プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

☆< ブレット・トレイン >

2022年09月12日 | ☆映画館で見た映画。
いや、全然見る予定はなかったんだけどね。
ばんばんyoutubeで番宣動画を見ているうちになんだか見たくなっちゃってね。
見る映画は前々から決めている自分にしては、思いついてすぐ見に行くなんて
本当に珍しい。見に行くと決めて翌日だもの、行ったのは。

そして……すごく面白かった!
きゃっほーい!

予告動画から感じてたよりははるかに明るくてコミカルだったね。
この作り込み具合が良かった。
流血と暴力においてはわたしの許容量をはるかに超えていたけど、
コミカルさで乗り越えられた。

「これは日本じゃない!」と批判する意見もだいぶあるようだが、
これ、そういうことをいう映画じゃないんじゃないでしょうかねえ。
日本人の作るアニメ作品の、近未来の日本と非常に近いものがあるじゃないですか。
早い話「鬼滅の刃」とレベルにおいてさほど変わらん。
あるパラレルワールドとなぜ見れんか。

といいつつ、わたしも「ラスト・サムライ」とか「SAYURI」とか見て、
嫌な気分になっていたもんなあ。特に「ラスト・サムライ」は世間一般の
評価が高くて、「これで武士道の素晴らしさを知りました!」とかいってる
日本人に辟易していた。これが武士道って……。

まああれらはシリアスでしたから。そして時代ものでしたから。
そのずれが嫌だったんだけど、
今回はコミカルさでフィクション感を前面に出しているし、
あれよりかなり日本の実体を咀嚼した上での脚本と感じた。

たとえば車内の静かさとか整理整頓についての執着とか。
ミカンとブラピが戦っているのをパッとやめて、売り子さんの前で
掃除して取り繕ってるのとか、大変カワイイシーンになっている。
「しーっ!」と注意するのは現行の白人女性か、それとも日本人女性か、
どちらの方がふさわしかったんだろう?

各論的に良かった。各論的に悪かったところもあるからね。
映画は見終わった後の“総じて”の感想になることが多いが、
この映画は良かったところと悪かったところが独立して捉えられる。

前述したが、暴力と流血は嫌だった。
しかし色彩感とテンポと笑えるところは大変良かった。
伊坂幸太郎らしく、とにかく話は伏線で始まり、伏線で終わるのだが……
(伊坂に限らず、設定だけの話とか伏線だけの話とかが近年多数ですよね)
間にこんなに笑わせてくれれば、伏線だけの話も許せる。

中身が何にもない、という感想を持つ人は、
たとえば将棋というパズルゲームに心情を求めるようなもんで。
将棋の駒にキャラクターとか感情が必要ではないように、
とにかくその動きを、転がるシチュエーションを楽しむべき映画だ。

とはいえ原作を読んだ人にとっては、ナニコレといいたいんだろうなあとは思う。
わたしは読んでないが、伊坂はもう少し物語をまとわせる人だと思うし、
話としては全然別だと思うから。シチュエーションだけ借りただけだろうね。
わたしは原作を読むことはないだろうのでいいんだけれども。


冒頭がキムラのシーンで始まるのが良かったのか悪かったのかの結論が出せない。
現行だと、この人の話なのか?と勘違いさせそうでしょう。
でも木村を後から出すと印象が弱くなり、話がますますわからなくなる可能性が高い。
もうちょっと上手い手はなかったかな。
特に真田広之が後半あれだけ活躍するのなら。

ブラピの導入部は良かったね。あそこから話を始められるのなら
もっと話に入り込みやすかったんだろうが……。
うーん。キムラパートは扱いが難しいね。重みは欲しいしね。
でも説明に使う時間が短すぎて、ちょっと納得感が薄い。
峰岸と木村のパートをもう少し整理してうまく説明出来なかったか。
まあ相当整理してはいると思うんだけど。

他の人々も突然登場してくるから、どこまで感情移入していいのか不明。
ウルフが面白かったなあ。
すごくスピーディに進んでいくから役柄が最初全然つかめなかったけど。
これは尺をとらずに背景を説明する手法。
こういうところを「そういうもんだ」として見られれば楽しめるんだよなあ。

一番好きだったのはミカンとレモンのコンビ。
この2人の掛け合いを見られただけでこの映画を見て良かった。
「二度とトーマスの話をするな」の時、ひょっとしてミカンがレモンを
殺してしまうんじゃないかと思ってドキドキしたあ~。

プリンスの衣装の色合いとか、化粧とか、演技も含めて見事な点景。
この人をもう少し動かせればよかったが、尺もすでに長いしね。
ロイヤル・テネンバウムを思い出すキャラクターだった。

チャニング・テイタムがちょこっとだけ出てきたのが笑えたー。
サンドラ・ブロックも笑えたー。
わたしはこないだ「ザ・ロスト・シティ」を見に行って、
そのこともタイトルもすっかり忘れていたほど印象薄い映画だったんだけど、
それは本作のこの部分を一層楽しむための前座だったに違いない。





(ネタバレあります)





まさかレモンとキムラが生き返るとは……
ここでミカンも生き返って、七人の侍的に死神と対峙するという
終わり方かなと思ったのだが、そうではなくそこからひと暴れあった。
まあそうだったらありがちだが、それでも良かった気がする。
ミカンに生き返って欲しかったですよ。2人揃ったところを見たかった。

最後はこれでもか!なクラッシュと流血。
見ててちょっとツライんだけど、仕方ないんでしょうねー。
まあ真田広之の見せ場があったからいいや。

真田広之、英語お上手になりましたねー。渡米して何年?
向こうでがんばってるんだよね。
ハリウッドだって天国じゃない。日本でキャリアを続けていたら遭わなかったような
羽目にも遭遇しただろう。でも日本じゃ得られないものもある。
この映画ではいい役だったね。大御所的な。
日本関連の映画だということはあるだろうけど、任されるのはすごい。


あー、面白かった。いやあ、2年半ぶりですよ、面白い洋画は。
まあここ数年、劇場へ行く回数も減ってたけどね。
でも洋画の勢いがここ7、8年本当に減っているから。
わたしが見たいと思う映画すらない。

わたしは洋画の場合、時間的に合わない場合以外は常に字幕を選んでおり、
これも字幕で見たんだけど、吹替の津田健次郎と関智一の掛け合いが
どうなっているのか気になるー。

ミカンとレモンですよ!あのコンビを2人がどう演じてくれたのかと思うと。
が、さすがに2回目は見ない。今まで映画館に2回見に行ったことはない。
テレビ放映してくれるだろう、いつかは。その時は見逃さないようにしたい。

面白かった!ありがとう。



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