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書評「あした、金沢へ行く(伊藤まさこ)」

2015-05-23 12:53:56 | 書評(その他)


今から約30年前、昭和の最後の6年間を学生として金沢で暮らした。そのころは古い金沢の街並みには全く興味がなく退屈な街だとしか思わなかった。東京のような都会に憧れていたからかもしれない。それからずいぶん年月が経ってから金沢を訪れてみると、古くてしっとりとした佇まいが魅力的な街だと思えるようになってきた。そして過ぎ去ったあの学生時代への憧憬もある。だから、私にとって金沢を訪れることはとても楽しみなことなのである。

さて、北陸新幹線も開通したので、金沢旅行を計画する。6年間も住んでいたので当然、金沢についての地理感はある。そうすると普通の旅行ガイドじゃ物足りない。それで、本屋で物色していると、いろいろ面白そうな金沢案内の本が出ていることがわかった。そして選んだのが、この「あした、金沢へ行く」である。妻に聞くと、著者の伊藤まさこさんを知っていてオシャレな人だという。

女子向けの本なのかもしれないが、男の私が読んでも面白かった。著者は金沢在住の4人の友人に案内してもらって、金沢の様々な場所である、観光地、雑貨屋、食料品店、食べもの屋などをめぐる。まず写真がきれいだし(撮影は他のスタッフがやっている)、エッセイ風の紹介文も読みやすくて楽しい。だから、ガイドとしてでなく、本としても読めてしまうのである。そして読んでいるとますます金沢に行きたいという気分にさせる。男性にとっては雑貨屋や食料品店はあまり興味がないかもしれないが、兼六園、金沢城公園、金沢21世紀美術館、鈴木大拙館、浅野川、主計町、近江町市場、といった主要な観光地はちゃんと押さえているので、役に立つ。そして、食べもの屋も興味深い。私は行ったことのない店ばかりだ。

観光ガイドの体裁をとっているが、写真満載の金沢紀行とも言える。


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