プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 根本聡一郎「プロパガンダゲーム」

2024年10月04日 | ◇読んだ本の感想。
とあるきっかけがあって読んでみた。多分普通に暮らしていたらわたしの視野には
入ってこないジャンルの本。
なかなか面白かった。

正直、大学生の話で――就活生の話で、これはわたしには楽しめるのか?と
だいぶ疑いながら読み始めたが、予想より面白かったですね。

この話の中で行われるのは、広告代理店の第3次?面接としての「プロパガンダゲーム」。
4人ずつ、大学生が2つに組分けされる。政府チームとレジスタンスチーム。
ある一か所の無人島の取り合いをしている国があり、
政府がそのための戦争に対する国民の賛意を取り付けようと、
100人の国民(ネット上の、仮想の)第三者に向けて宣伝活動をする。
レジスタンスチームはそれを阻止する。

それが大手広告会社の就職試験として行われ――ここはリアリティはないが、
ファンタジーとして見ればまあありかと思う。

凡百の学生たちがこの試験に臨めば無理だろうが、普段から興味の方向が
政治・スパイ活動・ポリコレなどなど、いい意味で意識の高いの学生たちの集まりだから、
それぞれの得意分野を生かして活躍することになる。
面白かったのはそれぞれにスパイが1人いる。けっこうこれがドキドキする要素で、
わたしは全然見破れなかったから楽しめた。

ゲームで始まりゲームで終わるお話かと思ったら、そのゲームが終わったあとでも
あれ、まだ続く?続く?で、けっこうどんでんが並んで話をひっぱる。
どっちかいうと陰謀論的な世界観だが、そして若干子供っぽさがないこともないが、
予想よりもだいぶ楽しめた。


だがただ一つ、文句を言いたいところがある。
最後の一行の表現が、あまりにも紋切り型で陳腐だった。これはあかんね。
この一行で作品の良さが少なくとも1割は下がったと感じた。
ここはもっと練るべきだったよね。

とはいえ総じてけっこう面白かったので、今後この作者の別な作品も読んでみようと思う。
図書館利用で悪いが。

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