剣道三弾で逮捕術や射撃の腕前もよく、何よりもハッとするほどの美貌の持ち主、それが警視庁上野署組織犯罪対策課に勤務する八神瑛子係長だ。
肩書きと容姿だけで判断すれば、最近流行りの美人刑事の活躍する警察小説だろうと思われるが、さにあらず。
未だかつて八神瑛子ほどダーティで苛烈で非情な女刑事がいただろうか ?
男なら過去に沢山の悪に染まったデカがいたが、しかし生半可なダーティさではないのが八神瑛子だ。
真相究明のためなら手段を選ばず、ヤクザだろうが同僚だろうがためらわずに拳銃を抜き、中国マフィアや悪党とも手を結び、同僚や上司にも金を貸し付け弱みを握り、自分のいいなりにして情報を引き出す。
その容姿からは想像もできない苛烈な捜査で数々の犯人を検挙し、エリートキャリアの署長にさえ盾突き、自分流を貫く。
なぜ八神瑛子がそんなダーティなデカに変わったのか。
それが物語の核になり、「アウトバーン」「アウトクラッシュ」ときて壮絶なクライマックスを迎える「アウトサイダー」とシリーズ3部作を構成する。
3作目の「アウトサイダー」では、新宿署の怪物刑事・五條との凄まじい戦いの果て真実が明らかになる。
そんじょそこらの警察小説とは頭ひとつ飛び抜けた、もうぶっ飛びもののアクション。
ヤワなテレビドラマでは到底描けないエグイ内容。
頭が切れて非情な美人刑事だが、スーパーコップではないから、つねに傷つき追い詰められる。
だが決して弱音を吐かず、1%でもチャンスがあれば活路を見いだす執念。
危険すぎる女刑事のドラマは、3部作では終わるまい。
残念なのが1日、いや1晩で読み終えてしまうほど面白いのが玉にキズなのだ。
読むべし
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