東京多摩借地借家人組合

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定期借家制度って、何か借主にメリットあるの?

2007年10月29日 | 定期借家制度
(問) 平成6年4月から1戸建ての貸家を借りて居住しています。定期借家という借家制度ができたそうですが、借りる人には何かメリットがあるのでしょうか。また、借りる際にはどんなことを注意したらよいでしょうか。

 (答) 2000年の3月1日から今までの借家契約に「定期借家契約」が加わりました。
 この定期借家契約は、契約の期間あるいは建物の種類・用途を問わず、契約期間が満了したときは、契約は更新されることなく、終了する契約です。従って契約期間が満了すると、借家人は家主に対し、立退料や引越料その他を一切補償されることなく無条件で明渡さなくてはなりません。

 あなたが借りている貸家の契約は、普通借家契約ですので、借地借家法第28条により、家主に建物を使う必要など正当の事由がない場合には、これまでどおりの借家契約の内容で更新されるので心配する必要はありません。

 家主の中には「法律が変ったので定期借家契約」に切替えを求めてくる場合があるかも知れませんが、今回の改正では、居住用借家の場合には、『当分の間』定期借家契約への切替えはできないことになっています(特別措置法附則第3条)。

 定期借家契約は「礼金・敷金はなくなり、家賃も安くなる」など、メリットがあるかのような宣伝がされていましたが、実際の借家市場では礼金・敷金を取るケースが多く、家賃も普通借家物件に比べ高額な物件が出回っています。賃貸住宅市場は不況で空家が多く、定期借家物件は今のところ人気がありません。

 はっきり言って定期借家契約は借家人に何のメリットもありません。再契約できるという条件が付いても要注意です(注)。再契約できるかどうかは家主の意思次第で借家人は何の要求もできません。不動産業者に勧められても断って、更新のできる普通借家物件を紹介してもらいましょう。

 (注)国土交通省の「定期借家契約の実態調査」(2004年1月16日発表)の中に平成14年の定期借家契約7111件の内で再契約が出来なかったのは3911件で55%という結果がある。

 言い換えると55%の借主が再契約を一方的に拒否されて無条件で居室から立退かざるを得なかったという事実は注視しなければならない。

 定期借家制度は期間が満了すると貸主は契約を一方的に終了させ、立退料を支払うことなく確定的に明渡を完了させられる。借主にとっては非常に危険な契約である。


東京借地借家人新聞より



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