プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 千田嘉博「真田丸の謎 戦国時代を「城」で読み解く」

2024年10月19日 | ◇読んだ本の感想。

前に千田さんの本を読んだ時には、テレビで見るイメージとはかけ離れた
ガッチガチの文章で若干腰が引けた。
2冊目であるこれもガッチガチかと思ってちょっと怖々だった。
そしたらこっちは話し言葉で柔らかく、初心者向けでしたねー。
前のも新書だった気がするがなー。一体なんでそんなに書き方を変えたのか。
わからん。

本書では、
1.真田丸要害説
2.真田氏と城づくり
3.日本の城の歴史の(簡単な)概説
を書いている。だから「真田丸の謎」というタイトルに合致しているのは
第2章までだね。
しかしこの3つの内容はそれぞれ面白かったので不満はない。
むしろ順番的には3→2→1と進むべきではないかと疑問は持つけど。

1については、今まで真田丸は大阪城の馬出しとして作られたというのが定説だが、
実は独立した柵、要害として作られていたのではないかという話。
細かい検証は読んでも忘れたが、

馬出しというには大阪城との位置関係が離れすぎてる。
間になんか細かい地形があって直接的な連携がとりにくい。
馬出しならば本当はもっと西側にあるべきものだが、
東に寄せることで高い位置に建てて要害性を高めている。

こんな話だったように思う。けっこう納得できる話だった。
なんかうっすら真田丸には違和感を持ってて。
馬出しがそこまで防御性と攻撃性を持つか?と思っていた。むしろ要害の方が納得。

そして、真田幸村の――昨今真田信繁になっているが、幸村の方が馴染みがあるのよ――
当時の大阪方内での立ち位置は、そこまで重んじられてはいなかっただろうというのも納得。
父の昌幸の戦上手は知られていても、幸村自身の戦功はほぼゼロ。実績がない。
名も知られてない。

それに加えて、豊臣恩顧の武将ってわけでもないものねえ。
幸村が総大将になる選択肢はなかったんだ。ドラマとかで見てると、
「なぜ幸村に指揮をとらせなかったのか」と歯がゆく思うけれども。

2は特に思うことはなし。最近武田氏関連の本をなんぼか読んだので、
なるほどなるほどと思いながら読んだ。

3は北条・上杉・武田・今川、各大名の城づくりが面白かった。
やはり武田が滅びたのは必然だったのかもしれない。
城から具体的な統治の仕組みが読み取れるというのは面白いなあ。
ちなみに定説になっている「信玄が上洛途中に急死したので武田軍は途中で引き返した」
というのは千田さん的にナシ。であれば3万ぽっちの軍勢は少なすぎるとのこと。


読んでてなんかしみじみと思ったんだが。
家康が豊臣家を滅ぼしたのは、――権力欲を別としても必然だったんだなって。
狸親父が、秀吉に託された秀頼を死に追いやったのはエグイと思っていたけれど、
何の苦労もないおぼっちゃんの秀頼と、
苦労はしたけど全日本国という視点は持てない淀君と、
いくら有能でも生きてきた世界が狭く、官僚でしかない石田三成では
戦のない世を作るのはどう考えても無理だっただろう。

家康は、権力を求めたのも、その権力を子々孫々に伝えていきたいのも
たしかにあっただったろうけど、「厭離穢土欣求浄土」の理想を持っていたのは多分本当。
その理想を実現するためには、秀頼の存在は邪魔だ。

長い時間をかければ、もしかしたらうまく秀頼を一大名に格下げして、
家康が権力を握ることも出来たかもしれないが、
家康にはそれほど長い寿命は残されていなかった。



わたしはこのくらいの軽い読み物でお願いしたいですよ、千田さん。
千田さんの著作は今後も読んでいきたいと思う。
まあもう少し経ってから。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< またも辞めたか亭主殿 >

2024年10月16日 | ドラマ。
2003年のドラマ。20年前ですねえ。
多分見てはいないけど、タイトルが印象的だったので覚えてはいた。
これ、小栗上野介を描いたドラマだったのか。

ここのところ小栗上野介の本をまとめて読んでいて、このタイミングでドラマ再放送は神。
……が、つい先日星亮一著の「最後の幕臣 小栗上野介」を読んだばかりで、
それが小栗の最期をフォーカスした内容だったので、
このドラマの軽やかなコメディタッチは見ていてツラかった。

いや、こういうテイスト自体は好きなんですけどね。むしろシリアスなものよりも
ずっと好き。
でもあんな最期を迎えてしまう人が、こんなに仲睦まじくしているのを見ると。
切ないんだよなー。

役者はみんな若かった。
というても主役の岸谷五朗もこの頃40歳くらいか。
稲森いずみも30過ぎの女ざかり。というより、とても可愛い役だったね。
いたねえ、中原ひとみ。井上順。近藤正臣。伊東四朗も(それなりに)若かった。
ひところ、謎に露出のあったフローラン・ダバディも出ていた。

しかし私が最も驚いたのは松重豊だ!この頃のこの人はちゃんと笑っていたんだ!
わたしは多分「孤独のグルメ」の何度目かの再放送でこの人を認識したので、
それ以前に見た記憶がないんだよなー。
で、「孤独のグルメ」だとほぼしかめっ面でしょう。
呵々大笑する姿を初めて見た気がする。


西村雅彦が勝海舟はどうでしょうねえ。今は西村まさ彦。
小栗の本を読んでると、今までの勝海舟のイメージは崩れる。
とはいえ、うーん。西村雅彦がやるほど狷介なイメージはないよね。

むしろ岸谷五朗の小栗より、彼ら二人のキャスティングを交換した方が実物に近い気がする。
少なくとも小栗はもっともっと人好きのしない、付き合いにくい人だろう。
その付き合いにくい人が主人公のドラマを見たいかというと、見たくはない。
だからドラマはこれで良かったけれども。

有能でも人付き合いが下手だった人。
そして脇が甘かった人。
しっかりサポートをしてくれる参謀がいればねえ……。
どれほどのことが出来ただろうか。いまさらだが――150年ほど遅いが、口惜しい。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◇ 星亮一「最後の幕臣 小栗上野介」

2024年10月13日 | ◇読んだ本の感想。
小栗判官と小栗上野介の区別がついていないので、
小栗上野介のことを読んでみようと思って、ここ半年か一年くらいで数冊読んだ。
あちこちでちらほら名前は見るんだけど、何をやった人かはほとんど書かれませんよね。
幕末の幕府側は江戸無血開城の勝海舟くらいで、あとは良くも悪くも新選組?
その後は戊辰戦争の悲惨な話で、あまり読みたくない。


小栗上野介、なかなかの傑物でしたね。
こういう人を活かせず瓦解してしまった幕府には無念の気持ちがわく。
小学校、中学校、高校と習ってゆく江戸時代から明治維新への流れは、
旧弊から清新へ、というイメージが先行していて、まあいいこと。という見方が主流。

でも薩長もなかなかに非道ですからね。権謀術数の限りを尽くす。
だからといって幕府が幕府のまま欧米列強に対応出来た気はしないから、
まあ幕府瓦解、明治政府樹立は相当な流れではあるのだろうけど。

しかしやはり戊辰戦争の残虐さは。
勝海舟と西郷隆盛の江戸無血開城は美談として語られることが多いと思うが、
それはそれとして、その身代わりとして戊辰戦争がより凄惨になった気がして仕方ない。
結局のところ、血を見ないでは済まされない心組み。

それがそもそも268年前の関ケ原の恨みから発していると思えば、
単純に言っちゃえば「因縁」だと思うし、
新式武器と新しい軍隊を初めて試す薩長側としては、実戦を経験出来る貴重な機会。
幕府側勢力はほとんど死に体ではなかったかと思うが、
でも下手に強力な軍艦を持っていたことが相手を刺激した部分もあると思う。
徹底的に息の根を止めておかないとあとが面倒だという計算もあっただろう。
あと武士の闘いではないことで、むしろ程度や駆け引きがわからなかったという可能性もある。

今さら何をいおうとすでに起こってしまっていることなんだけど。


小栗上野介は、戊辰戦争の前に現在の群馬県前橋市にあった自領に引っ込んでしまった。
本人はアホな幕府に見切りをつけたつもりで、でも会津藩に合流するか、
自領で晴耕雨読で日を送るか、まだ決めかねていたところもあったみたい。
それなのに自分さえ江戸から引き払ってしまえば、幕府との関係は切れ、
単なる個人になれると安易に考えていた。

