https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190226/k10011827951000.html
「”来月末までに引っ越しをお願いします”って…」
「住む所が見つかるのか、不安でしかたない」
SNSで引っ越し関連について検索していると、こんな書き込みが続々と。何事かと思い調べてみると、
原因は”引っ越し難民”ではなく、そう”レオパレス問題”。
新年度前の引っ越しシーズンとも重なり、深刻なことになっていました。(社会部記者 藤島新也)
”まさか自分が” 突然の引っ越し連絡
「まさか自分が引っ越すことになるとは思いませんでした」
こう話すのは埼玉県の会社員の中野さん(27)。
中野さんの携帯電話に、見知らぬ番号から電話がかかってきたのは、3連休初日の2月9日の夜。実家に
帰省している時でした。
電話で伝えられたのは「3月末までに今の部屋から引っ越してほしい」という内容。中野さんは、突然、
住む場所を追われることになったのです。
実は中野さん、今、問題になっている「レオパレス」の住民だったのです。
「急に引っ越しが必要と言われて驚きました。しかも、ただでさえ引っ越しが多くなるこの時期にです。
条件に合う物件が見つかるかどうか不安になりました。もともと、結婚を機に夏には転居する予定だった
ので、引っ越しは二度手間でしかありません」
本当に返金? 敷金・礼金などは立て替え払い
中野さんは、その後、何とか引っ越し先を見つけることができました。ただ、今も不安はつきないようで
す。
実はレオパレス21側から不動産仲介手数料や引っ越し先に支払う敷金や礼金といった費用、合わせて27万
円余りを立て替える必要があると言われたのです。
最終的にレオパレス21が返金すると説明されていますが、「本当に返金されるのか?」
不安は払拭(ふっしょく)されていないといいます。
「金額が高額な上、想定していない急な出費で準備もしていなかったので大変です…。支払いの1か月後
をめどに、レオパレスから返金があると説明をされましたが、株価も下がる中で、会社がどうなるのか不
安で、本当に返金されるのか心配です」
施工不良問題 要退去者7700人超
現在、レオパレス21から引っ越しを求められているのは、全国の641の物件に住む、7700人余りの入居者
です。
具体的には「ゴールドレジデンス」というタイプの3階建ての物件に住む人たち。これらの物件は「天
井」に問題があることが見つかりました。
その問題とは、天井の「防火性能が法律の基準を満たしていない」というもの。建設前にレオパレス21が
行政に提出した届け出では、音を吸収する性質を持つ板と、耐火性に優れた板を、2枚重ねて天井に張る
ことになっていました。
しかし、実際には板が1枚しか張られていないケースなどが見つかったのです。
行政には、法律に従った工事方法を届け出て許可を得る一方、現場では、ルールを守らない工事が行われ
ていたことになります。その結果、最悪の場合、防火性能は法律で定める基準の半分しかない建物もあ
り、火事が起きると、延焼のおそれがあるということです。
命を危険にさらしかねないずさんな工事。このため、補修が急務となっているのです。
では、どうして引っ越しが必要なのでしょうか。
また、なぜこの時期なのでしょうか。
レオパレス21「退去要請の遅れは申し訳ない」
レオパレス21の担当者に直接聞いてみました。
ーー天井に問題がある場合、なぜ、引っ越しをする必要があるのですか?
耐火性能が法律の基準を満たしておらず、「安全といえない」状態となっているため退去をお願いしてい
ます。退去後、天井には新たに板を張り付けるといった改修工事を行う予定です。場所にもよりますが、
工事にかかる時間は1部屋当たり、1週間以内を想定しています。
ーーこの時期の引っ越しは入居者に大きな負担です。もっと早い時期に引っ越しを要請することはできな
かったのでしょうか?
不備のある物件を特定し、耐火性能の確認、どのような対応を行うかを検討するのに時間がかかってしま
いました。要請が遅くなったことは申し訳ないと思っています。引っ越し業者は、提携する業者に依頼し
て会社が確保する予定で、負担がかからないように進めていきます。
ーーそもそも、どうして、このようなずさんな工事が行われていたのですか?
