このところ、韓国が気になる。
香港は気がかりなのですが、
まず隣国の動向が気になる。
けれども、テレビは、切れ切れで、要領を得ない。
いきおい、ユーチューブを見ております。
篠原常一郎。虎ノ門ニュース。怒れるスリーメン・・・。
さてっと、宮本徳蔵著「力士漂泊」(小沢書店)を
パラパラとひらく。文が締まっていて、小気味いい。
お酒をチビチビと味わう要領で読んでみます(笑)。
この本に、韓国が登場しております。
「今年(1985)の早春、第六回天下壮士シルム大会を
観戦するために、わたくしはソウルにいた。」(p17)
はい。この箇所を引用してみます。
「シルムとは韓国語で相撲をさし、チカラビトには
日本のように力士の字を当てず、壮士と表記している。
天下壮士というのは要するに、横綱といった称号である。
三月とはいえ旧暦ではまだ小正月(1月15日)を過ぎたばかり、
4,5千人ははいる奨忠体育館の内部はかなり寒かった。・・・
どうにも我慢がならず、規則に違反するとは知っていながら、
日本からたずさえてきたスコッチを魔法びんに詰めて持ちこんだ。
そして少し離れたところにいる警備員の眼ににはたぶん麦茶と
映ってくれるだろうと、・・・・ときおり黄色の液体を蓋についでは
チビチビなめていた。
・・・・・・・・
アルコール飲料の持ちこみがこうも厳重に禁じられている
理由は何だろうか。韓国民衆の観戦態度は総じて礼儀正しく、
ヒツジのようにーーーというよりはこの地の特産であるノロジカ
のごとくおとなしい。けれども時あって行司の判定がいちじるしく
公平を欠くような場合、数千人はいっせいに総立ちとなり、
太白山のトラさながらに吼えさけぶのであった。
じっさいわたくしは、かれらの抗議の声のあまりのすさまじさに、
五名の審判員が協議をやりなおし、いったんくだした裁定を
くつがえす場面を幾度か目撃した。こうなってしまうと。
場内に配備された警官たちの制止くらいではとてもおさまらない。
なるほど、この上に酔いのいきおいが加わっていたら
―――と想像すると、ちょっと空恐ろしい気さえする。
だが言いぶんが通った瞬間に熱は嘘のようにさめ、
もとの無表情でマナーにうるさいノロジカの群れにもどるのだった。」
(~p19)
このあと、韓国の相撲の詳細を報告してくれているのでした。
韓国の文在寅大統領の産業政策のルーツらしい
箇所も「力士漂泊」に読めるのでした。
それは、李朝の五百数十年をつうじての記述にあるのでした。
「朱子学系の儒教を国是に採用した李氏の政府は、
結果として、金銭ならびに商業にたいする蔑みを
庶民のレベルまで過度に浸透させてしまった。
大都会ソウルも、地方から輸送されてくる
年貢米を食いつぶす貴族たちの住処(すみか)で、
自由な商人の活躍は抑圧されていた。
徳川幕府もまた武士階級には朱子学を押しつけたけれど、
庶民に強制しようとはしなかった。とりわけ豊臣政権の
崩壊のあと不満をいだきかねない状況にある大阪商人には、
全国よりあつまる年貢米の売買を独占してまかせ、
大幅な金儲けの特権をゆだねた。
勧進相撲も最初は上方よりおこった。
だが18世紀半ばを過ぎて商品流通の中心が
関東に移るとともに、江戸相撲が京、大阪を圧倒して
急速な発展をとげるようになった。」(~p16)
うん。相撲から見た韓国と日本。ちなみに、
ソウル市長については、篠原常一郎氏の説明を聞くと、
税金を惜しげもなく多数の市民団体へと配分している
そうで。そのなかに、沖縄基地反対へでかける団体も
あるのだというのでした。そんなことを聞くにつけ、
なるほどと、韓国の古今の類似が浮かぶのでした。