しかし薩長側にすれば、大変な切れ者の小栗を野に放ったままというのは危険極まりなく、
なんら反逆の証拠もないのに軍隊を派遣して、調べることもなく斬首した。

他の小栗関連本は、おおむね彼の活躍をメインに記している。
その活躍は面白いので、
坂本藤良「小栗上野介の生涯 兵庫商社を創った最後の幕臣」
https://blog.goo.ne.jp/uraraka-umeko/e/c7428ca7fd8b0c5b231715941c74c0a1
をお薦めする。

しかし本書は小栗の人生の中で、最後の最後と、その後の家族の辛苦、
そして会津藩、奥羽列藩同盟についてだけ書いてある本。
ちくま文庫の230ページ内外だから短い文章ではある。

でもねえ。ここだけ取り出されるととりわけ憐れでねえ。
読むのが辛かった。特に戊辰戦争の部分。そこまで読まされると思ってなかったから苦痛。


小栗はなあ……。脇が甘くて。
合理的で大局を見られて、でも人付き合いとか水面下の権謀術数は全然見えない人。
後者部分を補佐する良い家来でもいれば良かったんだがなあ。
たまにいるよね、有能な補佐役がいたらどれだけ多くのことを成し遂げられたんだろうと
惜しまれる人。例は思いつかないが。

でも遠くまで見られる人は足元は見られないよ。それは完全に相反する資質。
不可能を求めても仕方あるまい。
今後現れる(かもしれない)小栗ほどの人は、願わくば有能な補佐役に恵まれんことを。


著者は仙台生まれで福島でおそらく長く暮らし、テーマも会津藩や東北の諸藩についての
地元著作家。ジャーナリスト出身というのはわたしの偏見にひっかかるが、
これは冷静な評伝・評論ではなくて、歴史エッセイ、部分的に小説。
満腔の思いをこめて東北の(小栗は群馬だが)敗者への悲憤を描いた。
地元を何度も何度も歩いた臨場感もあると思う。
小栗本として1冊目に読むのは薦めないが、最後の1冊としてはなかなか良かった。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

せんくら 仙台クラシックフェスティバル 2024。

2024年10月10日 | その他映像関連。
去年、数十年ぶりにせんくらに行って、なかなか良かったので今年も行きました。

――が、実は今年のプログラムには全体的に惹かれなくてねー。
去年はとにかく歴代コンマスの競演を見たくて行って、他にも魅力的なものが
たくさんあったんだけど、今年はなぜか……うーん、なんでしょうねえ。

とりあえず、まあピアノは聴こうか。他は、久しく聴いてない声楽か。
オーケストラなら「モルダウ」を聴きたいかなあ。
と思ったが、モルダウはチケットが取れなかった。ので、今回はピアノと声楽を。

しかし実はこの日は89ersのシーズン初戦だったのを忘れてたのでした!
あとから知って、ちっ、しまった!なんでも良かったんだから
金曜日のステージにしておけば良かった!と後悔した。
まあ初戦の存在を忘れていたんだから、89ersにも熱が入ってなかったということだが。

というわけで、まずはピアノ。

10月5日 13:45~14:45 せんくら ピアノ・ガラコンサート

牛田智大
ショパン:24の前奏曲より第13番~第24番

小井戸文哉
ドビュッシー:ベルガマスク組曲より「月の光」、2つのアラベスク
プロコフィエフ:悪魔的暗示

阪田知樹
ラフマニノフ/阪田知樹編曲:ヴォカリーズ
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第3番

牛田くんは繊細な音、柔らかい音、音のきれいさが売りのイメージだったのだが……
今回の演奏は、音が全然硬かったと感じた。特に序盤。
ピアノからはキラキラした音が流れて来るものだと思っているのだけども、
ただの音だったなあ。あら、どうした?とまで思った。
イズミティの音響の問題?ピアノの調律が本人に合ってないとか?体調悪い?
中盤以降は指も動いていて良かったですけど。途中、指20本で弾いてるのかと思ったくらい。
だが序盤の違和感が後をひいた。

小井戸文哉なる人は去年も聴いてた。その時はあまり好きじゃなかったらしい。
しかし今回のドビュッシーはすごく良かった!
繊細できれいでヴェネツィアンレースのような。うっとり。

阪田知樹なる人も良かった。ラフマニノフ、プロコフィエフとなると
だいぶ現代に近い感じでわたしの好みからはちょっと遠ざかるが、楽しく聴いた。
うっすらとジャズ味を感じた。

この3人は、楷書、行書、草書という感じがしましたね。


10月5日 16:45~17:45 せんくら オペラ・ガラコンサート
豪華歌手陣によるオペラの世界~プッチーニ没後100年~

大西宇宙 ロッシーニ:セヴィリアの理髪師より「私は街のなんでも屋」
山下牧子 ビゼー:カルメンより「ハバネラ」
森谷真理&山下牧子 プッチーニ:蝶々夫人より「花の二重唱」
山本耕平 プッチーニ:トスカより「星は光りぬ」
森谷真理 プッチーニ:トスカより「歌に生き、恋に生き」
大西宇宙 ヴェルディ:椿姫より「プロヴァンスの海と陸」
山下牧子 サン=サーンス:サムソンとデリアより「あなたの声にわが心は開く」
山本耕平 プッチーニ:トーランドットより「誰も寝てはならぬ」
大西宇宙&森谷真理 ヴェルディ:リゴレットより「いつも日曜に教会で」
大西宇宙、森谷真理、山下牧子、山本耕平 ヴェルディ:リゴレットより「美しい乙女よ」

いや、これ1時間でよくやりましたね。
そして最後に若干わたわたながらもアンコールで「乾杯の歌」まで歌ってくれたんですから。

――このプログラムが本当に良くて!素晴らしかった!

ステージは暗い。ぎりぎりなんとか人が動けるくらい。
そこにピアニストが登場する。拍手が起こりかかるが、しかしステージは暗いまま。
拍手は起こりかけて止まる。
ピアノに向かい、短い間の後。
カッとふりそそぐ照明と同時に凛としたピアノの前奏が突然始まる。

前奏が少し長く続き。そして朗々としたバリトンの声が響く。
観客は舞台を探すが、しかしそこに歌い手はいない。――客席の背後からの登場。
歌い手はあちこち寄り道をしながら、様々な方向へ向かって声を響かせ、
ちょっと手すりに寄りかかって観客にちょっかいを出し、長い時間をかけてステージに上がる。

ライブの有難みが押し寄せて、涙が出てくる。心が震える。
ミュージカルの舞台が始まる時のドキドキした気持ち、
試合を見に行って野球場のフィールドの夜空を見渡した時のワクワク感。
これこそライブの喜び。
しゃくりあげそうになるのを我慢した。

バリトンの大西さんとメゾソプラノの山下さんが振り付け多めに歌ってくれたのも
歌劇感を高めて良かったね。ピアノ横で立って歌うだけじゃなくて、
ステージを左右に動いてくれたし。

オーケストラを聴けばオーケストラがいいと思い、
ピアノを聴けばきらきらした音が素敵と思い、
チェロを聴けばチェロの音が人の心に合っていると思うが、
人の体は人の声に共鳴する。声にどっぷり浸かった1時間だった。

選曲もメジャーな曲ばっかりで大変にノレた。
……とはいうたものの、半分ですかね。わたしが知ってる曲は。
でも昔、「ハバネラ」と「歌に生き、恋に生き」は歌えるようになりたいと思って
練習した曲だし、椿姫は一番(というより唯一)好きなオペラだし、すごくうれしかった。

この曲数で、ほんのちょっとお喋りも入れて、さらに「乾杯の歌」まで
歌ってくれたんだから感謝だ。
「乾杯の歌」は多分ほんとに急遽で、まあ声楽家なら誰もが歌える歌ではあるだろうけど、
ヴィオレッタ部分をソプラノとメゾソプラノが譲り合ったりしてて、
いかにもその場で感が強くて楽しかった。

「この会場の方々と世界中の方の健康を願って、乾杯の歌を」
森谷さんがこういう紹介の仕方をしていた。それも素敵だった。

そして――大西さんがトークで「明日私のソロステージがあるのですが、
……まだチケットがあるそうなので、お時間のある方は是非……」と遠慮がちに
営業をしていて。
この大西さんという人は歌が上手い。声がいい。と思った人なので、
これは漢気を出して席を埋めてやらなければ……といっても自分ひとりの座席だけなんだけど、
素晴らしかったステージを見せてくれたお礼に翌日の大西リサイタルにも行くことにしました。
伴奏は今日と同じ石野真穂さん。ピアノ伴奏だが、この人のピアノも「歌っていた」
大変美しい音を出していた。


