特殊教育が見てこなかったもの(001)
《子どもが喜びを感じているのは、どうやったらわかる?》
障害のある子どもも普通学級へという話をすると、必ず「かわいそう」という反応があります。
「親の安心感や世間体のために、子どもを普通学級に入れてはいけない」という言い方を新聞紙上で使う人が、いまでもいます。
自分の子どもは特別支援教育の場でよかったのであれば、それを語ればいいのに、わざわざその言葉を短い紙面の中にあえていれるのは、どうしてもそれを主張したいのでしょう。
でもその人は、本当に「親の安心感のために普通学級」に入れている人に、どれほど出会っているのでしょうか?
私の経験では、その言葉は、実際に普通学級に子どもを通わせている人の気持ちとは、M78星雲よりかけはなれたものです。
そういう人がいない、とはいいません。
でも、そういう人は、私たちのように表だって運動することはしませんし、私はそれよりも、「親の安心のために特殊学級や養護学校に入れている人」に数多く出会ってきました。
小学校と中学校の情緒障害児学級にいたときに、直接親から聞いたこともあります。
また、私がその学級を辞めた後に、「実は…」と話してくれた人もいます。
就学相談会で、親子の気持ちと教育委員会の考えが折り合わないときには、どうやて親子の意志を貫くか、という話をすると、「それって、サカラウことになりますよね」と言われたこともあります。
話がそれました。
私が今まで生きてきたなかで、「親の安心のため」に、教委や学校に「逆らい」、要望書を出したり、最後まであきらめず何度も交渉する親はいませんでした。
呼び出しの電話に震えたり、子どもの寝顔を見て泣きながらでも、「あきらめることができない」親は、なにより子どもの笑顔を失わないために、親子の気持ちを貫いてきたのです。
ずいぶん前に、文部科学省の特殊教育課の課長に、「否定的な話ばかりされるけど、実際に、普通学級に通っている障害児をどれくらい知っているんですか?」と聞いたところ、「実際には知りません」という答えが返ってきました。
結局のところ、普通学級じゃむり、普通学級じゃ本人がかわいそう、という人たちは、《子どもが喜びを感じているのは、どうやったらわかるのか?》、その答えを知らないのだし、自分が子どもの頃はもちろん、大人になってからも体験したことがないのです。
私たちは、障害のある子どもたちが、近所の子どもたちと同じように当たり前に地域の普通学級に通う日常に喜びを感じていることを確かに感じてきました。
一つの鍵は、「非言語的で社会的なコミュニケーション」のようです。
子ども同士の関係も。先生との関係も。
そして、親が「子どもが喜びを感じているのがどうしてわかるのか」も。
◇
「誰かが喜びを感じているのは、どうやったらわかるのだろうか。
相手が幸福であることを感じとることができるのは何のおかげなのだろう。
普通は、相手の顔を見て、である。
そしてその理由を考えると人類の起源にまで遡ることになる。
人類は誕生してから何千年ものあいだ、四十人ないし六十人程度の収集団で暮らしていた。
この中で各人が生き延びていいくには、緊密な協力とコミュニケーションが基本となる。
当時も現在も、私たちは言葉よりも姿勢や表情、声の調子の微妙なサインによって情報を授受している部分が大きい。
こうした非言語的で社会的なコミュニケーションの「道具」の中でももっとも重要な意味をもっているのが、顔である。………」
(『子どもの共感力を育てる』
ブルース・Dペリー/マイア・サラヴィッツ 紀伊国屋書店)
◇
※ 今日は病院の日でした。
抗がん剤治療もやっと7クール目。
明日からしばらくは倒れます。
今日の文は、病院の待ち時間が長すぎたので、まとまらないまま書き始めてみました。
たぶん未完成ななまま、しばらく続きます。
今の治療はとりあえずあと1回、その後は検査次第です。
元気になったら、このシリーズをちゃんと書いてみたいと思います(o|o)
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