今回は予告通りスカパー課題アニメ2018年11月号の第一弾を書いていきたいと思います。
今回のため原作もちゃんと読み返しましたが、めちゃくちゃ面白かったです!十数年ぶりに読んだのですが、手塚先生の天才ぶりを改めて感じました。
そんな名作のアニメ化、いったいどんな作品に仕上がっているのでしょう?
ではでは、スカパー課題アニメ2018年11月号その①『火の鳥 鳳凰編』の始まり始まり~。
『火の鳥 鳳凰編』
1986年12月20日公開の日本のアニメ映画で原作はもちろん手塚治虫先生。上映時間は60分と短め。監督は虫プロ出身のりんたろうさんが務めました。本作は60分という尺のため、ストーリー、登場人物ともに原作から大幅に内容が削られました。ちなみに同時上映は真崎守監督の『時空の旅人』でした。
あらすじ
鳳凰を彫刻するため、その姿を捜し求めて国中を歩く大和の彫物師・茜丸は、盗賊団の主領・我王に出会って、大切な右腕を切られてしまう。我王は略奪を続けるが、妻を猜疑心から殺してしまい、悔恨のあまりノミ1本で仏像を彫り続ける旅に出ることを決意する。一方、必死の修業で右手を直した茜丸は大仏建立の責任者となり、天皇に献上するための彫物を命じられる。しかし、献上品を彫るのは茜丸だけでなく、仏像を作らせたら日本一と評判の乞食僧と腕を競うことになる。(Amazon当該商品ページより引用)
感想
原作を読んだうえで本作を鑑賞すると正直ガッカリする作品ですね。ワタクシは視聴後、思わず「ちがう、ちがう、そうじゃ、そうじゃな~い♪」と鈴木雅之の『違うそうじゃない。』を口ずさんでいました。
違うそうじゃない。
上にも書きましたが60分という尺の都合上とはいえ物語や登場人物を省略しすぎで、ワケがわからなくなっているのです。原作と見比べた結果、尺は120分でもまだ足りないと思うんですよね。60分では正直無謀としかいいようがありません。
鳳凰編は我王と茜丸という二人の主人公の善と悪の属性の逆転とそれがどういう経緯を辿って逆転するのかを丹念に描いている作品なので我王や茜丸に影響を与えた人物やエピソードを省略したらダメなんです。
特に我王が盗賊から僧侶に転身し、仏師としての彼の才能を見抜く師匠・良弁(ろうべん)上人の存在を省略したことにはどうしても納得がいきません。あらすじには我王が「妻を猜疑心から殺してしまい、悔恨のあまりノミ1本で仏像を彫り続ける旅に出ることを決意する。」となっていますが、”決意する”シーンなんてなくて旅しながら仏像らしきものを彫ってる描写しかありません!
原作でもアニメでも冒頭から悪逆の限りをつくす我王ですが、そんな悪い奴がなんのきっかけもなく妻を殺した悔恨だけで仏像を彫り続ける旅に出るってのには無理がありますよ。我王は自分が生きていくために”盗みや殺し”をやっていると原作でもアニメでも主張してるんですから。妻を殺した悔恨で生きる気力を失った我王と良弁との出会いが間にないと薄っぺらい物語になってしまうんですよ・・・。
そんな重要なことをバッサバッサと切りまくってしまうとは・・・。手塚先生も存命中だったのに、よくこれでOKが出たもんです。
終盤の展開も全然違うし、とりあえず火の鳥を登場されて神秘的に演出しつつ終わるというのも感動を無理矢理演出しようという姑息な手段のようにしか思えませんでした。
と、ここまで実に酷評をしてきたのですが、褒めるところがないのか?と問われれば褒めるところもちゃんとあります。
まずは作画。めちゃくちゃ丁寧で素晴らしい!特に冒頭の桜の花が風に舞うシーンでは花弁が一枚一枚丁寧に描かれていますし、火の鳥の描写も神秘的かつ力強くて他で観る漫画チックな火の鳥よりも素晴らしいです。
次にキャラらデザインについてですが、まるっこくて昔のディズニーキャラのような手塚キャラってそのままアニメ化しちゃうと子供っぽく見えると思うのですが、手塚キャラの特徴を残しつつ子供っぽく見えないキャラに上手くアレンジしてて、この部分では原作よりもよかったんじゃないかと思います。
それから音楽。サントラが欲しくなるほどの名曲揃いです。それにエンディングで流れる主題歌、渡辺典子さんの歌う『火の鳥』も名曲です。
まぁこういう所にアニメ化するのに60分しか与えられなかった制作スタッフたちの意地を見るようで、そういう楽しみ方もあるかもしれないですね。
Hi no Tori Houou Hen epilogue ~火の鳥 鳳凰編~ 高画質
城達也さんの渋いナレーションで幕を閉じてか~ら~の主題歌という展開なんもんで「なんだか、いい映画観たぞ」って気分にさせられるんですよね~。
そうそうキャスティングは完璧でした。
我王:堀勝之祐さん、茜丸:古川登志夫さん、速魚:麻上洋子さん、ブチ:小山茉美さん、火の鳥:池田昌子さん、ナレーション:城達也さんと実力者ばかり!個人的な話ですが、火の鳥役は竹下景子さんより池田さんの方がより神秘的で好きです。
亡くなってる方もいるんですが、できるだけ同じキャストもう一回アニメ化してくんね~かな~?と思う今日この頃です。
アニメ版のことはメタクソに貶しましたが、原作は間違いなく名作です。火の鳥全シリーズ読む必要はないと思いますが、この鳳凰編だけは日本人必読の書だと思います。
放送局:ファミリー劇場
放送日時:11/4(日)14:35~
11/7(水)23:55~
こんだけ酷評しておいて、オススメするというのも罪悪感を感じてしまいますが、お暇なら鑑賞してみてください。特に原作を読んでいる方は鑑賞していただいてワタクシと一緒に「ちがう、ちがう、そうじゃ、そうじゃな~い♪」って歌いましょう!