10月6日 15:45~16:30 大西宇宙・リサイタル躍進中のスターバリトン

モーツァルト:ドンジョヴァンニより「窓辺へおいでよ、シャンパンの歌」
モーツァルト:魔笛より「おいらは鳥刺し、恋人か女房か」
ロッシーニ:セビリアの理髪師より「私は街のなんでも屋」
ワーグナー:タンホイザーより「夕星の歌」
チャイコフスキー:エフゲニー・オネーギンより「あれが本当にタチアーナなのか」

こちらは実は知ってる曲はなかった。どれも有名なオペラだけれども、
テレビで一度流してみたくらいでは曲は覚えないからね。

前日のガラ・コンサートでは演技力たっぷりの賑やかな人柄だと思っていたのだが、
ソロコンサートでは思ったよりもだいぶ内気な人に感じた。
早口で恥ずかしそうに喋っていた。印象がだいぶ違う。
しかし声は前日と同様豊かでたっぷり。体の楽器化がうまくいっている。

あっという間だった。……と思ったが、実際にアンコールを含めても
予定時間よりけっこう前に終わっていた。10分くらい前かな。
まあ前日のステージ、今のソロ、そしてファイナルの第九が控えてるから勘弁したんねん。


10月6日 19:45~20:45 グランドフィナーレ

ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」第4楽章

ピアノ・ジュゼッペ・アンダロー
声楽家は昨日と同じく森谷真理・山下牧子・山本耕平・大西宇宙

混むだろうから元々このチケットは狙ってなかったんだけど、
ひょんなことから聴けることになってほくほく。
でなければオーケストラ聴けなかったもんね。

しかし正直に言おう。去年久々に仙フィルを聴いた時ほど感動はしなかった。
去年は20年ぶりに聴いて、昔とは違うなあと思った記憶があるのだが。
今回はちょっとキレが……。音は柔らかかったが、少し柔らかすぎたように思う。
もう少しキリっとした感じの方が好み。

去年コンマスだった姉御・神谷未穂がいなくなって残念。男性になっていた。
指揮者の太田弦はなんだかとてもカワイイ感じの人だった。
アンコールのあたりの仕草というかふるまいは可愛くて笑っちゃったよ。

ラヴェルは、多分わたしには新しすぎるなー。あんまり好みじゃない。
モチーフを繋げて繋げているだけのような気がして。
ピアニストの得意曲なんだろう。ピアノとクラリネット?フルート?の合奏部分が良かった。

ベートーヴェンは、あれ第4楽章だけだったのか!あれで全部だと思っていた。
声楽家たちがステージの奥の方にいたのは、あの位置で良かったのかね?
前の方で並んでいるイメージしかなかった。まあ合唱と合わせるのはたしかに
その方がいいかもだが、前の方が映えただろうね。
男性合唱が良かった。


まあでもとにかく。
行く前はめんどくさがってたけど、やっぱりせんくらはいいもんだね。
音楽そのものもいいけれど、そこに集まる人々の期待でキラキラした感じがとても素敵。
こういうイベントが出来る仙台に住む幸せを思う。

やっぱり来年も行こう。――89ersの初戦と被らないようチェックして。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◇ 塩野七生「ローマ人の物語 1 ローマは一日にして成らず」

2024年10月07日 | ◇読んだ本の感想。
これは蔵書なのよ。で、本棚に入っているということは少なくとも一度は読んだはず。
わたしは「本は文庫で買う」が掟だったので(今もそうだが、今は年に1、2冊しか買わない)
「ローマ人の物語」が出た時、文庫化するまで読むのを我慢していた。
ところが待ちに待った文庫化!と思ったら……

――というわけで塩野七生は「ローマ人の物語」3巻まで読んで以来、疎遠。
文庫でいえばなんとかがんばって7巻買って終わっていた。

その後十数年は全然読んでなかったが、前述の通り「皇帝フリードリヒ二世の生涯」で
久々に再会し、相変わらず面白かった。
疎遠になって以来の著書も数多くあることとて、そろそろ読み始めないと
全部ツブすまで相当かかることになる。何しろ畢生の対策「ローマ人の物語」ですら
3巻しか読んでないじゃないか!読みましょう。


そして1巻目ですけどねえ。

相当かみ砕いたところから始めてくれたな、という感想。
ローマの始まりと言えばロムルス・レムスの兄弟。
まあこれは伝説として、その後の黎明期をじっくり書いてくれる。
固有名詞に馴染みがないものが多いから、このくらいゆっくり説明してくれるのは有難い。

そしてローマをある程度描いて上で、古代ギリシア史もかなりさかのぼって、
かみ砕いて書いてくれる。
これもわかりやすくて助かったねえ。
古代ギリシアについてはプルタルコスを面白く読んだ程度で、
ギリシア世界そのものについてはほぼ高校の教科書レベルしか知らないから、
ギリシア植民都市が母都市とほとんど交流がない存在だと聞いて、へー!と驚く。

スパルタのスパルタぶりも具体的に読んで、へー!と驚く。
まあ何しろ啓蒙されるところが多々ありました。
塩野さんも書いている通り、ローマを書くにはギリシアを書かずには不可能。
たしかにそうだと思う。

それから、下巻のあとがきが示唆に富んでいると思った。
あとがきではないのか。「ひとまずの結び」と題された章だった。
当該の時代について、塩野七生はたしかに膨大な近現代の研究書に当たったそうだ。
それは言うまでもない。わたしはインプットとアウトプットの比率は50:1が
基本だと思っているので、この内容だと多分300冊は関連書を読んだと思う。
数字に根拠はないが。

が、塩野さんが一番啓発されたのは――しっくりきはじめたのは、
それらの研究書を読んだ時より、古代に書かれた一次史料を読んで以降だったそう。
正確な要約が出来るかは自信がないが、このあたりの話を少し。

塩野さんは4人の著作を挙げる。

リヴィウスの「ローマ史」
ポリヴィウスの「歴史」
プルタルコスの「列伝」
ハリカルナッソスのディオニッソスの「古ローマ史」

……!わたしは今の今まで「デュオニソス」だと思っていたよ!
酒と豊穣の神。バッカスと同一視される。なんということでしょう!
しかも実はディオニューソス?うわー、いまさら言えない気がする。
そして、ハルカリナッソスだと思っていた。いやもう、カタカナそんなに弱かったか?自分。
子どもの頃はたしかにプレイオトマスだと思っていたけど。
――閑話休題。


彼らの背景は以下の通り。
リヴィウスはアウグストゥス時代のローマ人。最盛期のローマからの視点で、
ローマの歴史を編年体でよく書いた。
ポリヴィウスはギリシア生まれのギリシア人。彼は「ギリシアが衰退し、ローマが
興隆し続けているのはなぜか」という視点で「歴史」を書いた。
プルタルコスはギリシア人。列伝ではギリシアとローマの著名人の伝記を書いている。
ディオニソスはギリシア人。ローマへ移住して「古ローマ史」を書いている。

後三者はギリシア人。ギリシア人視点の著作が特に興味深かったらしい。
それはひとえに「ギリシアは衰退してローマが興隆し続けているのはなぜか」
という切実な視点が根底にあるから。

それは日本人の塩野七生が時を隔てて、「なぜローマがこれほど興隆したのか」
という視点で見る姿勢と通じる。

その他の共通点として、
1.繁栄の原因を精神・感性に求めていない
2.キリスト者ではない
3.(はるか後代の)フランス革命による自由・平等・博愛の理念に縛られていない
と分析している。

3についてはわたしが考えたこともない視点だったので新鮮に読んだ。
うーん……。理念は大事かもねえ……。というか、理念に縛られないことは大事かも。
理想は理想として存在はしないと、目指すべき到達点がないという意味で
困るとは思うのだが、理念に凝り固まってしまうと理念を唱えることが目的化してしまう
怖れがある。例を挙げれば昨今のポリコレ……
そもそも理念を唱えるということは、それが絶対的に不足している状況であるわけだから。

やはり現実性と、寛容性――という言い方が良すぎなら、柔軟性は欲しいよなあ。
でも現実性にしても柔軟性にしても、余裕というか、パワーがないと持てないものではある。
疲弊した現代社会にはなかなか望めない。



塩野七生の著作を読むと、このローマやヴェネツィアの歴史を現代日本に活かせないかと
どうしても思う。

が、古代と現代の複雑さの差がなあ……。
いや、参考に出来るところはあるはずなのよ、多々。
でもわたしは悲観的な人間だ。
日本の政治家の第一目標は自らの地位保全に尽きると思ってる。
これを何とかしないとまともな政治システムの構築というのは無理じゃないか。

