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ばりん3g

PDCAは無意味? 数百の科学的知見を分析して判明した驚愕の事実とは。

3件のメタアナライズ(大量の論文を分析してより正確な知見を求めだした論文)を参考にする限り、現状、PDCAやPDSDを代表とした作業効率や成果を上げるための策に『科学的根拠がある』とはいえない

だがこれは決してPDCAやPDSAが無意味で前時代的なものであるという主張ではなく、単にPDCAやPDSAなどを取り扱った論文のほとんどが非常に粗雑なつくりをしているから『科学的根拠を示せない』のだ。

 

なお、非常に粗雑なつくりの内訳は……

・PDCAやPDSAに含まれる行動1つ1つの定義が成されていない。PDCAに含まれるPlanとはいったい何なのか、どのような計画がそれに該当するかなどの定義づけが行われていない。

・通常、こういった策は何回か繰り返すことでその効果が発揮するとされているが、その条項をガン無視し計測を短期間しか設けず、また定量的な計測もされていないことが多い。つまり、PDCAを導入する前と後という単純な比較になっているものがほとんどである。

・策の介入強度が不明、もしくは記述なしである。こういった策の成功要因の1つであると推測される、研究員もしくは担当員による策の指導と教材の度合いに関する記述が曖昧で、策のうちどの部分が具体的に作用したのかがわからない。

・PDCAやPDSA以外の成果にかかわる要素の考察不足、もしくは研究限界の未記述。作業効率や成果は非常に多様な要素の影響を受けるものだが、その多様な要素をバッサリ切り捨て、あたかも期間中の成果向上のすべてにPDCAなどの策がかかわっているように見せている。

と、主な要素でもこれぐらいある。ほかにもサンプル数が極端に少なかったり、研究結果の数値がなぜか全部パーセンテージだったり、バイアスの可能性を除去できてなかったりと、いろいろ小難しいことを書いたが、

要約すると、PDCAやPDSAなどを対象とした論文のほとんどは「tan1°は有理数か」という問いになんの計算も記述も根拠もなく「無理数です」と回答しているかのような不気味さがあるということだ。数学の記述問題で答えだけ書かれてたら試験官は探りを入れるし、同じような現象がこの界隈の論文にも発生しているということ。

しかも、そういった要素が該当する論文はほぼ例外なくPDCAやPDSAなどの策を『これでもかというぐらい』べた褒めしているのだ。怖い。

こんな論文がほとんどなので、PDCAやPDSAなどの策に科学的根拠があるとは言えないのだ。

重ねて言うが、これは決してPDCAやPDSAが無意味で前時代的なものであるという主張ではないことを、注意してほしい。効果があるという根拠がないのと同時に、無意味であるという根拠もないのだ。

 

ちなみに、今回取り上げた3件のメタアナライズは2013年までの知見であり、筆者も「もうそろそろまともな知見あるやろ」と思って検索したらものの見事に上記の特徴がそろった2018年の論文に出会った(Abdelkader M. Kholif 2018)ことを補足として残しておく。

 

 

参考文献

C R Nicolay, S Purkayastha et al. (2012) Systematic review of the application of quality improvement methodologies from the manufacturing industry to surgical healthcare.

Michael J Taylor, Chris McNicholas et al. (2013) Systematic review of the application of the plan–do–study–act method to improve quality in healthcare.

Jack Chen, Lixin Ou et al. (2013) A systematic review of the impact of routine collection of patient reported outcome measures on patients, providers and health organisations in an oncologic setting.

Abdelkader M. Kholif,Dina S. Abou El Hassan et al. (2018) Implementation of model for improvement (PDCA-cycle) in dairy laboratories.


論文を参考にいろいろ喋るブログです。

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