きょう公園で二胡を弾く人と出会いました(画像)。二胡は、2本弦の中国伝統楽器。
私はこの楽器の音色が好きなのですが、直に音を聴いたのは初めてでした。
そしてもう一つ、この楽器、どういう構造なんだろう? と長い間思っていました。
ヴァイオリンやチェロは、弦の「上」を「棒(の毛)」でこするけれど、これは「棒」と「弦」が合体しているように見える…
どうやって接続して、どのように接触させてるんだろうかが疑問でした。
目が合ったので、お辞儀してみたら、なんとなく話しかけて…という空気を出してくれる。私にしては、とてもめずらしいことだけど、「すてきな音ですね」と話しかけてみた。
日本語は話さない人みたいだ。楽器を掲げて「弾いてごらん」という身振りをなさる。
ここに座れ、と指さす。こうするんだと持ち方、構え方を教えてくれて、やってみろと。
びっくりしながらも、うれしいのでさっそく try。
おお! 美しいとは言えないが、ちゃんとそれっぽい音がするではないか!
そこで長年の疑問だった、弦の移動をどうしているのか知りたくて、もう一本の弦を指さしてみると、右指を「棒」と「毛」の間に差し込み、ここで接触弦を調整するんだと見せてくれる。
そうだったのかぁ! 長年の疑問が解けて、憧れの楽器に触らせてもらって、感激しました。
この楽器の「棹」上部に文字があるのが、画像でもなんとなく見えるかと思います。
おじさん、ここを指さしてニコニコなさる。「中国無錫」と読める。
見覚えのある文字列なので、なんだかわからないけど、こちらもニコニコ返し。
今度は、楽器の向きを変えて、別の面を指さしてくれる。こちらには長い漢字がずらーっと並んでいて、最後に「王維」が読めた。
あ、見たことある、この名前! コケに日が当たるんだっけ? と、もう一度長い漢字列を見てみると、最後のほうに「相照」「名月」とある。あ、コケじゃないのか… でも「王維」はわかるよ! とニコニコうなずいてみる。
おじさん、中国語で朗読というか詠唱してくれました。
こうした場合、どうするべきか… 復唱したいところだけど、全然わからないし…
おじさんが帰り仕度を始めたので、この楽器のお写真を撮らせてくれないかと身振りでお願いしてみたら、ポーズを取ってくれました。ありがとうございます。
たどたどしく「サヨナラ」と言ってくださったので、わたしも御礼とご挨拶をしましたけど、「ツァイツェン」とか言えばよかったのかも…気が利かなくて申し訳ない…
帰宅して、「無錫」と「名月」「照」「王維」でさっそく検索。
「無錫」はコロナ関連ニュースで見た地名だったみたいだ。
そしてあの漢詩は「深林人不知 明月来相照」とたちまちヒットしました。すみません、教養なくて。
本当にすてきな詩なので暗記しようと思います。
この人と出会ったのは、ケヤキの疎林わきのテーブルで、詩の情景にぴったり。
憧れの楽器とすてきな詩に出会ったすばらしい一日でした。