《ヒント3つ》 A《一年生のクラスコーディネーション》
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バスケットボールのエリートチームを対象として、チームコーディネーションを形成する際の「共通理解」に焦点を合わせた研究がある。
明らかになったのは『チームメイトがどのようにプレーするかというソリューションはそれほど共有されておらず、その時々の目標だけが共有されていたこと』。
『選手たちはそれぞれ、自分以外の選手がどう動き、どうプレーするか知りません。
では、どうやって動きを調整しているかといえば、チームで共有している目標を達成するために、近くにいる一人か二人の選手の動きに注目していた。』
この研究結果は、『各選手の動き方のルールを事前に決めておく必要』も、それを『暗記しておく必要』もなく、『カオスな状況の中でも機能的なパターンを自発的に生成できる』ことを示している。(※)
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これらの説明は、そっくりそのまま「就学相談会の答え合わせ」に使える。
《ふつう学級のつながりの安全領域》
新一年生の「つながりの安全」を形成する際の「共通理解」に大切なものは何か?
クラスメイトがどのように動き、どのような学び方をするかは共有されていなくても、同じ「一年生している」ことが「共有」されていること。
45分座ってない子もいるし、車いすユーザーや呼吸器ユーザーの子もいる。
共有されているのは、誰もがここで《一年生する》ことを大事にされていて、「ここに居てはいけない」とは誰も言われない「安全感覚」が共有されていること。
そのためには、言語的な指導に偏りすぎないこと。
『人は言葉で伝えられた情報以上に、環境から知覚する情報に基づいて運動し、チームメイトと協調している』(※)
※(引用は『エコロジカル・アプローチ』植田文也)