地位保全になるのはそもそも現行のシステムとして当然のこと。
議員が党派に分かれて一応の最高権力者と政策を決定するシステムなんだから、
とにかく頭数を集めることになる。自分と味方を出来るだけ多く長く当選させることに
力と時間と金を割くことになる。
そりゃ「全体を見た政策」を考える時間も金もなくなるわ。

もう少しましな議員は地元や問題解決のために動くだろうが、
そういうのも必要で大事だけれども、個別状況を解決することと、
日本全体のことを時間的にも大局に立って政策を立てるということはやはり違うと思う。

議員になると金と権力と(一応)名誉が手に入る。一度手に入れたら手放せない地位だ。
これを……せめて金は入らないシステムに出来ないものか。まずは給料をぐっと下げる。
年2000万は上げすぎだと思うんですよねー。国会議員が10人いたら2億ですよ。
100人いたら20億。

ボランティアとまでは言わないから、日本全体の平均年収程度に抑える。
その代わり必要経費はある程度潤沢に与える。潤沢とはいえ、当然正当な運用が
されているかどうかには厳しく目を光らせる。

任期はある程度短めに。癒着防止のため。
一年というのはむしろ短さの弊害が出るだろうから、4年くらいでいいんじゃないのか。
重任はなし。2期空けたら再選ありくらいにしても。
当然賄賂はなし。なし、といってなくなるなら話は早いが、目付を24時間張りつかせてでも
疑惑の金遣いを撲滅する。

一代の名相なんてそうそう出るわけがない。1000年に1度、おまけしても
せいぜい100年に1度だ。だから総理大臣は多少のぼんくら(とまではいわなくとも)でも
務まる職務内容にしなければならない。
そもそも全ての事象に深く知見を持つなんて人間の能力では無理なんだから、
全体の問題をパズルのように組み合わせてよりよい解決策を出す、なんて
人間の能力を超えていると思う。


そこで……頼るべきは結局AIにならざるを得ないかなあ。
とにかく予算を割り振ることが内政の100%――はいいすぎだろうが、
当たらずと言えども遠からずであろう。
その予算を割り振るための情報は官僚たちが良質なものをひたすらに集める。
その情報を全部、今後能力を上げていくであろう超エリートAIを使って予算を割り振る。
これをたたき台にして人間が実際の運用に合うようにちまちまと手直しをする。

現在のAIは、わたしにとっては目下、
「死んだ人をロボット化して喋らせて見世物にする人権侵害の道具」であり
「絵画を描いてるとか小説を書いているとか言っているが、
そこにあるのはデータ収集という名の先行作品のパクリであり、芸術を生み出す主体に
意志がないために芸術とは呼びようがないモノを生み出すヤツ」だが、
そもそも数学的な計算だったらコンピューターの最得意分野なのよ。
だから適切な膨大な情報を数値化して入れてやったら、それなりの妥当性をもって
各部署・案件の予算の割り振りは出来るはず。

優秀な官僚は自分の範囲は上手く情報を取るだろう。
しかしその他の範囲はほとんど何も知らないだろう。
ならばデータを入れさえすれば無限に知識が増えるAIに任せるのはありかと思う。
AIにその内容の軽重を教えることに人間の意見の相違はあるだろうが、
多少であれば、今年は片方が譲り、その後はもう片方が譲るなりすればよい。
あるいは量的に加減する。

議員の他に、官僚で、政治システムを構築するための研究をする部署があってくれても
いいのかと思うんだが……。官僚は何十年もいるんだし。
それが解決すれば、大局を見るための研究部署があってもいいと思う。

そしてこれらの議員・官僚はそれなりの道徳と公徳心、ある程度の理想を備えた人限定とする。
それを期待するのは望みすぎであるかもしれないから、ほんとうは、
間違って私欲を追求するタイプの人が議員・官僚になってしまっても
それを洗い出せるシステムも欲しいんだけどね。思いつかないよ。


閑話休題。
というわけで今回は蔵書の読み直し。文庫・1巻2巻。

3巻(文庫7巻)までは持っているから、まあ適度に間隔を空けて文庫7巻までは読み、
4巻以降は図書館で単行本を借りようと思う。
まあ借りる分には文庫でもいいけどね。図書館では最大10冊借りられるけれども、
わたしは通常8冊を1ヶ月弱くらいで読むから、1冊が文庫3冊になってもまあいけるし。
文庫だとおそらくあとがきがつくだろうから、その分読み甲斐があるともいえる。

その後も続けて塩野さんの著作をそろそろつぶすか。
御大もそろそろお年なのでね……
   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◇ 根本聡一郎「プロパガンダゲーム」

2024年10月04日 | ◇読んだ本の感想。
とあるきっかけがあって読んでみた。多分普通に暮らしていたらわたしの視野には
入ってこないジャンルの本。
なかなか面白かった。

正直、大学生の話で――就活生の話で、これはわたしには楽しめるのか?と
だいぶ疑いながら読み始めたが、予想より面白かったですね。

この話の中で行われるのは、広告代理店の第3次?面接としての「プロパガンダゲーム」。
4人ずつ、大学生が2つに組分けされる。政府チームとレジスタンスチーム。
ある一か所の無人島の取り合いをしている国があり、
政府がそのための戦争に対する国民の賛意を取り付けようと、
100人の国民(ネット上の、仮想の)第三者に向けて宣伝活動をする。
レジスタンスチームはそれを阻止する。

それが大手広告会社の就職試験として行われ――ここはリアリティはないが、
ファンタジーとして見ればまあありかと思う。

凡百の学生たちがこの試験に臨めば無理だろうが、普段から興味の方向が
政治・スパイ活動・ポリコレなどなど、いい意味で意識の高いの学生たちの集まりだから、
それぞれの得意分野を生かして活躍することになる。
面白かったのはそれぞれにスパイが1人いる。けっこうこれがドキドキする要素で、
わたしは全然見破れなかったから楽しめた。

ゲームで始まりゲームで終わるお話かと思ったら、そのゲームが終わったあとでも
あれ、まだ続く?続く?で、けっこうどんでんが並んで話をひっぱる。
どっちかいうと陰謀論的な世界観だが、そして若干子供っぽさがないこともないが、
予想よりもだいぶ楽しめた。


だがただ一つ、文句を言いたいところがある。
最後の一行の表現が、あまりにも紋切り型で陳腐だった。これはあかんね。
この一行で作品の良さが少なくとも1割は下がったと感じた。
ここはもっと練るべきだったよね。

とはいえ総じてけっこう面白かったので、今後この作者の別な作品も読んでみようと思う。
図書館利用で悪いが。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< 降り積もれ孤独な死よ >

2024年10月01日 | ドラマ。
なかなか面白かった。週に2回ずつくらい見て、最終話とほぼ同時に見終わった。

最大の魅力は序盤の設定の立て方ですね。
13人の子供の白骨死体が洋館(?)の地下室で見つかり、そこには謎めいた刻印が……
なんて、ミステリ的には最高の導入じゃないですか。ちょっとグロいけど。

全10話のうち、第1の事件が7話で解決し、第2の事件はそこから10話(最終話)まで。
第1の事件と第2の事件、登場人物は継続しているけど、別の話っていえば別の話。
2番目の事件はまあわりと普通な筋立てだったかもねー。







ネタバレあります。








2番目の事件の犯人は弱かった気がする。
誰?と思ったもの。わたしはサトルかカノンのどちらかだと面白いが……と思っていた。
母子家庭が2家族だったからちょっとインパクトも弱かったのよね。
どっちかを別なシチュエーションに出来れば良かった。
が、冴木の弟とその母は変えられなかっただろうから、タケルの方を父子家庭にするか……
そうすると母と息子の情緒的な繋がりの良さが全く消えてしまいますけど。
祖母と孫では。……無理があるか。

まあいろいろヤヤコシイ話にはしてますけど、このヤヤコシイ話をちゃんと作った
という意味でドラマの制作スタッフにはお疲れ様といいたい。がんばった。

だが、あまりに細かすぎて頭に定着しない部分はあったな。
7話を見て1週間後に8話を見ようとした時に、第1の事件の犯人は覚えていたけど、
その後どうなったんだったかすっかり忘れていて、もう1回7話を見直した。
そうでした。第2の事件が始まったんでしたね。
タトゥーガールが突き落とされたんだよね。これ、画作りは良かったけれども、
うーん、全10話で1~7話、7~10話で2段構えの話を作るほどでは……と思った。
ただ、雰囲気はちゃんと作りこんでると思ったし、役者も良かったし。


成田凌は……ちょっと前に何かをやっていた気がするので悪いイメージも残っているが、
確認して記憶を新たにしたくないと思う程度にはいい役者で、消えて欲しくないと思った。
今回は役柄にぴったり合っていたと思った。はまり役といってもいい。
この話に説得力を付加した。

