和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

キャスターとドライバー。

2012-04-24 | 短文紹介
大越健介著「ニュースキャスター」(文春新書)に、奥さんのことが書かれていて、そこを、もう一度読み直し。

タクシーの運転手との受け応えがあった箇所で、奥さんが出てきております。タクシーといえば、松平定知氏のことを思い浮かべたりします。ちなみに、松平氏は磯村尚徳氏と、いとこだそうですね(検索で知りました)。磯村氏はこの新書に、憧れの人として登場します。

第6章「野球少年、キャスターとなる」の「タクシードライバーにたしなめられる」という箇所です。印象に残る箇所となっているのは、そこに奥さんが登場しているからなのかもしれません。そういえば、この新書のはじまりは、就職した息子さんの話でした。さてっと、引用。

「そのころ、妻は体調を崩しがちだった。三人の息子たちの子育てにてんてこ舞いなのに、夫の助けはほとんどあてにならなかった。政治記者などという仕事は、まともに休みは期待できないし、仕事に出て行ったら最後、夜中まで帰ってこない。・・・・妻は私をしだいに責めるようになった。私の多忙をではない。妻は私の本質的な勘違いをわかっていた。私は、どこかに感謝の心を置き忘れ、鼻持ちならない空気を身にまとうようになっていたのだと思う。妻はたびたびそのことを指摘し、私は言われておもしろいはずがなく、妻との関係は険悪になっていった。しかし、彼女の体調悪化がいよいよ深刻となり、やつれて倒れ込むことが増えるにつれ、さすがに鈍感な私も気づくようになった。・・・タクシードライバーの手厳しいひと言は、そんな時に私に投げつけられた。」(p109~110)

ちなみに、後半のコラムに、その後の奥さんが登場しております。

「五十の坂を越えて」とはじまり、家で紅白歌合戦を見るというコラムでした。

「成人した三人の息子たちは、彼女なのか友だちなのか、年越しは誰かと外で迎えると言う。いきおい、カミさんと二人の大晦日の夜、ということになるが、この人は夜も八時を過ぎると起きていられず、こたつの中でコテンと寝てしまうので、今年の紅白は、一人で見ることとなった。・・・・家内は予想通り爆睡状態となり、いよいよおひとりさまの世界である。・・新潟の知人からもらった地酒の一升瓶が年越しの相棒である。」(p211~212)

この引用したコラムに、「五十男は守備範囲」うんぬんという言葉がありました。

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