かもがわ出版「丁丁発止」(1998年)は、
梅棹忠夫・鶴見俊輔・河合隼雄の鼎談。
そのはじまりは「北白川のサロン」。
鶴見】 梅棹さんと初めてお会いしてから、ほとんど
50年でしょうか。1949年でしたからね。そのころ、
実によく会っていました。・・・・・
梅棹】そうでしたね。あのころは、いわゆる一般の
インテリの考えることと私とはちがっていた。
うん。やはり引用しておきます(笑)。
梅棹】私の青年時代はいわゆる戦前ですからね。
私は1944年から46年まで中国大陸で生活しているんです。
そして46年の春に日本に・・・ほうほうのていで逃げ帰って
きた(笑)。
鶴見】・・・引き揚げの上陸用舟艇で三井・三菱の支店長の
細君たちが喜々として赤ん坊のおしめや何かを干している風景。
梅棹】引き揚げ船の甲板に綱を張って、それに干した
おしめがまるで満艦飾でね。
鶴見】そのことに感激しているわけです。梅棹さんは
・・・・
梅棹】元気、元気でね。私は
『ああ、これで日本の将来は開けた』と思った。
それまですべて軍でしょ。・・・・
『ああ、もうこれで日本は万々歳だ』と。
戦争に敗けるというのは、歴史上いくらでもあることで、
べつにしょげ返ることはないんですよ。
『これから日本の世紀が来るんだ。万々歳だ』と
言って帰ってきた。・・・・
鶴見】・・京大のすぐそばの進々堂コーヒー店で、梅棹さんと
話していると、そこがまるで別天地のようなんです(笑)。
梅棹】毎日、われわれは進々堂にたむろして、
お茶を飲んで話していました。
鶴見】そのころは酒は飲まなかったんです。
コーヒー一杯で、ものすごく安上がり(笑)。
梅棹】終戦前からサロンをつくっていましたね。
鶴見】『にど・だもれ』という本があります。
牧野四子吉(よねきち)・文子夫婦の回想文集です。
・・・その牧野夫婦のサロンがあった。・・・
サロンというのは、旦那もさることながら
細君が活発に反応していると明らかに弾力性が出てきて、
おもしろい場所ができてくるんですよ。
梅棹】そうですね。・・・・女性がひとり入ると、
みなそれに魅かれて行くんです。当時、北白川の
一間きりの家で牧野夫婦は生活していたんです。
その広間がサロンになっていた。
鶴見】そこからずっと派生してくるので、
私が梅棹さんに会ったのは1949年。
復活のころから京都に定着したわけだから。
とにかく別天地の感があったね。おもしろかった。
(p8~12)
はい。ついつい引用してしまいました(笑)。
さてっと、この会話のなかに『にど・だもれ』という
本が紹介されている。読んだときに、気になって
ネット検索したら見当たらなかったのでした。
それが、今回あらためて検索したら日本の古本屋に
それはありました(笑)。
はい。さっそく注文。
いながらにして、本を手にできる。
そのありがたさ。そのおもしろさ。
次回は、その紹介となるでしょうか
梅棹忠夫・鶴見俊輔・河合隼雄の鼎談。
そのはじまりは「北白川のサロン」。
鶴見】 梅棹さんと初めてお会いしてから、ほとんど
50年でしょうか。1949年でしたからね。そのころ、
実によく会っていました。・・・・・
梅棹】そうでしたね。あのころは、いわゆる一般の
インテリの考えることと私とはちがっていた。
うん。やはり引用しておきます(笑)。
梅棹】私の青年時代はいわゆる戦前ですからね。
私は1944年から46年まで中国大陸で生活しているんです。
そして46年の春に日本に・・・ほうほうのていで逃げ帰って
きた(笑)。
鶴見】・・・引き揚げの上陸用舟艇で三井・三菱の支店長の
細君たちが喜々として赤ん坊のおしめや何かを干している風景。
梅棹】引き揚げ船の甲板に綱を張って、それに干した
おしめがまるで満艦飾でね。
鶴見】そのことに感激しているわけです。梅棹さんは
・・・・
梅棹】元気、元気でね。私は
『ああ、これで日本の将来は開けた』と思った。
それまですべて軍でしょ。・・・・
『ああ、もうこれで日本は万々歳だ』と。
戦争に敗けるというのは、歴史上いくらでもあることで、
べつにしょげ返ることはないんですよ。
『これから日本の世紀が来るんだ。万々歳だ』と
言って帰ってきた。・・・・
鶴見】・・京大のすぐそばの進々堂コーヒー店で、梅棹さんと
話していると、そこがまるで別天地のようなんです(笑)。
梅棹】毎日、われわれは進々堂にたむろして、
お茶を飲んで話していました。
鶴見】そのころは酒は飲まなかったんです。
コーヒー一杯で、ものすごく安上がり(笑)。
梅棹】終戦前からサロンをつくっていましたね。
鶴見】『にど・だもれ』という本があります。
牧野四子吉(よねきち)・文子夫婦の回想文集です。
・・・その牧野夫婦のサロンがあった。・・・
サロンというのは、旦那もさることながら
細君が活発に反応していると明らかに弾力性が出てきて、
おもしろい場所ができてくるんですよ。
梅棹】そうですね。・・・・女性がひとり入ると、
みなそれに魅かれて行くんです。当時、北白川の
一間きりの家で牧野夫婦は生活していたんです。
その広間がサロンになっていた。
鶴見】そこからずっと派生してくるので、
私が梅棹さんに会ったのは1949年。
復活のころから京都に定着したわけだから。
とにかく別天地の感があったね。おもしろかった。
(p8~12)
はい。ついつい引用してしまいました(笑)。
さてっと、この会話のなかに『にど・だもれ』という
本が紹介されている。読んだときに、気になって
ネット検索したら見当たらなかったのでした。
それが、今回あらためて検索したら日本の古本屋に
それはありました(笑)。
はい。さっそく注文。
いながらにして、本を手にできる。
そのありがたさ。そのおもしろさ。
次回は、その紹介となるでしょうか