Don't stop 
my Love
・８透明「さて、次はトラウマをどうにかしないと
いけないね
」椎野「トラウマ・・・私のトラウマって・・・
」トラウマは、大体の人がその存在を認識出来ていない
ケースが多い
何故か
暗いところが苦手とか、閉所が苦手など理由としての部分が見出せず、結果として
身体反応だけが表面化してしまう
椎野さんの場合、過去の囚われにより、
対人関係で親密になればなるほど身体が萎縮し
緊張をよんでしまうようで、その緊張感から
自分を否定し自信を消失させてしまっている
透明「椎野さんのトラウマは、椎野さんが知る
必要のないものだよ
」椎野「えっ
で、でも・・・。」透明「でも
」椎野「あっ
ごめんなさいまた言っちゃった」透明「あはははっ
それはゆっくり直していけばいいから、焦らなくていいよ
椎野さんのトラウマに関しては、本当に
椎野さん自身が知らなくてもいいんだ
先生が必ず何とかしてあげるから
」椎野「は、はい
」ステップ１
トラウマの自己認識を避ける
場合にもよるりますが、
トラウマの理由を自己認識していない場合
深く詮索しない方が治しやすい場合があります
もし、トラウマを認識させてしまうと
その時の情景がより鮮明に思い出され
より深く傷つき回避出来ない傷になる時もあるからです
特に椎野さんの場合は、対人関係に対しての
トラウマなので、これ以上人間に対する不信感を
抱かせない方が懸命というわけです
しかし、トラウマ治療にも色々な種類があり、
トラウマを自己認識をさせて、その理由を噛み砕き
「そんなこと、大したことじゃない
」と認識がくつがえさせることが出来れば
トラウマの除去は成功する
という方法もあります
ですが、大したことじゃない
と想えない理由の場合は、自己認識が返って危険を伴うこともある為、
私はなるべく認識させない治療をするようにしています
透明「椎野さん
もう一つ質問していいかな」椎野「はい
」透明「さっき、自分が好きか聞いたけど、
椎野さんは、人が嫌い
」椎野「えっ
・・・私は・・・嫌いじゃないです・・・多分、怖いんだと想います・・・
」透明「なるほど
それは椎野さんにとってとっても大切な答えだよ
」椎野「
」透明「椎野さんは、人が嫌いじゃなく好きでいたいって
いうこと
そして、裏切られたり嫌われたりすることが怖いっていうこと
」椎野「・・・はい・・・。」
透明「それはね、椎野さんだけのことではないんだ
実は先生も思ってることだよ
」椎野「えっ
」透明「人間誰しも人に嫌われたり裏切られたりする
ことは嫌だよね
だからこそ、自分を守って人との距離を保ったまま人付き合いしたり
している
人それぞれ表現の仕方は違うけど椎野さんの考え方は、皆と変わらないって
ことなんだよ
」椎野「そ、そうなんですか
」透明「うん
椎野さんこの世の中、皆そういう想いをもって生きていて、椎野さんと共通する
ものをもった多くの人達で構成しているんだ
怖いからこそ人を裏切るようなことをしても
自分を守りたいと思ってしまう人も中にはいるけど
皆同じ考えをどう表現するかで、その内容は
変わってしまうものなんだ
」椎野「そっか・・・みんなそうなんですね・・・。
私だけじゃないんだ・・・。」
ステップ２
共感性を引き出す
自分だけが劣っているという考えを捨て
ありのままの自分を受け入れることが
トラウマ治療には大切です
実際に人は生きる為、人と争うことも、
あまり良くない行為を行うこともあります
全てが全て肯定は出来ませんが、その実
そういった行動の裏には己の弱さや恐れが
見え隠れすることも多く、椎野さんのような
表面的なものを裏にもっている人が大半なのかも
しれません
人と自分が同じ考えをもって行動している
劣等感をもった彼女には、この共感性は
大きく心を癒すことにつながって行きます
さてさて次回は、いよいよ大詰めです
続く・・・。
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