現在、当時の経緯を調査しています。現時点ではわかっていません。
「住むところが見つからない…」 ”レオパレス難民”も
突然、住む場所を追われる事態に、SNS上には「住むところが見つからない」という深刻な声も少なく
ありません。
その1人、千葉県の斉藤さん(35)。斉藤さんが住んでいる所も問題の物件の1つでした。
レオパレス21から提示された新物件の家賃は、どこも今より1万円以上高く、経済的に難しい状況です。
レオパレス側が設定した退去期限までに新たな物件を見つけ、引っ越すことができるのか、不安でたまら
ないといいます。
「レオパレスから提示された引っ越し先は、どの物件も今より1万円~1万5000円ほど家賃が高くなって
しまいます。毎月かかるお金なので、死活問題です。オーナーとも家賃交渉をしてくれるそうですが、ど
うなるのかわからないのが現状です。今の部屋についても、修繕の見通しは立っていないため、戻れるの
かわからないと伝えられています。住む場所が見つかるのか不安でしかたない」
3軒に1軒が何らかの不備 対象者拡大のおそれも?
レオパレス21の物件の不備は、引っ越しを求められている天井以外にも、延焼防止と遮音の役割を果たす
「界壁(かいへき)」、建物の「外壁」でも見つかっていて、その数は1万1243棟に上っています。
すでにレオパレス物件の3分の1がなんらかの不備があることに。不備が無いかの調査も、まだ2万5000
棟余り残っていて、今後、さらに拡大するおそれもあります。
引っ越しを余儀なくされる人は今後さらに増えるおそれはあるのか。レオパレス21に取材しました。
レオパレス21は「現時点では、今後、引っ越しが必要なケースは無いと考えています。ただ、補修工事の
ために、一時的にホテルなどに移っていただく場合はあります」と説明しています。
今後、引っ越しが必要なケースが無いとは言えないのが現状です。
当然ですが、住んでいる場所を突然追われる不安は非常に大きいものです。
入居者たちが1日でも早く安心して、生活できるようにレオパレス21は、入居者に対して丁寧な説明と対
応が求められると強く思いました。
NHKでは、レオパレス問題について引き続き取材を進めていくことにしています。
入居者やオーナー、建築に関わった関係者などからの情報提供をお待ちしています。
以下のリンク(ニュースポスト)から情報を提供してください。
https://www3.nhk.or.jp/news/contents/newspost/
投稿には「レオパレス問題」とお書き下さい。ご協力よろしくお願いします。
「”来月末までに引っ越しをお願いします”って…」
「住む所が見つかるのか、不安でしかたない」
SNSで引っ越し関連について検索していると、こんな書き込みが続々と。何事かと思い調べてみると、
原因は”引っ越し難民”ではなく、そう”レオパレス問題”。
新年度前の引っ越しシーズンとも重なり、深刻なことになっていました。(社会部記者 藤島新也)
”まさか自分が” 突然の引っ越し連絡
「まさか自分が引っ越すことになるとは思いませんでした」
こう話すのは埼玉県の会社員の中野さん(27)。
中野さんの携帯電話に、見知らぬ番号から電話がかかってきたのは、3連休初日の2月9日の夜。実家に
帰省している時でした。
電話で伝えられたのは「3月末までに今の部屋から引っ越してほしい」という内容。中野さんは、突然、
住む場所を追われることになったのです。
実は中野さん、今、問題になっている「レオパレス」の住民だったのです。
「急に引っ越しが必要と言われて驚きました。しかも、ただでさえ引っ越しが多くなるこの時期にです。
条件に合う物件が見つかるかどうか不安になりました。もともと、結婚を機に夏には転居する予定だった
ので、引っ越しは二度手間でしかありません」
本当に返金? 敷金・礼金などは立て替え払い
中野さんは、その後、何とか引っ越し先を見つけることができました。ただ、今も不安はつきないようで
す。
実はレオパレス21側から不動産仲介手数料や引っ越し先に支払う敷金や礼金といった費用、合わせて27万
円余りを立て替える必要があると言われたのです。
最終的にレオパレス21が返金すると説明されていますが、「本当に返金されるのか?」
不安は払拭(ふっしょく)されていないといいます。
「金額が高額な上、想定していない急な出費で準備もしていなかったので大変です…。支払いの1か月後
をめどに、レオパレスから返金があると説明をされましたが、株価も下がる中で、会社がどうなるのか不
安で、本当に返金されるのか心配です」
施工不良問題 要退去者7700人超
現在、レオパレス21から引っ越しを求められているのは、全国の641の物件に住む、7700人余りの入居者
です。
具体的には「ゴールドレジデンス」というタイプの3階建ての物件に住む人たち。これらの物件は「天
井」に問題があることが見つかりました。
その問題とは、天井の「防火性能が法律の基準を満たしていない」というもの。建設前にレオパレス21が
行政に提出した届け出では、音を吸収する性質を持つ板と、耐火性に優れた板を、2枚重ねて天井に張る
ことになっていました。
しかし、実際には板が1枚しか張られていないケースなどが見つかったのです。
行政には、法律に従った工事方法を届け出て許可を得る一方、現場では、ルールを守らない工事が行われ
ていたことになります。その結果、最悪の場合、防火性能は法律で定める基準の半分しかない建物もあ
り、火事が起きると、延焼のおそれがあるということです。
命を危険にさらしかねないずさんな工事。このため、補修が急務となっているのです。
では、どうして引っ越しが必要なのでしょうか。
また、なぜこの時期なのでしょうか。
レオパレス21「退去要請の遅れは申し訳ない」
レオパレス21の担当者に直接聞いてみました。
ーー天井に問題がある場合、なぜ、引っ越しをする必要があるのですか?
