御蔵島うつぼ記

うつぼとこつぼの島暮らし

エビネの塗り絵

2010-04-24 08:56:09 | スケッチ
デイや入浴サービスを行っている「中里」で、お手伝いを頼まれました。

利用者の方々が、月に数回、絵を描く際に、
何が使い易いか、その方法は?等々を、
介護サービスを行っている方と相談して決め、当日も付き添うというもの。
私が絵描きだということで、白羽の矢を立てて下さった模様。

・・・なにをして、さしあげられるんだろう・・・?

御蔵の高齢者の方々は、とてもお元気です。
晴れてさえいれば、朝早くから畑に行き、作業。
20kgの堆肥袋も、ヘタすりゃ担いで持っていってしまいそうな程、
元気がミナギっていらっしゃいます。
身体を動かすばかりでなく、島の流行や話題にも敏感。

畑を手伝う私の手元が危ないと、鮮やかなお手並みを見せてくださる。

島での料理方法を尋ねると、あれこれ教えてくださった後で、
「アンタがた若い人たちには、もちっと固くってもイイかもしれねぇな」
と、そんなことまで気を配ってくださる。

まだ越して間もない頃、道ばたでスケッチしている私を見つけ、
「アンタ絵描きだな。オレは大地主だ。描け!」
と、発破をかけてくださった方もいらっしゃいましたっけ。。。;^^

確かに、お若い頃の水汲みや、黄楊背負いの重労働により、
今は身体が思うように動かせない方も、いらっしゃることは確か。。。
しかし、中身は超 !!!!!!!! お元気です。

その方たちに、してさしあげられることはなにか・・・?

丁度、東京から黄楊で葉書を作るワークショップがあるということで、
その葉書に、この季節に咲くエビネ蘭を描いたらどうか?
ということになりました。

「あ~、でもお年寄りたちは『描けねぇ!オメェ描け!』って言われると思いますよー」
「塗り絵にしましょう」

。。。「塗り絵」。。。;;-_- デスかぁ。。。

うむむむ~~~~~☆

実は、私が昔から、どうも苦手としているのが、この分野。
幼い頃には塗り絵ができず・・・いや、できずというよりは、やりたくなく、
線のとおりに塗ったり、同じことを繰り返したり、
何よりも、見本通りに描けというのが、耐えられませんでした☆

だから、先頃から巷に反乱する「大人の塗り絵」などという分野も、
#っなんて個性を無視したオーボーな商品!大人をナメちゃイカン☆☆☆
と、本屋でひとり、勝手にムカついたり。。。

それを、私がするのかぁ? どーする?私!?

。。。

数日、迷っていましたが、
島のお年寄りたちは、
もしかして絵の具さえ触ったこともないかもしれないこと、
好奇心は旺盛ながら、実は恥ずかしがり屋なこと、
等々を伺い、決心。

♪ナメた塗り絵じゃなきゃイイんだ♪

簡単に紙すきのできるキットで作った黄楊の紙ができました。
塗り絵をするのは「エビネ祭り」で、です。

エビネ祭りの日までの二日間、作業日を頂き、
以前、私がスケッチしたエビネ蘭をアレンジし、葉書大に作画。
エビネは花が小さいのですが、花茎や蕾にとても綺麗な諧調があります。
12色セットのクレパスは柔らかく、混色が容易なので、
その諧調をできるだけ再現するように、見本用も用意しました。

利用者の数、14人、紙の数も14枚。
黄楊紙は脆く厚みが一定でないため、コピーができません。
オソロシイことに、失敗も許されません☆
一枚一枚手描きでしたが、一本一本の線を大切に描きました。

・・・ん?ロハですロハ。

事前に出来上がった見本と線書きの塗り絵台を、何人かに見て頂きました。

「はれ~綺麗だな~」
「はれ~こげなもん、もったいねぇ」
「オレは7枚欲しいなっ」←いや、コレは無理;;

誰よりも御蔵を愛しているのもこの方々です。

「御蔵の黄楊の紙に、御蔵のエビネ蘭を描くだんキャ♪」
「もちっとエビネが長けりゃ立派だったなぁ」←葉書だもん、無理!!


今日はエビネ祭りの日。
どんな塗り絵ができるでしょう?
もちろん私もそばで付き添いますが、手は出しませんよ~♪
ああ、どんな塗り絵ができるのか?
ものすごく楽しみです!!!