宇ゐの里山徒然記

町屋暮らしの後、2013年10月北山杉の里、右京区京北町に移り住みました。
周辺の紹介と暮らしの事など綴ります。

誂え染めのむずかしさ

2005年12月22日 | きもの・着付け
長羽織が仕立てあがった。

羽織ると膝下まである長いもの。色は黒に近い墨色の無地。
羽織紐は丸ぐけと玉の2タイプ購入。
実はこの羽織、なんと3回目の染で出来上がったのだ。。。

最初、『一番濃いグレーにしてください』とお願いして染め上がったのが
どうもコンクリートのような色。。。
次に『墨色にしてください』と生地見本をつけて染め上がったのが
濡れたコンクリート色。。。。 

そして・・・『黒にしてください・・・』と注文。
・・・で染め上がったのが希望通りの黒に近いw墨色である。

理由はこうである。
染屋さんには『色染め』するお店と『黒染め』のお店がある。
一般的な誂え染は普通色染め屋さんに持ち込む。
黒染めは留袖や喪服の染屋さんなのだ。
つまり“真っ黒”という色は色染め屋さんでは染めない・・・というか喪服のような黒には“染められない”のである。

“真っ黒”になることを避けた私は微妙な表現をしてしまった。
色染め屋さんにお願いするのだから黒くしてくださいと言ってもよかったのかもしれない。
ましてや“グレー”が2回染まっている生地なのでこの色になったが
白生地からお願いするのなら色染め屋さんには“真っ黒にしてください”と言ってしまえばよかったか・・・

 しかしここでよかったのは、無事希望通り染め上がったことに加えて
そういった染め屋さんの“傾向”を知ることが出来たことである。
そういう傾向を知らずに単に色無地とかを別の色に“染め替えて”みようとすると
ほとんど希望通りにはいかないものだ。
仮に生地見本を添えてもその見本の色を見る人や場所によって
何色であるかの認識が変わってくる。
認識が違うと職人さんが手に取る染料の分量が変わってくるということになる。

着物で原色はまず着ないのだから何色系統という表現が多い。
“○○っぽい○色”と言っても色の明るさによっても違うし・・・・
そこはかなりデリケートな世界となる。

昔の人は染め替えをよくしていたようだが
それだけ悉皆(しっかい)屋さんも多かったしお客さんの好みを熟知して
注文を受けるという濃いやりとりがあった為にうまく行っていたのだろう。
でも“悉皆やっかい(厄介)”という言葉があるぐらい誂え染の注文には神経をすり減らしていたようだ。

今回は墨色希望だったのでどんどん上から色をかけていけばよかったが
次回、もし薄い色を染めて欲しい時にはどのように頼んだらよいか
今からかなり悩んでいる。

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4 コメント

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色の調整 (ぴく)
2005-12-24 12:08:11
我々の業界では色見本があって、それぞれの色に番号が決まってます。

その中で色の許容差ってのがあってそれに合わせてカラーコンピュータで調合したものの評価をしたり。。。。

無粋な話でしたねw

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色見本 (うみうま)
2005-12-24 16:34:10
確かに、「オリーブ(色見本帳)の何番」という註文のしかたをしても、たとえば紋意匠だと少し濃い目に上がるとか…註文する方も、多少の慣れが必要ですよね♪

わたしが「どうしてもこの色にしたい!」ってときには(特に色無地)別裂を添えて、この色と同じに…と頼んだことがよくあります。染めてくれるおじさんの微妙な匙加減がポイントですよね~
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Unknown (宇ゐ)
2005-12-24 17:18:28
>ぴくさん

ぉぉ ぴくさんお久し振りですペコm(_ _;m)

カラーコンピュータなるものがあるとほんとに便利でしょうねぇ。しかし生地染めって素材の処理の仕方で浸透具合も変わるので何桁もの色番号を指示しても生地の種類の分だけまた色数が増えるんですよね・・・(ノ_-。)

ですから職人さんの勘と発注者の“許容範囲”で染め上がりとして完成に至らせるwみたいな感じなんですw厳しく突き詰めちゃうと完成しない世界になるのかも。。。。



>うみうまさん

まったくそうなんですよー。

色見本帳は数センチで見てて実際には広い範囲で見るので見本帳と同じ色で染まっていても印象が変わって見えることも多いですよね。おっしゃるようになるべく大きい見本生地を添えるのが一番確かですね。
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今年もおせわになりました (ぴく)
2005-12-31 06:25:21
来年もどうぞよろしくお願い致します。<(__)>

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