FC 火の鳥 鳳凰編 BGM集 NES Hi no Tori Houou Hen BGM Collection
そういえばファミコン版もありましたね~。我王が火の鳥の壁画を集めるという全く原作にないストーリーだったはず・・・。原作無視なのにゲームとしては意外に高評価らしいんですよね~。ワタクシは幼少期に友達の家で遊んだことがありますが、面白いな~コレ!っていう印象は特になかったですがね~。ちなみにこのファミコン版のBGMは名曲ぞろいです。さすがコナミ。
うおっ!?ファミコン版がAmazonで販売されてる。しかもプレミア付きで!!ていうか我王の冒険って、茜丸はどうした?もう一人の主人公だぞ!このゲーム結局、我王と火の鳥しか原作キャラはでてこないのか?
ということで今回は以上でございます。次回はスカパー課題アニメ2018年11月号その②『火の鳥 ヤマト編』でお会いしましょう。では次回乞うご期待。
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今回のため原作もちゃんと読み返しましたが、めちゃくちゃ面白かったです!十数年ぶりに読んだのですが、手塚先生の天才ぶりを改めて感じました。
そんな名作のアニメ化、いったいどんな作品に仕上がっているのでしょう?
ではでは、スカパー課題アニメ2018年11月号その①『火の鳥 鳳凰編』の始まり始まり~。
『火の鳥 鳳凰編』
1986年12月20日公開の日本のアニメ映画で原作はもちろん手塚治虫先生。上映時間は60分と短め。監督は虫プロ出身のりんたろうさんが務めました。本作は60分という尺のため、ストーリー、登場人物ともに原作から大幅に内容が削られました。ちなみに同時上映は真崎守監督の『時空の旅人』でした。
あらすじ
鳳凰を彫刻するため、その姿を捜し求めて国中を歩く大和の彫物師・茜丸は、盗賊団の主領・我王に出会って、大切な右腕を切られてしまう。我王は略奪を続けるが、妻を猜疑心から殺してしまい、悔恨のあまりノミ1本で仏像を彫り続ける旅に出ることを決意する。一方、必死の修業で右手を直した茜丸は大仏建立の責任者となり、天皇に献上するための彫物を命じられる。しかし、献上品を彫るのは茜丸だけでなく、仏像を作らせたら日本一と評判の乞食僧と腕を競うことになる。(Amazon当該商品ページより引用)
感想
原作を読んだうえで本作を鑑賞すると正直ガッカリする作品ですね。ワタクシは視聴後、思わず「ちがう、ちがう、そうじゃ、そうじゃな~い♪」と鈴木雅之の『違うそうじゃない。』を口ずさんでいました。
違うそうじゃない。
上にも書きましたが60分という尺の都合上とはいえ物語や登場人物を省略しすぎで、ワケがわからなくなっているのです。原作と見比べた結果、尺は120分でもまだ足りないと思うんですよね。60分では正直無謀としかいいようがありません。
鳳凰編は我王と茜丸という二人の主人公の善と悪の属性の逆転とそれがどういう経緯を辿って逆転するのかを丹念に描いている作品なので我王や茜丸に影響を与えた人物やエピソードを省略したらダメなんです。
特に我王が盗賊から僧侶に転身し、仏師としての彼の才能を見抜く師匠・良弁(ろうべん)上人の存在を省略したことにはどうしても納得がいきません。あらすじには我王が「妻を猜疑心から殺してしまい、悔恨のあまりノミ1本で仏像を彫り続ける旅に出ることを決意する。」となっていますが、”決意する”シーンなんてなくて旅しながら仏像らしきものを彫ってる描写しかありません!
