東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

賃貸借契約が賃借人との間で終了しても賃貸人は再転借人に対抗することができない(最高裁判例)

2009年10月09日 | 最高裁と判例集
(判決要旨)
   ビルの賃貸,管理を業とする会社を賃借人とする事業用ビル1棟の賃貸借契約が賃借人の更新拒絶により終了した場合において,賃貸人が,賃借人にその知識,経験等を活用してビルを第三者に転貸し収益を上げさせることによって,自ら各室を個別に賃貸することに伴う煩わしさを免れるとともに,賃借人から安定的に賃料収入を得ることを目的として賃貸借契約を締結し,賃借人が第三者に転貸することを賃貸借契約締結の当初から承諾していたものであること,当該ビルの貸室の転借人及び再転借人が,上記のような目的の下に賃貸借契約が締結され転貸及び再転貸の承諾がされることを前提として,転貸借契約及び再転貸借契約を締結し,再転借人が現にその貸室を占有していることなど判示の事実関係があるときは,賃貸人は,信義則上,賃貸借契約の終了をもって再転借人に対抗することができない。

(参照・法条)
  民法1条2項,民法612条,借地借家法34条
(判決理由抜粋)
 「前記事実関係によれば,被上告人は,建物の建築,賃貸,管理に必要な知識,経験,資力を有する訴外会社と共同して事業用ビルの賃貸による収益を得る目的の下に,訴外会社から建設協力金の拠出を得て本件ビルを建築し,その全体を一括して訴外会社に貸し渡したものであって,本件賃貸借は,訴外会社が被上告人の承諾を得て本件ビルの各室を第三者に店舗又は事務所として転貸することを当初から予定して締結されたものであり,被上告人による転貸の承諾は,賃借人においてすることを予定された賃貸物件の使用を転借人が賃借人に代わってすることを容認するというものではなく,自らは使用することを予定していない訴外会社にその知識,経験等を活用して本件ビルを第三者に転貸し収益を上げさせるとともに,被上告人も,各室を個別に賃貸することに伴う煩わしさを免れ,かつ,訴外会社から安定的に賃料収入を得るためにされたものというべきである。他方,京樽も,訴外会社の業種,本件ビルの種類や構造などから,上記のような趣旨,目的の下に本件賃貸借が締結され,被上告人による転貸の承諾並びに被上告人及び訴外会社による再転貸の承諾がされることを前提として本件再転貸借を締結したものと解される。そして,京樽は現に本件転貸部分二を占有している。
 【要旨】このような事実関係の下においては,本件再転貸借は,本件賃貸借の存在を前提とするものであるが,本件賃貸借に際し予定され,前記のような趣旨,目的を達成するために行われたものであって,被上告人は,本件再転貸借を承諾したにとどまらず,本件再転貸借の締結に加功し,京樽による本件転貸部分二の占有の原因を作出したものというべきであるから,訴外会社が更新拒絶の通知をして本件賃貸借が期間満了により終了しても,被上告人は,信義則上,本件賃貸借の終了をもって京樽に対抗することはできず,京樽は,本件再転貸借に基づく本件転貸部分二の使用収益を継続することができると解すべきである。このことは,本件賃貸借及び本件転貸借の期間が前記のとおりであることや訴外会社の更新拒絶の通知に被上告人の意思が介入する余地がないことによって直ちに左右されるものではない。
 これと異なり,被上告人が本件賃貸借の終了をもって京樽に対抗し得るとした原審の判断には法令の解釈適用を誤った違法があり,この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。論旨は,この趣旨をいうものとして理由があり,原判決中,上告人らに関する部分は破棄を免れない。」



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合まで

一人で悩まず  042(526)1094 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 更新料の地域差、明らかに ... | トップ | 反貧困世直し大集会2009 ~... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

最高裁と判例集」カテゴリの最新記事