東京多摩借地借家人組合

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借地上建物の借家人が地主から借地契約解除を理由に明渡を要求された

2007年10月22日 | 借地借家の法律知識
(問)借地上の建物を賃借しているが、突然地主から家主(借地人)が地代を長期間滞納したので債務不履行を理由に借地契約を解除したと通告された。6ヵ月後に建物を取壊すので早急に建物を明渡すよう要求された。地主の要求に応じなければならないのか。


(答)借地人の地代不払い・無断増改築等の債務不履行によって借地契約が消滅した場合に、判例は借地契約の消滅を借家人に対抗出来るとしている。その場合、借家人に対する代払いの催告も不要であり、借家契約は借家人が現実に建物利用出来なくなった時に履行不能となり消滅すると判旨している((1)最高裁昭和45年12月24日判決)。
 従って債務不履行を理由とした契約解除の場合、借家人は地主に賃借権を主張できないので最終的にはは建物を明渡さなければならない。
 では、家主である借地人の滞納地代を借家人が居住権を守るために代払いすることは出来ないのか。
 判例は借地権の消滅を防止することに法律上の利益を有することから借家人が借地人に代わって地代を支払うことを認めている((2)最高裁昭和63年7月1日判決)。しかし借家人にまで代払いの催告をして、滞納地代の支払の機会を与える必要はない((3)最高裁昭和51年12月14日判決及び上記(1)の最高裁判決)としている。相談者の地主は建物を取壊す目論見があるので代払いを認めることは状況から困難である。
 借地契約が解除される場合でも、(1)の判決にあるように、借家契約は直ちに終了する訳ではない。地主と借家人との間で建物・敷地の明渡義務が確定され、地主が建物収去土地明渡の強制執行をして建物の使用収益が現実に出来なくなる等、借家人が現実に建物を使用出来なくなるまで借家契約は終了しない。それまでは建物の明渡請求に応じる必要はない。
 但し、借家人は建物取壊しまでの間の家賃を支払う義務がある。加えて地主から地代相当額の損害金の請求を受ける場合もあるので留意すべきである。
 なお借地人が建物を第三者に賃貸しても借地自体を転貸したことにはならない。従って地主に無断で建物を賃貸しても地主は契約を解除することは出来ない。



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