似合うという意味では黒木メイサも良かった。かっこ良かったね。
こういう役が一番合うだろうな。床に座り込んで考えるの好きだった。

小日向さんは……この役には年齢的に少々無理があるような。
もう少し若くてこの役が出来る人は他にいそうだったよね。
演技的には文句なし。

蓮水花音が吉川愛という人。この人初めて見たけど、なかなかいいんじゃないでしょうか。
2017年と2024年の雰囲気の違いが良かった。別人かな?と思うくらい。
そして、こういわれて本人が嬉しいかどうか不明だけども、
胸の大きなふくよかな体つきに妙に説得力があった気がした。
洋服の好みの変わり様とかも上手いアクセント。

ソウスケの萩原利久は「探偵が早すぎる」と「ミステリという勿れ」で見ましたね。
わりと記憶に残る役者だった。上手いかどうかは微妙だが、残るのはいいこと。

佐藤大樹という人は、正直どうかねえと思っていた。ちょっと演技演技しすぎてたかも。
うーん、と思いながら見ていて、でも最後のニッタリと笑う表情が良かったので、
それで印象がだいぶ良くなった。

サトル役の松本怜生という人は初だね。普通だと思っていたが、最終話くらいの
泣く表情にちょっと目を惹かれた。次の朝ドラに出るんですね。

そしてなんといっても!野間口徹が上司役だったのが嬉しかった!
刑事刑事してないところが安心感があった。

けっこういい役者たちを組み合わせたと思います。



話として、わたしがちょっとなーと思ったのは大きいところでは2点。

小日向さんの日記を掘り出すところですね。細かいところは覚えてないが、
あれ、誰が赤い花を置いたんでしたっけ?
誰かが見つけさせようと思わなければあんなことしないんですが、誰だっけ?

そして花音が他の人に内緒にして、たった一人であれを掘り出すとか……。
女の子一人で掘り出すのは無理じゃないかなあ。そんなにぴピンポイントで掘れないと思うし。
そしてあの家って公共交通機関で行けるところじゃなかったよね?
その状態で「わたしちょっと……。先に帰って」「あ、そう。じゃあね」とはならん。
「どうしたの?」となるだろう。

もう一つは、小日向さんの実子が自分で調べて実の父の家を突き止めて、
覗き込んだ途端にどんぴしゃりの台詞を聞くことになること。
いや、タイミング良すぎだろーと思った。

ここらへんはちょっと雑だと思った。少しテンションが下がった。
このまま下がるかな……と思ったが、持ち直しましたから、まあ。


あと、雑誌記者と行方不明の少女は、実は省略できればもっと話が簡単になっただろうなあ。
10話で2つの大きな事件を描いて解決するだけでいっぱいいっぱいだから、
その他に少女の行方不明まで追求しなくても良かった気がするんだよね。

たしかに2024年の時点でいろいろ説明したり、冴木を引っ張り出したりするには
便利な役柄だったが、下手に話を広げすぎたのでは……と思わないこともない。

ストーカーお兄ちゃんは上手に使えたけど、種明かししてみればかなり無理な設定だよね。
もう少し無理ない設定にしてほしい気はした。
どこまでも報われない役柄だが、何しろストーカーなので仕方ない。
独りよがりでカノンの母親を殺すわけだし。しかもその方法が火事って。
周囲の人も、下手するとカノンも巻き込むかもしれないことを考えてない。
そういう人だからこそ同情する気にならずに済んでアリガタイのかもしれないが。



まあでもここまで詰め込んだ話を、ちゃんと作ったのは制作スタッフの努力。
がんばった。このドラマを作った!と実績にしていいと思う。
このくらい楽しめれば満足だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◇ コリン・ホルト・ソーヤー「旅のおともに殺人を」(「海の上のカムデン」シリーズ)

2024年09月28日 | ◇読んだ本の感想。
コージーミステリが好きだが、コージーミステリが全て好きかというとそれは違う。
むしろコージーミステリは、ジャンルとしてはいろんな意味でアマイから、
好きと言える範囲は狭い。そのなかで、このシリーズはかなり好きだった。

「海の上のカムデン」シリーズ。
この「海の上のカムデン」とは何かというと、高級老人ホームです。
外国の地名には「海の上」とか「水の上」とつくものがままある気がする。
ボートン・オン・ザ・ウォーターとかね。リル・シュル・ラ・ソルグとかね。
そういうのはたいてい水際にある土地ですね。海とか川とか。
この老人ホームはたしかサンフランシスコ近辺の海沿いにあった気がする。

何しろ第一巻を読んだのがかなり昔で……20年?そこまでではないか?
原著が出たのは1988年、日本語版が2000年。
1から7まで順調に(図書館で)読んで、その頃8巻目が出たんだよね。
少し予約が立て込んだので、課題図書リストの後ろに回して数年後に読むことにした。
その頃には9巻目、10巻目とか出てないかな……と期待していたのだが、残念。
8巻目でシリーズ終了(あるいは日本語訳終了)らしい。


まー本作はそんなに面白くなかったけどねー。これで最後になるのは惜しい。
でも最後に読んでから何年も経っているのにキャラクターを覚えていられたのは、
やはりキャラクターが魅力的だったからだよね。

小柄でちょこちょこ動く好奇心旺盛なおばあちゃんのアンジェラと、
その親友の巨大な体でゆったりと動くキャレドニアと。
再会できたのは嬉しかった。

今回は老人ホームからメキシコに旅行に行く話。
その旅行がメインで、ミステリの部分はほとんどなかった。殺人はあったけど。
「リメンバー・ミー」のイメージがあったから、文で読んでもメキシコの想像は
若干出来たが、特にメキシコに興味がない人(わたしだ)にはちょっと退屈だったかなあ。

このシリーズは新顔及び嫌な人が犯人であり被害者だから、わかりやすいんだよね。
そのわかりやすさは別に嫌いではないが……ミステリとしてどうかというと、
やはり相当にアマイ。コージーミステリでアマイのは仕方ないが。

1巻目のタイトルが「老人たちの生活と推理」というのもちょっとマイナスな気がする。
地味ですからね。今さらですが。これでは新規さんが手に取ってくれる可能性は低かろう。
面白いですよ!コージーで。

さよなら、アンジェラ、キャレドニア。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< 宮沢賢治の食卓 全5回 >

2024年09月25日 | ドラマ。
そもそもはWOWOWで作ったドラマらしい。
いや、そもそもはマンガらしい。その後WOWOWがドラマを作り、
それを、忘れたけどBSのどこかが放送したものを今回見た。

宮沢賢治は好きでもあり嫌いでもある。
これは小学校の時に読んだ偉人伝のシリーズが影響している。
最初の豊臣秀吉がものすごく面白かったので、そのシリーズを順番に読んでいったのだが、
戦国武将と比べて、豊田佐吉とか宮沢賢治は地味で面白くなかったんですよね。

そして、宮沢賢治のあまりにもピュアな行動に子どもながらに違和感を持ってもいた。
そんなに滅私奉公、自己犠牲的で大丈夫だろうか……。
あまり共感出来なかった。

そして作品が好きだったかというと、それもそうでもないんですよね。
子供の頃に読んだわけではないと思う。やっぱり本人の地味さが乗り越えられず。
「雨ニモマケズ」はいつ頃教科書で読むんでしたかねえ。やっぱり辛気臭い。
高校あたりですか、「永訣の朝」は。
最愛の妹の死をうたった詩はたしかに情動を動かすけれども、その妙な理屈っぽさが……

でも「作品世界」は好きだったのよ。
汽車が銀河を旅する話。
ポラーノのぎらぎら光る草の波、。
オパールの中に燃える貝の火。
地質が似ているといって、近くの川べりをイギリス海岸と名付けるのも。

だが「春と修羅」も買って読んではみたけど、
童話とはまったく違った強固な抽象性がやっぱり受け付けない。



だから「宮沢賢治のドラマ」と聞いて録画したのは、本当に微妙なラインで。
好きでもあり嫌いでもある賢治の「好きでもあり」の部分でかろうじて。

辛気臭いドラマなんだろうなあ。何しろ主人公が辛気臭い。
正直第一回で視聴中止だと思っていた。
でも主演が鈴木亮平だっていうから念のため。
鈴木亮平のドラマ選びが、決してわたしの好みに合うとは思ってないけれども。