原作でもアニメでも冒頭から悪逆の限りをつくす我王ですが、そんな悪い奴がなんのきっかけもなく妻を殺した悔恨だけで仏像を彫り続ける旅に出るってのには無理がありますよ。我王は自分が生きていくために”盗みや殺し”をやっていると原作でもアニメでも主張してるんですから。妻を殺した悔恨で生きる気力を失った我王と良弁との出会いが間にないと薄っぺらい物語になってしまうんですよ・・・。
そんな重要なことをバッサバッサと切りまくってしまうとは・・・。手塚先生も存命中だったのに、よくこれでOKが出たもんです。
終盤の展開も全然違うし、とりあえず火の鳥を登場されて神秘的に演出しつつ終わるというのも感動を無理矢理演出しようという姑息な手段のようにしか思えませんでした。
と、ここまで実に酷評をしてきたのですが、褒めるところがないのか?と問われれば褒めるところもちゃんとあります。
まずは作画。めちゃくちゃ丁寧で素晴らしい!特に冒頭の桜の花が風に舞うシーンでは花弁が一枚一枚丁寧に描かれていますし、火の鳥の描写も神秘的かつ力強くて他で観る漫画チックな火の鳥よりも素晴らしいです。
次にキャラらデザインについてですが、まるっこくて昔のディズニーキャラのような手塚キャラってそのままアニメ化しちゃうと子供っぽく見えると思うのですが、手塚キャラの特徴を残しつつ子供っぽく見えないキャラに上手くアレンジしてて、この部分では原作よりもよかったんじゃないかと思います。
それから音楽。サントラが欲しくなるほどの名曲揃いです。それにエンディングで流れる主題歌、渡辺典子さんの歌う『火の鳥』も名曲です。
まぁこういう所にアニメ化するのに60分しか与えられなかった制作スタッフたちの意地を見るようで、そういう楽しみ方もあるかもしれないですね。
Hi no Tori Houou Hen epilogue ~火の鳥 鳳凰編~ 高画質
城達也さんの渋いナレーションで幕を閉じてか~ら~の主題歌という展開なんもんで「なんだか、いい映画観たぞ」って気分にさせられるんですよね~。
火の鳥 鳳凰編 [DVD] | |
古川登志夫,大塚周夫,堀勝之祐,城達也,池田昌子 | |
角川エンタテインメント |
そうそうキャスティングは完璧でした。
我王:堀勝之祐さん、茜丸:古川登志夫さん、速魚:麻上洋子さん、ブチ:小山茉美さん、火の鳥:池田昌子さん、ナレーション:城達也さんと実力者ばかり!個人的な話ですが、火の鳥役は竹下景子さんより池田さんの方がより神秘的で好きです。
亡くなってる方もいるんですが、できるだけ同じキャストもう一回アニメ化してくんね~かな~?と思う今日この頃です。
火の鳥 4・鳳凰編 | |
手塚 治虫 | |
朝日新聞出版 |
アニメ版のことはメタクソに貶しましたが、原作は間違いなく名作です。火の鳥全シリーズ読む必要はないと思いますが、この鳳凰編だけは日本人必読の書だと思います。
放送局:ファミリー劇場
放送日時:11/4(日)14:35~
11/7(水)23:55~
こんだけ酷評しておいて、オススメするというのも罪悪感を感じてしまいますが、お暇なら鑑賞してみてください。特に原作を読んでいる方は鑑賞していただいてワタクシと一緒に「ちがう、ちがう、そうじゃ、そうじゃな~い♪」って歌いましょう!
FC 火の鳥 鳳凰編 BGM集 NES Hi no Tori Houou Hen BGM Collection
そういえばファミコン版もありましたね~。我王が火の鳥の壁画を集めるという全く原作にないストーリーだったはず・・・。原作無視なのにゲームとしては意外に高評価らしいんですよね~。ワタクシは幼少期に友達の家で遊んだことがありますが、面白いな~コレ!っていう印象は特になかったですがね~。ちなみにこのファミコン版のBGMは名曲ぞろいです。さすがコナミ。
【ファミコン】火の鳥-鳳凰編-我王の冒険【カセット】 | |
コナミ | |
コナミ |
うおっ!?ファミコン版がAmazonで販売されてる。しかもプレミア付きで!!ていうか我王の冒険って、茜丸はどうした?もう一人の主人公だぞ!このゲーム結局、我王と火の鳥しか原作キャラはでてこないのか?
ということで今回は以上でございます。次回はスカパー課題アニメ2018年11月号その②『火の鳥 ヤマト編』でお会いしましょう。では次回乞うご期待。
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