コメント
 
 
 
博打 (bakeneko)
2019-03-13 06:54:17
女は自分が助かりたいがために、男を憲兵に売ってしまった.
その罪を許されたいがために、男と娘の再会を取り持ち、そして、自分自身ももう一度、男と一緒に暮らしたいと望んだのだった.

男は軍の公金を使い込み、その穴埋めのために博打に手を出して、すってしまった.他人の罪まで背負い込んだとは言え、男は妻子を捨てて放浪することになった.

女と男の運命を決めるトランプ博打は如何様だった.つまり男は博打で自分の運命を決めたのではない.男の方だって残された余生を女と一緒に暮らしたかったであろうけれど、男はそれを許さなかった.男は自分自身を許さない道を自ら決したのである.
男は何を許さなかったのか?.それは自分の人生を博打に委ねたこと.自分だけならまだしも家族を巻き込み、家族を不幸に陥れたその罪を、彼は許そうとしなかったのである.

自分自身が許されることを望んだ女と、自分自身を許そうとしなかった男.
人生を委ねるような、博打をしてはならない.
 
 
 
Unknown (Bianca)
2019-03-22 13:43:19
bakeneko様

気づくのが今日で、お返事が遅くなり申し訳ありません。
小説と映画、どちらをご覧になったのでしょうか?

>人生を委ねるような、博打をしてはならない。

そうですねえ。自ら顧みて忸怩たるものがあります。
 
 
 
大佛次郎 (bakeneko)
2019-07-25 22:29:44
映画です.
大佛次郎の作品、映画では、『雪崩』『宗方姉妹』『花の咲く家』『帰郷』を観ていますが、原作には全く縁がありません.

以前に親会社の若い人と飲みに行ったとき、都会の街中を歩いていて、ふとパチンコ屋が目に留まったので聞いてみました.
「パチンコ、しますか?」
「学生時代にしたけど.仕送りまで一週間有るのに、お金が千円しかなくて.ええい、ままよ.で、すっからかんになって、それで止めました.今はしません」

程度の差こそあれ、誰にでも、こんな想い出が有るのではないでしょうか.

大佛次郎の作品は、何れも金持ちの描かれた作品ばかり.それも半端でないお金持ち.この人は、質的に貧乏には描けない作家だと分りました.
樋口一葉は、『にごりえ』『たけくらべ』どちらも映画を観て、原作を読みたいと思ったのですが、大佛次郎は全く思いませんでした.
先に書いた理由で、興味の沸かない作家なのかもしれません.
 
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