そしたら、……いいドラマだった!
4話、5話はしゃくりあげて号泣した。こんなことは久しぶりだったように思う。


正直言ってやはり宮沢賢治は純粋すぎて変な奴で、近くにいたら絶対に友達にはならん。
多分頭の中はナチュラルに自分のことばっかりで、友人としたら困った時には
あまり頼りにならんだろうし、日常的にも共感性羞恥の嵐だろう。
全て親がかりのおぼっちゃんなのに、父親の職業に(質屋)反感を持ち、
反抗するというのも、人のことはいえないとはいえ、なら独立せんかい!と思うしねえ。

親から買ってもらったあんなにいいチェロを、人のためにという理由で、
平気な顔で売り払おうとする行動にまったく共感出来なかった。

でも「食卓」にしたことで内容がいい意味で柔らかくなったと思う。
最近流行りといえば流行りだが、食べ物を介在させることで
話がちょうどいいテンションを保つ。
コロッケとかビーフシチューとか、鴨南ばんとか焼きりんごとか。
ただしそこまで食べ物についての話は広がってない――単に飾り程度に触れるだけなので、
そっちを重視する人だと多分物足りないと思う。

まあもちろん、鈴木亮平が演じたことも大きいけど。
今までのわたしの賢治があったもんだから、このドラマを見て賢治を全肯定は
さすがに出来なかったんだが、それほど距離を置きたい気分にはならなかった。
変な奴だけどさわやかだったし。
さわやかだから全然現実が見えてなくても許されるというもんでもないけどねえ。

宮沢賢治関連で多分出てきたことがない、恋愛関係が描かれていたのも面白かった。
相手役が市川実日子。このドラマでは結ばれない――結納の席で、賢治が理由も言わずに
破談を申し出て、破談になってそれ以降はほとんど縁が切れたんだけど。
でも蜜月状態の頃は二人ともとても幸せそうな顔をしていた。
長くもない人生、こういう人がそばにいたら彼の人生は明るかっただろうなと思った。

鈴木亮平と市川実日子にはいずれハートウォーミングな夫婦生活(のドラマ)を
送って欲しいと妄想した。
今、市川実日子は「ア・ターブル」という日常系のドラマをやってるんだけど、
ああいう辛気臭い系ではない、ちょっとコミカルなドラマをすごく見たい。
面白い脚本で。なんだったら本作の脚本家でもいい。


あとはなんといってもトシですね!
賢治が溺愛した妹で、その溺愛ぶりがちょっとコワイ、ということはあるんだけど、
この人はこのドラマでも大変重要な役柄でしたね。
下手すると賢治本人よりも重要というか、難しい役柄だったかもしれない。

ほとけさまのように理想化される側面もあり、それ以上に家族としての親愛もあり。
その辺の間をいくのはなかなか困難だったと思う。

今回のトシさんは、その間を上手に表現していたと感心しましたね。
こんな優しい、純粋な人いるわけないよ!――とは感じなかった。
可愛くて優しくて上品で、教職に情熱を持ち、しかし死病を抱えて自棄的なところもあり。
夢もあったのに。もっと生きてやりたいことがあったのに。
いい演技だった。いい役者だと思った。

石橋杏奈。他に見たドラマは……ないなあ。とWikiを見て思ったが、
……え?夫は松井裕樹!?えええええっ!!

あらまー。
いや、別にそこまで驚かなくてもいいことなのだが、松井は地元のチームの生え抜きなので、
いうたら若干「地元の子」的な意識があるんだよね。
だって高卒の頃から2月から10月までの野球シーズンは、ほぼ毎日近く見てたんだよ。
それを10年続けたんだよ。今年パドレスに行くまで。
へー、あの子のお嫁さんなの!って近所のおばちゃんみたいな気分になるじゃない。

そうすると現在はアメリカ在住なわけですね。
まだ子供が小さいこともあるし、女優活動はしばらくはしないだろうけど、
また何かいい脚本で女優をやっているところを見たいなあ。
……ネット上で画像を見ると、これがほとんど惹かれない感じなんだが、
ドラマで生きて動いてるのをみると、ほんと健気で可愛かった。
演技者として、また見たいと感じた。


いいドラマだった。キャスト・スタッフに感謝。


……だが、言わせてもらえば、トシが死んだ時の賢治の台詞がね。
詩からとった文章そのままにしたことで、号泣していた涙がひっこんだ、ことは
言わせてもらおう。
ここは脚本家的に悩んだところな気はするけどね。そのままにするか。口語に直すか。
気持ちはわかるが、詩語にするとそこには推敲という行為が透けて見えて、
切実さが減るんだよね。

あと、細かいことをいうなら、トシの死後に絶望していた賢治が立ち直ってからの演技が、
トシの死の前のさわやかさと寸分も変わらぬ気がして残念だった。
鈴木亮平。わたしはこの人とても好きだが、演技力という点では特Aではないと思うのよ。
努力でAまでたどり着いてる感じ。

やっぱりここは単にさわやかに戻りました、ではいけない気が。
大事な人の死を乗り越えた人の深みが欲しいところだった。


……いや、ほんとにいいドラマでしたよ。わたしが細かいだけで。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◆親鸞と東北の念仏 ひろがる信仰の世界

2024年09月22日 | ◆美しいもの。
仙台市博物館で11月4日まで開催中。

まあ期待はしてませんでした。だって見ただけで相当地味じゃないですか。
行くのは止そうかと思っていたんだけど、最近出来た「ハイキュー!!」の
記念モニュメントを見に行くついでに。半分お布施。
そしたら予想以上に駐車場ガラガラ。これは企画展並みですね。

わたしは仏教美術の方向から仏教に親しみを持っているけれども、
鎌倉仏教あたりになると、歴史の出来事というより信仰の話になっちゃうからなあ。
いろいろ数多く出た鎌倉仏教の違いって、もう教義でしょ。
そこまでは覚える気にならん。

親鸞について興味を持っている人ならば見て面白いとは思う。
あとは浄土真宗について興味を持っている人。
他の人は多分ほとんどが地味だと感じる内容だと思います。
それにしては入場料も1600円と一丁前なので、わかっていたことながら
満足感はほとんどなかった。


メインは古文書ですかね。書状とか。地味。
肖像画の掛け軸も多かった。ただこれが、歴史知識的に「ああ、あの人」というほど
一般的な人ではなく、親鸞の何代後の教主とか何とか寺の何代目の住持とか
いわば知らん人ばかりなので興味を喚起しない。
保存状態もあまり良くなくて、全体的に黒っぽいし。

肖像彫刻もいくつかあり、面白いのは1つ2つあった。
円慶作の鎌倉時代晩期「顕智座像」は人間味があって良かった。肖像彫刻の秀作。
だが全部が面白いかというそうでもなかったね。

あと、「光明本尊」と言われる掛け軸が山ほど来ていて……
これは詳細は知らないけれども、わたしが見てきたところをいえば、
仏画の仏像の代わりに文字を主体とした掛け軸。
真ん中にどーんとでかいフォントで「南無不可思議光佛」などと書いてあって、
そこに添え物的に小さく仏像が描いてあるとかビームのような発光が描いてある。
他であんまり見たことがない気がするから、浄土真宗で主に使われるとか、
時代的な流行とかあるのかな?

これ、一枚や二枚来てるのなら、見たことないものだし面白みはあったが、
20枚も30枚もあっても、正直みんな似たようなもんでさあ……
こんなに並べたってそんなに面白くないよねえ。
見せる時のバランスを考えた方が良かったやろ。

見た目が地味だから――というのは言い訳かもしれないが説明文にも注意を払えなかった。
なので、東北の念仏という部分に関して知識は全く増えなかった。

こういう、興味にも知識にも薄い特別展こそオーディオガイドを借りるべきだったかも
しれないが、そこまでの熱意も抱けなかったんだよねえ。
でもせっかく行ったんだからそこまでするべきだったか。
毒を食らわば皿までという意味で。

唯一面白かったのは絵巻物類ですね。数も来てた。
カラフルだったし、高級品というわけではなかったけど質は良かった。
絵巻物って、これに限ったことじゃないけど建物を立体的に描いてるよなあ。
あくまでも平面的な日本画の中で、建物だけ(基本的には)立体。
考えてみれば不思議だ。

まるで5コママンガみたいな掛け軸4幅(徳田好時筆「蓮如絵伝」)があって
面白そうだったんだけど、あれこそ場面説明を置いとくべきじゃないかねえ。
文字情報でいいから。場所もばっちりあったのに。



とまあ、不満の多いエキシビでした。
わかってて行ったんだから悪いのはわたしだけど。
親鸞と浄土真宗に興味がある人だけにお勧めです。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< さかなのこ >

2024年09月19日 | テレビで見た映画。
さかなクンは――いい人そうだし、すごい人だと思うし、嫌いというわけではないが、
何しろあの騒がしい喋り方が受け付けなくて、少し苦手。
なので、劇場公開時はまったくスルーでした。今回テレビ放映を録画して見た。

