月刊「Hanada」1月号。平川祐弘氏の連載は39回目でした。
「一比較研究者(コンパラティスト)の自伝」の今回は、
「私の学生」と題しております。
はい。ここに登場する牧野陽子さんが魅力です。
ここでは、『はらはらと』と『ほれぼれと』の二箇所引用。
「牧野さんが修士論文を提出したとき、私は米国滞在中で、
審査に関係していない。
比較の大学院は毎年10名前後の論文提出から出来のいい2名を選んで、
4月の新入生のガイダンスを兼ねた八王子のセミナー・ハウスの合宿で
発表させた。教授側も1人発表する。・・・・・
1968年の12月、研究室が過激派学生に占拠された時、
難を避けて泊りこんだのがきっかけで、それが
学年度初めの行事として30年続いた。
それが・・比較文学の最盛期であった。
『牧野発表はすばらしかった。
話し終えた時にはらはらと涙が散った』
と芳賀徹が・・私に手紙をよこした。・・・・」(p353)
これが『はらはら』。
『ほれぼれ』は平川氏が牧野氏へと送った手紙に出てきます。
「・・・陽子さまのご遠慮は、一面では慎み深いお人柄ゆえとも
思いますが、過度の引っ込み思案は短所であるとも思います。
芸術的な感性に恵まれた知性豊かな陽子さまのお話を、
私は日本語であれ、英語であれ、いつもほれぼれとして
拝聴している一人です。
アイルランドの旅でも一番印象に残ったのは
陽子さまのお話でした。それは皆さんそう申しました。
いつも私などの思いもつかぬ点をはっきりと掴んで
引き出して指摘なさいます。」(p356)
はい。これだけの引用じゃ、誤解されるような引用かなあ。
でも、とりあえずいいや。
あとは古本で注文した牧野陽子さんの著作数冊。
それが、届くのを楽しみにしております。
うん。本を読むよりも、本を注文するほうが楽しい(笑)。