映画とライフデザイン

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映画「ただ悪より救いたまえ」

2021-12-30 08:04:41 | 映画(韓国映画)
映画「ただ悪より救いたまえ」を映画館で観てきました。


「ただ悪より救いたまえ」は韓国映画得意のクライムアクション映画である。レベルの高い韓国クライムものでも2014年の新しき世界は自分の中で上位に入る傑作である。その映画で主演だったファン・ジョンミンとイ・ジョンジェが再度組むというだけでワクワクする。加えて、これも韓国クライムものではピカイチの「チェイサー」の脚本を書いているホンウォンチャンがメガホンを持つということなら必見ということで映画館に向かう。

引退寸前の殺し屋が最後の仕事を終えたときに、バンコクにいる元恋人の娘が臓器売買の組織に誘拐されたと聞き、救出に向かうという話だ。ただ、最後の仕事で始末した男の弟分が復讐でバンコクに向かっているので、容易にはいかない。常に危機一髪のシーンが続く。

東京でのロケもあるが、タイロケのウェイトが高い。灼熱のバンコクということを示すためにフィルムの色合いもかえる。猥雑なバンコクの商店が立ち並ぶ狭い道で、縦横無尽に追跡するシーンはスリリングで楽しめるが、激しすぎて我が末梢神経を刺激しすぎる。ちょっときついかな。題材には子どもの臓器売買というきわどい題材も含み、いかにも裏社会経済が蔓延する東南アジアぽい映画の匂いがつよい。

「チェイサー」の脚本を書いているホンウォンチャン監督作品ということで、意外性のあるストーリーを予測したが、それはさほどでもなかった。でも主役2人には安定感がある。それなりにおもしろい。


東京でのミッションを最後に、引退するはずだった殺し屋のインナム(ファン・ジョンミン)は静かにパナマで余生を暮らすはずだった。ところがかつての恋人がバンコクで殺害され、別れた後に生まれたインナムとの9歳の娘ユミンが行方不明だと知らされる。

インナムはバンコクに飛び、娘の居所を突き止めようと聞き込みをして関わった者を次々と拷問にかけ真相を確かめると、臓器売買組織にさらわれたことがわかる。バンコクの協力者からトランスジェンダーのユイ(パク・ジョンミン)をガイド役にあてがわれ、組織のアジトに乗り込む。そして、インナムに兄を殺された裏社会でも狂犬と恐れられる殺し屋レイ(イ・ジョンジェ)も、復讐のためにバンコクに降り立ち、兄を殺したインナムの行方を血眼になって探していたのであるが。。。


⒈圧倒的なアクション
韓国映画のクライムアクションはレベルが高いので、外国資本の資金も流入しているようだ。日本とタイでのロケでクルマをたくさんド派手につぶしっぱなしだ。金かかっているんだろうと思う。スタントマンも階段で投げられたりして、こりゃ痛いだろうなあ。爆弾でいろんなものも破壊される。

主人公インナムの殺しの腕は抜群だ。いきなり日本で殺しの腕前を見せるわけだ。でも、今回はイ・ジョンジェ演じる殺し屋の方が気味が悪いし、圧倒的な強さと人の心がなそうな冷徹ぶりに怖さを見せつける。首にある入れ墨もちょっと違う。そんな2人が比較的早めに対峙する場面がでてくる。アレ、どうなってしまうのかと思ったが、最後まで結果はお預けになっていく。


⒉ロケ地のリアリティ
街のリアリティがないと、そこで動く人物のリアリティが出ない。日本ロケはともかく、猥雑なバンコクロケでは雑多に立ち並ぶ市場のど真ん中で、立ち回りやカーアクションが続く。その度に屋台のように路上に出している商店がぐちゃぐちゃだ。見ている方が大丈夫かいと思ってしまう。夜のネオン輝くバンコクのシーンもエキゾティックな肌合いをだしている。

⒊ファン・ジョンミンとイ・ジョンジェ
ファン・ジョンミン出演作品は気がつくと近年ほとんど観ている。相性がいいのかもしれない。新しき世界でのヤクザの親分もずいぶん気性が激しい役だったけど、アシュラでの汚職市長がハチャメチャで強烈だ。いまだシャーマンの世界にとらわれていると言われる韓国社会を象徴するようなコクソン」の祈祷師ぶりも脳裏に残る。中国で北朝鮮高官に近づく商人を装うスパイを演じた前作も悪くない。ここでは、抑えをきかせながら圧倒的な格闘能力をもつ殺し屋だけど、「悪人にも心」を強調するシーンも用意されている。題名はそこから出ているのであろう。


新しき世界ではイ・ジョンジェは黒社会に裏から潜入する警官を演じた。表面的にはヤクザの顔をしながら、裏で苦悩するナイーブな役柄だった。今回の怖いくらいの凶暴な役柄はこれまでのキャリアからするとめずらしい。自分にとっては、もう20年以上前になってしまったがラブストーリーの名作「イルマーレ」がいちばん印象に残る。ハウスメイドで家政婦に手をつけるご主人役も役になり切る。今はNetflixドラマ「イカゲーム」で主役のようだ。これをきっかけに見てみたい。



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