乱鳥の書きなぐり

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『古今集遠鏡 巻一』18 はしがき 八丁裏 本居宣長

2020-07-04 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』






『古今集遠鏡 巻一』18 はしがき 八丁裏 本居宣長
 6冊。寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。
 



遠鏡 1
右 八丁裏 

はしがき 八丁裏

◯「かな」ハ、さとびごとにも「カナ」といへど。語のつゞきざまは。雅言のまゝにては。う

ときが多ければ。続ける詞をば。下上に置き換えとし。あるは言を加えなども

して。訳すべし。全て 此 辞(言葉)は。嘆息(ナゲキ)の詞まで。心を含めたる事多

ければ。訳(ウツシ)には。その含めたる事の詞をも。加わうべき技なり。






はしがき 八丁裏

◯「哉」は、さとびごと にも「哉」と言えど。語の続きざまは。雅言のままにては。う

とき が多けれバ。つゞける詞をバ。下上におきかへとし。あるハ言をくはへなども

して。訳すべし。すべて此辞ハ。嘆息(ナゲキ)の詞まて。心をふくめたることおほ

けれバ。訳(ウツシ)にハ。そのふくめたることの詞をも。くはふべきわざなり。





「かな」ハ、さとびごとにも「カナ」と訳す
 「哉」ハ、さとびごとにも「哉」と訳す

さとびごと
 ① いなか言葉。方言。
 ② 日常話している言葉。世俗の言葉。

うとき (疎し)
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
 ①疎遠だ。親しくない。関係がうすい。
 出典伊勢物語 四四
 「うとき人にしあらざりければ、家刀自(いへとうじ)さかづきささせて」
 [訳] 疎遠な人でもなかったので、(その家の)主婦が杯をすすめさせて。
 ②よそよそしい。わずらわしい。うとましい。
 出典古今集 雑上
 「かつ見れどうとくもあるかな月影のいたらぬ里もあらじと思へば」
 [訳] 月を美しいと思いながらも一方では、どこかよそよそしく感じられるよ。月が照らしていないところなどないと思うと。
 ③よく知らない。不案内だ。
 出典徒然草 八〇
 「人ごとに、わが身にうときことをのみぞ好める」
 [訳] だれでも、自分がよく知らないことばかり好んでいる。
 ④無関心だ。
 出典徒然草 四
 「後の世の事、心に忘れず、仏の道うとからぬ、心にくし」
 [訳] 来世のことをいつも心に忘れず、仏の教えに無関心でないのが、奥ゆかしい。
 ⑤よくきかない。鈍い。
 出典落窪物語 二
 「大臣(おとど)おし放ち引き寄せて見給(たま)へど、え目うとくて見給はで」
 [訳] 大臣は(手紙を)離したり、近づけたりして見ていらっしゃるが、目がよくきかないのでご覧になることができなくて。

 

 

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