月夜の晩に・・・。 ・
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少し空気が重くなってしまったが
少しずつ、井土さんを気遣いながら進めて
行かなければ
透明「井土さん
先ずは、1つ1つ
行きましょうね
」
井土「は、はい
」
透明「井土さんにとって、今回のリストラが、
確実にパニック障害の原因になっている
と思います
しかし、このリストラを受けたことこそ
井土さんのパニック障害を治す薬にも
なることを、知っておいてください
」
井土「えっ
」
透明「パニック障害の根本は、脳が受けた強い衝撃
により、脳そのものが誤作動を起こしている
と考えていただいた方が良いと思います
」
井土「誤作動・・・ですか
」
透明「はい
先ずは、パニック障害というものを
理解してもらいたいのですが
この時、
絶対に行なってはいけないのが、今からお話する
話と自分の状況を照らし合わせないことです
もし、照らし合わせて考えてしまうと、
脳が強いストレスを感じ、発作が起こってしまうこと
がありますから、冷静に聞いてくださいね
」
井土「は、はい
」
皆さんも、パニック障害をお持ちの方は、
注意しておいてくださいね
透明「それでは、お話します
これは、
私の経験談としてパニック障害
を克服した方法なので、全ての方に
適合しているかは、分かりませんが
それでも、状況は緩和できると思いますので、
聞いていてくださいね
先ほども、お伝えしましたが、パニック障害
というのは、脳が強い衝撃を受けて誤作動を
起こしている状態と考えてください
」
井土「はい
」
透明「それでは、
何故、脳は誤作動を起こしたのか
それは、人それぞれ自分にとって弱い部分を
刺激されたことによって起こってしまったと
考えるのが分かりやすいと思います
そして、このパニック障害の問題となる点は、
その事柄を強く記憶に刻み込んでしまっている
ということです
」
井土「
」
透明「パニック障害を患ってしまった人たちの中には、
経験がある人もいると思いますが
原因となる事柄はハッキリしているのに、そのことを
忘れることができなく、拘ってしまうか
忘れようとすることで、想い出してしまうか
のどちらかが問題となる人も多い思います
もちろん、あまりにもショックが大きすぎて
その原因自体を受け止めることができなくなり、
忘れてしまったようになっている人もいますが、
それでも脳はそのことを覚えていて、切っ掛けがあれば
発作として出てしまう場合もあります
」
井土「確かに・・・僕の場合は、原因がハッキリして・・・
」
透明「おっと
ストップ」
井土「
」
透明「井土さん
今、自分の状況と照らし合わせようと
してしまっていますので、客観的に行きましょうね
」
透明「それでは、続けますね
パニック障害の問題は、この深く刻まれた
記憶を呼び起こすプロセスが鋭敏に働いて
いるということなんです
」
井土「
」
透明「人間は、その時の状況を、
五感を使い記憶します
例えば、その時に言われた言葉
他にも臭い、その時に見たモノ、味、体感した温度、
感覚で得てしまったものは、それに近い状況に
反応して、全てをその記憶に結びつけてしまいます
その為、全然関係ない場所でも、記憶を呼び覚まして
しまう切っ掛けさえあれば、発作は起こり、
その人を苦しめてしまうんです
」
井土「・・・確かに、発作が起こるとき、いつも急に頭に
モヤがかかったような感覚になります
それに、そうなるときは決まって、最初に発作が
起こったときに近い感覚になっているような
気がします・・・。」
透明「そういう面では、人間の本能的な部分が
この症状を引き起こしてしまうため、逆らうことが
できない
難病なのかもしれません
」
井土「そうですね
・・・でも、それならどうやって
」
透明「確かに、今の話だけでは治すことが難しく
感じてしまうかもしれませんが、もともとこの病気は
その人を守るために発作を起こしているという
ことも忘れないで欲しいんです
」
井土「えっ
」
透明「パニック障害は、傷ついた心を癒したい
自分自身の気持ちが起こす症状です
井土さんご本人が傷つき、その事柄から
抜け出したいからこそ、
その記憶に準ずる事柄が
あれば発作を起こし、その記憶から遠ざけようと
します
要するに、記憶がよみがえりそうになると
そこから遠ざけようと
記憶を呼び起こさない
ようにと、発作が起こるんです
」
井土「で、でも、僕は・・・
」
透明「もちろん、想い出さないように努力をして
いると思います
でも、実は、そのことが返って想い出すことに
つながってしまうこともあります
」
井土「難しいですね・・・。」
透明「確かに、このままでは難問です
ですが、冷静に状況を知っていけば
打開することは出来てくるんです
」
井土「
」
透明「これからお話することは、この病気を
克服する切っ掛けになってくれると思います
ですが、それには、
井土さんご自身の覚悟と
協力が必要になりますそれでも、いいですか
」
井土「・・・はい
もちろんです
今の状態を抜け出すことができるのであれば
」
次回、パニック障害をもう少し掘り下げます
続く ・・・。