《その5》 【まゆーきの能力と無条件の肯定的態度】
※「まゆーきの能力」=「対の絆」=「無条件の肯定的態度」
⇔「条件付きの絆」
条件が合わなくなったら、切れる絆。
…それは「絆」といえるか?
◇
「私たちの文化では、人は本当に自分が感じていることと自分とを切り離して考えるように教えられている。」
だから、私たちは、「障害のある子もない子も共に」を守りたいとき、「そうした傾向に逆らう覚悟」が必要になります。
つまり「わが子との生活の実感」と、目の前にある「子ども同士のつながり」を、自分の心に深く感じるだけでなく、誰かうなずいてくれる人を必要とします。
でも、まゆちゃんやあやちゃんは、「本当に自分が感じていることと自分とを切り離して考えるように迫る文化」のずっと手前で、「まゆーきの能力」を手にしているので、逆らう必要がありません。
だから、まゆちゃんは、お父さんの読んでいる新聞をのぞきこんで、『ダウン症の書家の講演会』という見出しに、「ダウン症の、がよけいだね」とあっさりと言えるのです。
あやちゃんは、テレビでコウノドリをみていて、「なんでダウン症だといけないの?」とふつうに言葉がもれるのです。
まゆちゃんやあやちゃんにとって、生まれたときから「親」と同時に、「兄=障害児」が、自分に無条件の肯定的態度を注いでくれ、かけがえのない「対の絆」を、呼吸し、生きています。
それ以外の瞬間を生きたことがないのです。
そして兄が幼稚園に生き、ふつう学級に行くのと同じに、自分も幼稚園に行き、ふつう学級に行く。
そういう家族の一人として生まれた。
その「まゆーきの能力」を、私は大人になるまで知りませんでした。
(つづく)
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