあわしい思いがした。ムクゲの白さを思った。男女の別、個別具体的な名前は「捨象」した。
・いそいそと籠に満たせる苺もちわれを訪ねて来る美沙なりき
「相聞歌」場所、苺の種類、苗字は「捨象」した。
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