耐火性能が法律の基準を満たしておらず、「安全といえない」状態となっているため退去をお願いしてい
ます。退去後、天井には新たに板を張り付けるといった改修工事を行う予定です。場所にもよりますが、
工事にかかる時間は1部屋当たり、1週間以内を想定しています。
ーーこの時期の引っ越しは入居者に大きな負担です。もっと早い時期に引っ越しを要請することはできな
かったのでしょうか?
不備のある物件を特定し、耐火性能の確認、どのような対応を行うかを検討するのに時間がかかってしま
いました。要請が遅くなったことは申し訳ないと思っています。引っ越し業者は、提携する業者に依頼し
て会社が確保する予定で、負担がかからないように進めていきます。
ーーそもそも、どうして、このようなずさんな工事が行われていたのですか?
現在、当時の経緯を調査しています。現時点ではわかっていません。
「住むところが見つからない…」 ”レオパレス難民”も
突然、住む場所を追われる事態に、SNS上には「住むところが見つからない」という深刻な声も少なく
ありません。
その1人、千葉県の斉藤さん(35)。斉藤さんが住んでいる所も問題の物件の1つでした。
レオパレス21から提示された新物件の家賃は、どこも今より1万円以上高く、経済的に難しい状況です。
レオパレス側が設定した退去期限までに新たな物件を見つけ、引っ越すことができるのか、不安でたまら
ないといいます。
「レオパレスから提示された引っ越し先は、どの物件も今より1万円~1万5000円ほど家賃が高くなって
しまいます。毎月かかるお金なので、死活問題です。オーナーとも家賃交渉をしてくれるそうですが、ど
うなるのかわからないのが現状です。今の部屋についても、修繕の見通しは立っていないため、戻れるの
かわからないと伝えられています。住む場所が見つかるのか不安でしかたない」
3軒に1軒が何らかの不備 対象者拡大のおそれも?
レオパレス21の物件の不備は、引っ越しを求められている天井以外にも、延焼防止と遮音の役割を果たす
「界壁(かいへき)」、建物の「外壁」でも見つかっていて、その数は1万1243棟に上っています。
すでにレオパレス物件の3分の1がなんらかの不備があることに。不備が無いかの調査も、まだ2万5000
棟余り残っていて、今後、さらに拡大するおそれもあります。
引っ越しを余儀なくされる人は今後さらに増えるおそれはあるのか。レオパレス21に取材しました。
レオパレス21は「現時点では、今後、引っ越しが必要なケースは無いと考えています。ただ、補修工事の
ために、一時的にホテルなどに移っていただく場合はあります」と説明しています。
今後、引っ越しが必要なケースが無いとは言えないのが現状です。
当然ですが、住んでいる場所を突然追われる不安は非常に大きいものです。
入居者たちが1日でも早く安心して、生活できるようにレオパレス21は、入居者に対して丁寧な説明と対
応が求められると強く思いました。
NHKでは、レオパレス問題について引き続き取材を進めていくことにしています。
入居者やオーナー、建築に関わった関係者などからの情報提供をお待ちしています。
以下のリンク(ニュースポスト)から情報を提供してください。
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