最初はちょっと入り込めないかなと感じた。
やっぱりさかなクンの映画だと思ってみると、気が散ったんだよね。
いや、こんな豪華な家に住んでるの?ヨーロッパ風で素敵な家だと思うけど。
パジャマのデザインがこれだと、けっこうさかなクンのテイストは貴族志向?
とかとかとか。いろいろ雑念が入った。

子ども時代は、わたしはけっこうさかなクンを引きずったかなー。
本人がメタ的に出てくるしね。子役は可愛かったけど。
やっぱりのんに代わったあとから徐々に入り込めた。

今のさかなクンを見るに、昔から年齢性別不肖の人だったんだろうね。
それを女性ののんが演じることで、そのものの存在を大事に出来た気がした。
これが男性役者だと、女性っぽくて、でもあっけらかんとしたところが無理でしょう。
誰かすっごく探せば出来る人がいるかもしれないが。

ハートウォーミングとファンタジーとシュールが上手く混交された作品だったね。
けっこう絶妙なブレンドだったと思う。
これは最初に思っていた「さかなクンの映画」ではなかったですね。
いや、さかなクンの映画かもしれないが、それよりも好きなことを追い続けることの
大切さという普遍的なテーマを上手に描けたと思った。

人間も上手く書けてたなー。
不良たちでさえ心温まるキャラクターだった。総長は磯村勇斗が中学生の不良を。
小学校からの同級生(特に親友ではない)は柳楽優弥が。
お母さんですな、豪傑だったのは。井川遥。ここのところ何作か、いい役で見た気がする。

さかなクンとプライベートで仲のいいらしいドランクドラゴンの鈴木が出ていたのも、
そう聞いていると微笑ましいかも。特に好きではないが。

のんは――「あまちゃん」を見てなかったので、ちゃんと見たのは初かもしれない。
なかなか良かったんじゃないでしょうか。
不良たちにびびらないミー坊を描いた脚本も良かったし、その脚本で演じたのんも良かった。
女、男ということを意識させないつくりが良かったね。声高に「差別、差別!と
いう世界にうんざりしており、この程度の自然なあり様でまずはいいんじゃないかと思った。

やっぱり創作物はね。プロパガンダになりうるんだよね。簡単にね。
そこを下品にならないように、上品に、作品の良さをつぶすことにならないように
上手に作ったと感じた。

まあご都合主義ではあるとは思うが……いい人たちばかりの話を書くんだから、
ご都合主義は仕方ないわね。下手にリアリティを追求するよりも潔いといえる。

しかし結末がどんなんだっけ?というのはもう覚えていない。
マー坊の明日へ向けての笑顔、的な感じでしたっけ?
まあいいやね。見てて楽しかったから。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

89ers、TOUHOKU CUP 2024。

2024年09月16日 | 仙台89ers。
89ersはシードで1日目は試合なし。
15日に山形戦、それに勝って16日に秋田と決勝戦。

山形戦もハラハラしながら楽しく見ていたが、細かいところは上書きされてしまって
覚えてない。これ、個人スタッツどこかで見せてくれないかなー。無理かなー。
多分資料の入手が容易な、バスケットライブでなんとか……

そうかー。そうかー。2連覇かー。うわー。実感ないなあ。

秋田は例年、東北カップにそんなに力を入れてこないイメージ。
まあ良くも悪くも前哨戦だから、焦点をレギュラーシーズンに絞ることも戦略としてアリ。
でも今年はかなり真剣にやってた気がした。
真剣にやって、それでもとにかく序盤だから、すっかり仕上がったといえないところは
どのチームも等しく同じだけれども。

でもがっつりやってほとんどの時間でリードして勝てたのは想像外。うれしかった。
秋田は3連戦という大きなハンデがあったけれども。バスケで3連戦は厳しい。


チームとしては。……もしかして良さげなのでは?という嬉しい驚き。
若干サイズが上がったのではないかという気がする。
オフェンス力が少し上がった気がする。
合流してちょっとしか経っておらず、伸びしろしかないと思うが、
けっこう合わせとか上手くやってなかった?
3ポイント打てる人が増えた印象。
フリースローも見ている分には安定してない?
期待よりも上向きばかりでテンションあがるわー。

とはいえ、まだ個別認識はそこまでは……

まあ期待はスタントン・キッドとフェリシオですよね。
よく見てみると、キッドはちょっとジェームズ・ハーデンに似てますかね?
3ポイントも入る。しかも遠いのが入る。わりと切り込む。わりとボールも運びそう。
得点源として期待するべき人だろう。
フェリシオは横幅がある。ブラジル代表で今後期待すべき人らしい。
非常に丁寧にフリースローをする。大人しい人柄っぽい。失敗すると落ち込みそう。
ゴール下のシュートをまーまー落としていたので、もう少しバチっと決めて欲しい。
まあ合流したの最近だそうですから、そもそもまだ体動かしてないんでしょうけど。

多島選手がうっすら。
生きがいいPGだろうが、むしろ攻撃型かもね。ちょっと突っ込みがちで、
ターンオーバーが心配ではある。
半澤選手は地味ながらディフェンスをしっかりやっていた気が。

星野選手は良かったり悪かったり。
タリキ選手は今日の試合では早々に3ファウル。
石橋選手はまだ影が薄い。

個別認識が早く出来ることを願って。


青木は出てなかったけど、今シーズンもキャプテンとしてがんばって。
ヤン・ジェミンは頼り甲斐はあまりないけど、期待してないとこでたまに活躍する。

わたしが贔屓にしているのは3人。

なんだかナベショーが今シーズン、頼もしさが出てきた気がする。気のせい?
今日もボール回しうまくやってたし、いい攻撃もあったよね。
あと、あれ!バックパスかっこ良かった!
ネイサン・ブース。今シーズンも3ポイントたくさん入れてくれー。
安定の片岡。今日も出て来て流れを作った。よっしゃー。怪我しないようにがんばれー。


東北カップ、楽しかった!バスケットライブでだいたい全試合見た。
優勝おめでとう!2連覇なんて素敵!
レギュラーシーズン、最初の10試合を5割で行ったら正座でごめんなさいします!
がんばれ!



……だがしかしターンオーバー多すぎだった!手につかないところが多かったので、
個々の練習を希望する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

◇ 高橋克彦「天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男 九戸政実 上下」

2024年09月13日 | ◇読んだ本の感想。
これ、新聞連載だと思い込んでいたんだけど、違うようだね。
だったらなあ……もうちょっと短くしてくれても良かったような。
単行本で上巻634ページ、下巻567ページあるんだよ。正直飽きた。

特に上巻がね。おそらく史実でもずーっと本家とぐだぐだやっていたんだろうし、
そのぐだぐだがあったからこそ最後の決戦が盛り上がると思ったのかもしれないが、
正直、そんなに能力がある人ならとっとと本家と決着をつけろと。
3回くらい同じことをやるでしょう。もたもたしている。ひたすらもたもたしている。


高橋克彦ってちゃんとした作品を書く人だとは思うんだけど、明確な欠点もあると思ってて。
まあ近年の作品は読んでないんだけどね。
でも20年前くらいに初期のミステリと、「炎立つ」「火怨」、「竜の柩」「霊の柩」……
10冊ちょっとは読んでいる。「竜の柩」はトンデモとはいえ、すごく面白くて買った。

でも「竜の柩」でもすでに顕著だったんだけど、
……この人はほんとーに人が描けない。

いや、かっこいいのよ。主役は常に。
だがそのかっこよさがあまりにも型にはまりすぎて。
全然書き分けが出来てない。作品は違えど造型はみな同じ。
主役みんなが頭が良くて、かっこよくて、人に慕われ、賞賛される。
「またこれか」と思うと……どうもねえ。

この人の話の作りは、主役が全てを見通して台詞で全部を説明するパターン。
ミステリもそうだし、伝奇ものもそうだし、歴史物もそう。
それに加えて、その会話文も全員同じなんだよなあ。
これは主役どころか登場人物の口調が全員同じ。語尾をちょっと変えたりするだけ。
もう少し何とかなってもいいだろうと思う。

台詞で話を進めるところが災いして、なかなか進まない。
「またこれか」と思っているから気持ちよく読み進められない。
小説として、……悪いってわけではないんだけど、うーん、やっぱり不満だなあ。


まあでも、全然知らなかった九戸政実について読めたのは良かった。
面白くなくはなかった。テーマ自体は。書き方に飽きただけで。

だが多分高橋克彦が書くと相当理想化されているだろうと思うので、
九戸政実と南部一族についてはいずれ人文書を1冊2冊読んでみようと思う。
課題図書リストに入れて、おそらく8年後くらいに。

源氏の血筋の九戸政実を、蝦夷の後継者として扱おうとするのは無理があると思われるが、
高橋克彦の日高見愛に免じていいことにする。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

< 始皇帝 天下統一 17話くらいまで >

2024年09月10日 | ドラマ。
うーんうーん。面白くないとまでは言わないのだが、納得できないところが
多々発生している。この辺って、中国の人ならば、あるいは新しい歴史学を知っていれば、
こういう感じでいいの?

前回も言ったが、わたしが知っている呂不韋のイメージと違う……
趙姫と呂不韋が前にもイロイロ訳アリで、子楚が死んで閨寂しさからか、
呂不韋と趙姫にやけぼっくいに火がついて、さすがにこれはヤバイと思った呂不韋が、
身代わりとして差し出したのがロウアイですよね。
後宮には男子禁制なので、宦官だと偽って。

でもこのドラマでは、現時点で全然呂不韋はのっぴきならないところにまで落ちてはいない。
せいぜい単に趙姫に秋波を送られている段階で。肉体関係もない。少なくとも今は。
そんなに臆病な――筋を通す――真面目な――人なんですかね、呂不韋。

で、ロウアイはロウアイで、変なんだよねえ。
呂不韋の侍従であるという立場にしても、太后の居室に、呼ばれたからと入れるもんかね。
後宮は男子禁制ではないのか……。呂不韋も太后の私室に平気で入ってるけど、
まあそれは丞相の筋から外れた権力のせいで……とか補完できるが、
ロウアイにまでそれが及ぶのかというと。

これは中国的なドラマの作り方だとこうなるということか?
それとも中国の歴史的には呂不韋と趙姫の関係にはフォーカスしないことになってるのか?
日本だったらこの辺をこってり描くよなあ。良くも悪くも。



呂不韋もなんであんなに政を無視するんだろう。
あそこまでされれば溝は深まるよなあ。だって各国の使者も政に挨拶に行かずに
呂不韋のところで宴会三昧なんだよ?
あんなに面子をつぶす行動を続けるわけはないと思うが。
こないだの「大秦帝国」でもそうだったが、中国では虐げられる息子を描きがちなんだろうか。
儒教の国だから、無意識的にオイディプス・コンプレックスを抱きがちとか。

「子供だ」と繰り返すが、役者さんが子供に見えないのもネックなんだよなー。
少年役の役者と今の役者の雰囲気が全く違うのもネック。
もう少し似通った役者はいくらでもいるんじゃないだろうか。

呂不韋にせっかく美男の俳優を持ってきたのに、役柄に納得感がないから無駄になっている。
もう呂不韋は老人なの?老人演技が過剰じゃない?
それこそ政がまだ子供なら、先王が死んでから数年しか経ってないと思うんだけど。

先王が死ぬまでは違和感はそこまではなかったけども。
その後は違和感ありまくり。これであと50話以上見続けるのは無理かもな。
呂不韋失脚後の政には興味がある気がするけど、そこまでもけっこう遠いだろう。
つまらないのもツラいが違和感があるのもツラい。
まあ20話くらいまでは見てみようと思うが……

李斯はちょっといい感じですかね。
でもやっぱり登場人物が何十人といて、それのほとんどがおっさんばっかりだと飽きるね。
おにいさんも多少いるにしても。

でも相変わらずセットは素晴らしい。セットを見ているだけでも価値があるとも感じる。
まああと何話かは見てみる。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

89ers、9月5日の台湾との国際親善試合。

2024年09月07日 | 仙台89ers。
89ers、9月5日の台湾との国際親善試合。

相手も遠いところをわざわざ来て、絶対勝って帰ろうとは思ってなかったと思うし、
シーズン前に怪我しても困るからそこまで熱量はなかったとは思うが、
……しかし応援しているチームが勝つと嬉しいのは、万民共通の情。


正直に言おう。今年のロースターは期待外れだった。
まずなんといっても藤田HCの移籍。これは大きいよ。喪失感。
そして代わるのは内部昇格の落合さん。選手のことをよく知っているというのは
大きなアドバンテージだが、HCとしては未知数だと言わざるを得ない。

というかね。まあ期待しすぎていたんだよなあ。霞が関キャピタルに。

今までずーっと貧乏だった。去年初めて大きなスポンサーがついて、今回こそは!と思った。
お金に糸目をつけず(とは言い過ぎだろうが)、初めてお金持ちの気分が味わえる
オフになるかも!と多大な期待をしていた。

が、その期待には応えてもらえなかった。
期待が大きかった分、失望が大きかったよ。わたしなんかは来た選手が実際に
どんな選手なのか全然知らないんだけど、下馬評が芳しくなく。
最後の方はチェックすら怠っていた。


でもやっぱり試合となると見たくなります。

久々の試合~とわくわくして見に行った。何しろ下馬評が良くないから
昨季アリーナを埋めた観客も鳴りをひそめているだろうと思いきや、
――ナンデコンナニイルンデスカ!?

もう入口は七夕の中央通りレベルでした。そして昨シーズンと入口が違ってたり、
夜なのに照明が足りなかったり、キッチンカーと来場登録などの位置関係が悪かったりするから
カオスに混雑していた。中に入っても混んでてね。
正直この混み具合はきつい……。

中国風なランタン?ちょうちん?を並べた入場ゲートなどがあって楽しかったけどね。
キッチンカーは激混み。

結局来場者数は4000人でした。カメイアリーナのハコは5000人。
見たところ実際に来ているのは4000人は切ってるかなという気がした。
でもこのくらい入ってれば十分な気がする。
ただこの人数だったらもう少し動線を工夫すれば流れが良くなる気がするから
今後がんばって欲しい。

むすびまるが来てましたよー。可愛くて好き。
ティナとむすびまるがいちゃいちゃしているのは可愛かった。


そして試合は。……これは、思ったよりもイケてる?
初めに戻るが、相手もそこまで勝ちたいわけではないと思うのよ。
完全アウェイで、ここで勝っても誰得な感じ。なんだったら接待といってもいい。

が、序盤からしばらくは相手の落ち着いたジャンプシュートの精度に
「こりゃ負けかな……」と思っていた。静かに点を重ねていくイメージ。
こういう相手はけっこう苦手な気がする。

でもこちらもこの時期にしては相当体が動いていた気がしました。
そして3ポイントがけっこう決まっていた。まあ相手がどの程度プレッシャー
かけてくるのかが重要だから、楽々打てていたということかもしれないけど、
それでも入らない時は入らないしね。
3ポイントを打てる人がたくさんいるのは何にせよありがたい。

昨季と比べて、若干サイズアップした?ゴールを守る5人の、コートに対する面積が
大きくなった気がした。相手が細身だった可能性もあるけど。

フリースローがけっこう入ってた気がする。このくらい入っていれば安心する。
去年のゲルンはまあほとんど半分だったからねえ。

……個々の選手がどういうプレーをしていたかは目が悪いので会場では見えなかった。
スタントン・キッドが活躍してたんですかね。会場でわかったのは彼のみ。
バスケットライブを見ると、やっぱりキッドかね。

片岡が今年も元気で嬉しいよ。
渡辺翔太が長くいてくれて嬉しいよ。去年は買う買う詐欺をしてしまったけど、
今年はタオルを買うからね。
そして、過半数が入れ替わってしまったチームで、ネイサン・ブースの名前を
聞いた時の謎の実家のような安心感。

フェリシオという人が最後に入ったそうだね?その情報は見逃していた。
ブラジル代表なんですね?元NBAなんですね?これは期待出来る?
キッドとフェリシオがうちらを救ってくれる?

今はまだ信じていない。10月から始まるレギュラーシーズンを見てどうなるか。
まあ9月半ばの東北ダービーでもいい。現地には行かないが、
バスケットライブにて視聴をさせてもらう。
そこで見て初めて、どんな選手かわかってくるだろう。

東北ダービー、先の話だと思ってたけどなんともう1週間後ですよ。
100%を出すチームばかりではないけれども、出来れば秋田とやって、
感触をみておいてはおきたいもんだ。ああ~楽しみだなあ。



くさしたが。結果を出してくれれば全力で手のひらを反す準備は出来てるぞ!
カーペットの上に座って土下座する覚悟も出来ている。
土下座させてください。わたしの不明を恥じる覚悟は出来ている。

た・の・し・みー。

しかし今年のチケットは高いね。
言い値で買うか、タダ券を狙うか、企画チケットを待つか。
なかなか難しい選択だ。高いチケットを払っても後悔しなくてすむような
試合を見せて欲しいものですね。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする